2000.05.14

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門司港紀行◎第日目◎弥生の人々

土井ケ浜弥生パーク●綾羅木遺跡

 

第2日め。この日は、山口県へ。門司から関門海峡を通って下関に入り、日本海沿いに北上しました。これがなかなか怖い道路で、嵐のときには波をかぶりそうなほど、海と隣り合わせです。でも快晴のなかを行くと、気持ちいいです。

で、向かった先は、土井ヶ浜弥生パーク。弥生人の遺跡をベースにした史跡公園で、目玉はドーム内に保存されている遺跡です。

土井ヶ浜弥生パーク。国道から案内板に従って入るとあります。意外とこじんまりしたパークでした。これはパークの中心となっている建物(ミュージアム館)で、展示室などがあります。

本館に向かうと、左手にオブジェが迎えてくれます。巻き貝を割ってブレスレッドにしたものを、土井ヶ浜の弥生人はしていたそうです。これはそれを模したもの。

ミュージアム館の隣にある、弥生のムラを再現した庭。これは竪穴式住居です。竪穴式ってテントのようなものかと思えばけっこうデカイ。

同じく庭の様子。小さな子供連れの家族が多かったのですが、ミュージアム館での展示も子供が楽しめるものでした。

さて、これが目玉のドームです。何があるかといえば……

ドームのなかの遺跡は、じつは弥生人の墓地。海辺のこの土地で、たくさんの人骨が埋葬されているのが発見されました。これは石で作られた棺。

人骨のひとつ。射られてなくなった遺体で、その矢を再現してあります。

多くの人骨は、頭蓋骨が海=日本海=西を向いた状態で発見されました。それはなぜか……

「人骨がなぜ西を向いて埋葬されたのか」。山口県の西にある土井ヶ浜の西といえば、海、その向こうに大陸……だから、「なぜ西を」は「なぜ大陸を」に読み替えられます。そこで推測されるのは、土井ヶ浜に埋葬されたこの人々は大陸から移住してきた人たちではないかということ。死に際し、望郷のために西向きに埋葬されたのではないか、と言われています。

薄暗いドームのなかであっても、いっせいに西を向いているのは壮観です。なんだか思いが伝わるのです。

ところで、土井ヶ浜で収穫がありました。本館のなかには映写室(土井ヶ浜で発見された人たちについてわかりやすくまとめたもの)の他、展示室があり、そこで、縄文人、弥生人、古墳時代人……と顔面や体格の比較がありました。それによると、弥生人たちはわりと背が高く成人男子で160センチくらい、古墳時代人では163センチくらいと、大柄だったのです。で、何が収穫かっていうと、「中大兄皇子も160センチ以上あったに違いないわ(はぁと)と妄想できたことです(おいおい)。ちなみに、その後日本人の身長は低くなり、江戸時代では150センチくらいでした。

さて、土井ヶ浜を後にして向かうは下関市内。そこには、綾羅木郷遺跡を中心とした、下関市立考古博物館があります。昭和40年代、綾羅木郷遺跡の下の硅砂が工業用になるため採掘が始まりました。そんななかで発掘調査が進められますが、遺構がつぶされ、遺跡も破壊寸前となったとき、学生や民間人がブルドーザーの前に立ってそれを阻止したそうです。その直後に文化庁が動き、国史跡に指定して、綾羅木郷遺跡は守られることに。そして、博物館も建てられました。

「皮肉だな」と思うのは、綾羅木郷遺跡の発掘を無視する形で進んだ工事への危機感から、急いで国指定→保存という展開になったこと。もし、工事関係者が発掘に良心的に対処していれば、発掘するだけしてあとは硅砂の採掘場になったかもしれません。

 

下関市立考古博物館、これが博物館建物。ただの平屋に見えて、じつは2階建てで、けっこう広いのです。入る前は「わざわざ来たけど大したことないだろう」(失礼)と思ってたのに、入り口すぐに立派なジオラマがあるわ、土器、青銅器等の出土品も数多く、充実していて、びっくりしました。講堂や学習室などもあります。他にこんなおもしろいものも……。パズルなんです。

綾羅木遺跡の説明です。

これが中心にある若宮1号墳(他にも、円墳、方墳などがあります)。大きくはないけれど、端正な前方後円墳として復元されていました。

1号墳の上から。古墳だけど上れます。芝生がすり切れてるのわかります? 地元の方には遺跡というより「丘」なのでしょうか、子供や若者が古墳の上や周辺で遊んでいました。こんなに地元密着な遺跡は初めてです。なんか羨ましかったです。

この公園の目玉は、本館展示と若宮古墳のほか、竪穴式住居の再現。これは弥生式の内部。柱が多いんです。縄文式のもありました。映っているのはたまたま中にいたお子さんです。「出て」とも言えず……

移動距離はやはり長かった2日目も終わり。明日はいよいよ最終日です。


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