仏教を深める創作ノート03

2014年12月

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12/01/月
大学1限のあとは研究室で学生のレポートを見る。本日は国際アンデルセン賞受賞作家、上橋菜穂子さんの講演会。講演の少し前に控え室に出向いて学部長としてご挨拶をする。担当の児童文学評論家で本学教授の宮川健郎先生に任せておけばいいと思っていたのだが、準備のために宮川先生がいなくなったので、ずっと話し相手をしていたのだが、文化人類学の研究者でもある彼女は発想が合理的で理科系だと感じた。わたしはこういう人とは話が合う。やがて講演の時間となり、学部長として冒頭の挨拶をしたあとは仕事はないので、客席で講演を聞きながら、時に仕事のメモをとったりする。終わってまた控え室に出向いて話し相手をしたあと、講堂の地下にある食堂で懇親会。編集者や研究者などが集って楽しい飲み会となった。帰りの電車でもメモ。本日の自分の仕事はそれだけ。しかしかなりメモは進んだと思う。

12/02/火
1限のあと学科会。いつもは月曜日だが昨日は催し物があったので本日に変更。議題が多い。終わって自宅に帰る。親の介護のため妻は今日から不在。おりよくイーブックジャパンの担当者が来たので打ち合わせのあと軽く飲む。

12/03/水
内閣府で「心の輪を広げる体験作文」と「障害者週間のポスター」の表彰式。審査委員長なので3分間のスピーチ。それで本日は仕事はおしまい。しかし事前に弁当を食べ、終わってから受賞者と懇談したので、12時から2時まで内閣府にいた。これでつとめを果たせた。この仕事、来年もあるのかな。妻が不在なので昼に弁当があったのはよかった。コンビニで寝酒のつまみを買って帰る。いたすら入力作業。母と上宮王が対面する場面。同母の弟との怪しい関係を疑われる母。この母は問題が多い、という設定にしている。この設定がうまくいっているかは、プリントして読み返してみないとわからない。どこかの時点でプリントしないといけないのだが、いまは入力が遅れている。メモの方は高麗の高僧、慧慈と対面する場面。ここはこの作品でも最大級の山場になる。後半に山場がない作品なので、どうやってしめくくるかが心配なのだが、そういう作品があってもいいと思う。幻想に逃げたいとも考えいる。出だしは忍者なども出てきて冒険物語ふうに見えるのだが、結局は哲学小説になりそうだ。本日はビデオにとっておいたフットボールを見ながら寝酒を飲み、うまくアイデアが出れば慧慈に何か語らせたい。ところでフットボールは、今年はベテランQBががんばっている。パッカーズのジャーズ、ペイトリオッツのブレイディー、それからブロンコスのマニング。これにカージナルスのパーマーが加わるところだったのだが負傷で今期絶望となった。ブレイディーとマニングは同じカンファレンスなのでどこかでぶつかる。ロジャースのライバルはもしかしたらセインツのブリーズかもしれない。現在5勝7敗だが、それでも首位タイだ。この地区は負け越しでも地区優勝すればプレイオフに出られる。

12/04/木
大学。3年ゼミは学生たちにプレゼンテーションをやらせる。4年ゼミがいままで姿を見せなかった男子学生が何人か来た。先週は飲み会だったと言うと残念がっていた。大学院は雑談。学生それぞれの研究について尋ねた。今期の大学院1年生は研究の対象が多様化していて、大丈夫かなと思うのだが、早めに修士論文に取り組むようにしてもらいたい。自宅に帰って仕事。夜中にセインツ対スティーラーズ戦を見る。スティーラーズがなぜ負けたかわからなかったのだが、QBのロスリスバーガーが手をはたかられて痛みが引かないのに無理して投げて2度連続でインターセプトされた。この時の失点が最後まで効いて、3点差で負けたということで、いわばアクシデントみたいなものだ。ということで、このチームはQBは実力があるし、ランニングバックのベルも軽快なフットワークで、かなりのポテンシャルをもったチームだ。残り全勝で行けばプレーオフ進出の可能性はある。勝ったセインツは微妙だ。この地区は負け越しでも優勝すればプレーオフに出られるのだが、これからの対戦相手によっても結果が変わってくる。さて、妻が帰るのは土曜日なので、あと1日、がんばって生き延びなければならない。

12/05/金
旺文社のコンクール。毎年やっているので勝ってはわかっている。こちらは詩の担当なので、詩が大きな賞をもらえるように説明をした。結果はこちらの望みどおりのものになったのでよかった。

12/06/土
土曜日は休み。明日は入試で出勤なので貴重な休日。ひたすら入力作業。少し進んだ。ドストエフスキーの世界と違って日本の古代史を描くとなると漢字がいっぱいあり、ふりがなをつけないといけないので作業が大変だし、セリフがやや文語調なので、どうもかったるい感じがする。これでリアリティーがあるのかなという気もするが、飛鳥時代に日本人がどんなしゃべり方をしていたのか、本当のところはわからないし、渡来人と話す時はどうしていたのか。教養のある人ならば漢語で話していたのかもしれない。当時の知識人は漢文は読み書きできたはずで、発音は呉音と漢音で差違があるはずなのだが、意思を伝えることはできたはずだ。ということは、渡来人としゃべっている会話は、漢語を日本語に翻訳して示すということになる。というようなことまで考え始めるとキリがない。いっそ全部現代語でと思うのだが、それだとラノベみたいになってしまう。文学作品らしい格調も必要だろう。虚仮威しに難しく書く必要はないが、それなりの雰囲気は必要だ。夜中近く、妻が大阪から帰ってきた。義父母が同時に病院から退院してきて、調整が大変だったようだ。

12/07/日
日曜だが大学でMスカラー入試というものがある。Mというのは武蔵野大学のことか。スカラーシップということは上位の学生には学費軽減などの特典が与えられるということだろう。残りの学生も面接で合格を出すので、本校を志望している学生にとっては正月が楽しくなるし、大学にとっても学生をある程度確保できる。筆記試験の成績が出るので、それと面接の印象とを勘案して合格者を決めることになる。さて、以前は試験監督をしたこともあるのだが、学部長になってからは、待機しているだけでいいので、その間、自分の仕事ができる。上宮王(聖徳太子)と慧慈の哲学的な議論の場面。ストーリーの展開の間に、そういう議論を3箇所くらい挟みたいと思っていたのだが、その3つの会話を一気に書いた。本作品の哲学的な部分を支える重要な会話が、もうできてしまった。入試の待機に感謝したい。

12/08/月
大学。1限の授業のあと学科会。午後からは50周年記念のシンポジウム。懇親会。これで50周年事業の三つのイベントがすべて修了した。すべてが滞りなく実現できた。少しほっとする。

12/09/火
大学。1限のあと研究室でさまざまな作業。ぎりぎりの時間に大学を出て文芸家協会へ。常務理事会。自宅に帰って入力作業少し。3日連続の早朝出身がやっと終わった。早めに寝る。

12/10/水
医者に行く。このところ血圧が少し高い。薬を変えることになった。期日前投票に行く。それから飲み会へ。世話になった編集者、谷口広寿さんの追悼会。廣済堂出版の人々が多く集まった。一人一人が谷口さんについて話し、イメージが少しずつずれているところがおもしろかった。谷口さんには8冊、本を出してもらったと思う。

12/11/木
大学。3コマの日。疲れたが、明日からは3連休だ。ここで入力作業を進めたい。

12/12/金
この週末は何もないので3連休だが、本日は午前中に銀行へ。諸手続のため本人が出頭しないといけない。無事に終わって自宅に戻り仕事。夕方、姉で女優の三田和代さんが来て食事。いつもは自宅で用意するのだが、本日は妻の都合で近くの魚料理の店を予約した。住居の高層住宅は下半分が事務所になっていて、アネックスと呼ばれる別棟には飲食店が入っている。編集者が来た時に利用することもあるのだが、周囲にもおもしろい店があるのであまり使わない。本日の和食の店は初めて入ったのだが、いい店だった。夜中に少し仕事。入力作業が大幅に遅れている。年末にはある程度プリントして読み返したいので作業を急ぎたい。

12/13/土
3連休の2日目。床屋に行ってから妻と散歩。湯島天神まで歩いて上野の方を見ると、見事に色づいたカエデが見えたので公園まで行って弁財天のある島を通り、西郷さんの前まで来た。それからアメ横の人混みを見て、松坂屋で惣菜を買って帰る。一万歩くらい歩いた。

12/14/日
昨日歩きすぎて疲れたので本日はどこへも出ずにひたすら入力作業。それと雑文を2件片づける。

12/15/月
大学。教授会、学科会など。1限の授業から5限の教授会まで、たっぷり時間があるはずだが、学生のレポートなどを見ていたので自分の仕事はできず。帰りの電車でメモをとる。

12/16/火
大学。1限のあと、センターテストの説明会。学部長は待機しているだけでいいのだが、いちおう何をするか知っておいた方がいいということで、英語のリスニングに機械にも触らせてもらう。2年前のテストでは教室に立って試験監督をやった。懐かしい。けっこう楽しい体験だった。いったん自宅に帰って少し入力作業をしてから、新宿へ。W大学の教養クラスの同窓会。2年間、同じクラスだったし、大学闘争の機関は、バリケードの中にクラスの部屋を獲得していたので、かなり仲のいいメンバーだ。8人集まる。二次会にも4人参加。都営新宿線の最終電車で帰った。昨年、いまの住居に引っ越してから、最終電車で帰るのは初めてかもしれない。タクシーで帰ったことは何度もあるが。最終電車というのはいいものだ。岩本町行き(こちらが下りるのは一つ手前の小川町)なのですいている。クリスマスのイルミネーションで飾られているマンションの前の広場は暗くなっていてエスカレータも止まっている。でも一階の秘密の入口から入って、駐車場から居住階のロビーに向かうエレベータに乗る。妻は今日から実家なので誰もいない。明日は大学があるのですぐに寝る。

12/17/水
水曜は授業はないのだが、本日は卒論の提出日。最初の受付を担当してから、学部長会議に出席。それから提出された卒論を受け取る。ぼくのゼミは全員提出。よかった。

12/18/木
4限の授業のあと、内定の決まった学生と在校生の交流会。1つのゼミで必ず1人学生を出すように言われたのでギョーザの王将に内定した学生を派遣しておいた。会場に行ってみると、在校生との間に熱心な会話が生まれていた。こんなことをやっている大学は他にはないのではないか。こちらは途中で抜けて、大学院の授業。帰ってマンションの手前のビルの地価広場にあるコンビニで夜食を調達していると、実家から帰ってきた妻と出会った。今回は妻の不在期間が短かったし、何やかやとあわただしかったので、仕事があまり進まなかった。

12/19/金
本日は休み。マッサージに行ってあとは自宅で入力作業。夕方メンデルスゾーン協会の会報発送作業につきあい、その後、飲み会。こうして今日もスケジュールをこなした。入力作業は少しずつ進んでいる。明日も休みなので作業を進めたい。

12/20/土
本日は休み。雨なのでどこへも行かず。ひたすら入力作業。3章を終われるだけの分量にはなっていたのだが、2章が長すぎる感じもしたので、2章の終わりを少し前に移動させて、3章の終わりに、聖徳太子の四天王への請願の場面が來るように調整した。これでテンポがよくなった。

12/21/日
日曜だが大学。Mスカラー入試というものの面接。筆記試験が2週間前にあった。試験でセレクトされた生徒たちなので、さすがにしっかりとした受け答えをする。昼休みは武蔵野文学賞高校生部門の表彰式。スタートして3回目の催しだが、今年もなかなかいい作品が集まった。最優秀賞1名、優秀賞3名の全員が集まってくれた。感じのいい子たちで、われわれの大学にすでに内定している生徒もいる。こうやって高校生のころから作品を見守ることができるのは、教える方にも励みになる。自宅に帰ってから、妻と大手町まで散歩。イルミネーションを見に行ったのだが、丸ビルのあたりが想定外の混雑。アナと雪の女王のフィギュアと青いツリーの前に、子どもをその前で写真に撮ろうという列ができていて、2時間半待ち、などという札が出ている。エスカレータで3階まで昇ると、いい角度で見下ろせるポイントを発見。妻が持参のiPadで写真を撮ってスペインの長男に送ったら、びっくりした顔文字が返ってきた。
このところこのノートにfootballのことを書いていなかった。明日がいよいよ、相撲でいえば(相撲にたとえてどうするんだという気もするが……)千秋楽の前日という感じ。たいていそこで地区優勝が決まる。しかしfootballの場合、地区優勝はどうでもいい。スーパーボウルに到るプレーオフと呼ばれるトーナメントに残ることができるかが問題となる。そこで現在の順位とチームの勢いから、ぼくが独断的に考察した予想を書いておく。スーパーボウルの出場チームを決めるカンファレンス決勝に出場する4チームを占ってみると、Nカンファレンスは間違いなくパッカーズ対シーホークスだ。Aカンファレンスは難しく、2チームに絞れないので、ブロンコスとスティーラーズの勝者対ペイトリオッツと予想しておく。プロンコスはQBマニングが膝を負傷している。対するスティーラーズはランニングバックのベルが好調。だからどちらが勝つかわからない。今年のブロンコスはマニングが絶好調とはいえず、勝っている割にもろいところがある。スティーラーズは前半絶不調だったが、後半は絶好調。だが守備のポラマルに往年のキレがない。結局、どっちが勝つか、本当にわからない。自分の気分としては、いまはスティーラーズを応援したい。ただしスティーラーズの前にはリーグ最終戦でベンガルズが立ちはだかっているのだが。そのあたりの勝敗によっては、スティーラーズが別の山(ペイトリオッツと当たる)に移るかもしれない。そうなれば断然スティーラーズを応援できるのだが。ところでぼくが挙げた5チームの特徴は何か。すべてのチームにスーパーボール優勝経験のあるQBがいるということ。ここまで来ると経験の差が出てくる。トーナメントで徐々に調子を上げてスーパーボウルに臨む方法をベテランは知っている。ただ昨年のスーパーボウルはベテランのマニングが思いがけない開始早々のハプニングがチームそのものが壊滅してしまった。とにかく今年のfootballはかなりおもしろい。明日の月曜日が楽しみだ。1限の授業を終えて、研究室のパソコンでネットで結果を見る瞬間のドキドキ感がたまらない。

12/22/月
大学。本年最終授業。1限でおしまい。それでも学科会があるかもしれないので研究室で作業をしていた。学生のレポートなどのチェック。これで今年の作業はすべて終わった。学科会もなしということなのでいつもより早い時間に自宅に帰る。年末年始の長い休みが始まる。しかしこちらは自分の仕事をしないといけない。まずはいままで入力した3章までを研究室でプリントしたので、これを読む作業から始めたいと思う。

12/23/火
大学は昨日で終わり。今日からは休み。おりよくfootballの生中継をやっている。プロンコス対ベンガルズ。ブロンコスが当然勝つだろうと思ったら、まさかの敗戦。これでベンガルズもプレーオフに出場が決まった。それよりも負けたブロンコスが第一シードでなくなったので、トーナメントの山が変わってくる。スティーラーズがペイトリオッツと対戦するようだと楽しいのだが。まだ最終戦で微妙にトーナメント表が変わってくるだろう。これでAカンファレンスは5チームの出場が決まり、残りは1枠。レイブンスかチャージャーズということだが、まあ、どうでもいい。Nカンファレンスの方も5チームが決まっている。驚くべきことに、この5チームはすべて11勝で、地区優勝が決まっているのはカウボーイズだけで、トーナメントのシードチームは最終戦の結果が出ないとまったくわからない。これはすごい事態だ。残り1枠はパンサーズとファルコンズの直接対決の勝者。どちらが勝ったとしても負け越しでのトーナメント出場となる。それよりも早々と出場を決めていたカーディナルズは、第1QBと第2QBが負傷で、昨日出た第3QBも最悪で、次戦は新人の第4QBが先発するようだ。最終戦は敗退が決まっている49ナーズなので、もしこれに勝つと、負け越しのパンサーズかファルコンズが相手で、もしかしたらという気もするのだが、むしろ負け越しのチームがカンファレンスの準決勝に進むという前代未聞の珍事になりそうだ。さて、本日は年賀状のプリントに半日かかった。郵便局に行って投函してからヨドバシカメラに行って孫へのプレゼントを買う。ようやく年末らしいムードになってきた。

12/24/水
クリスマスイブだが、子どももいないし、何事もなし。ひたすら仕事。ところで、なぜいま聖徳太子を書くのか、ということについてここに書いておく。聖徳太子については、いまの若い人は何も知らない。われわれ老人は、子どものころから聖徳太子のお札を見慣れていた。ぼくの子どものころは百円札だった。大学生のころは一万円札で、とにかくもっていると幸福だった。日本で1番偉い人、というイメージがあった。しかし最近は、聖徳太子はいなかった、という学説が出てくるなど、聖徳太子の評判はよくない。ぼくの心の中には、ニヒリストでややセンチメンタルな、孤独な若者としての聖徳太子のイメージがある。今回はタイトルは聖徳太子だが、この名は用いずに、首尾一貫して上宮王という名称を使う。のちに聖徳太子の子孫は上宮王家と呼ばれ、一族が揃って自害するという悲劇の主役となった。聖徳太子には悲劇性がある。小説としてこれほど魅力的な人物はいない。たぶんこれがぼくの歴史小説の最高のヒーローとなるだろう。そう考えているのだが、来年後半の親鸞は、もっとすごいものにしなくてはならない。親鸞は人気がある。悪霊のニコライ・スタヴローギンを書いてからアリョーシャ・カラマーゾフを書いたように、聖徳太子から親鸞へというのは、流れをもった助走といっていいし、アリョーシャから聖徳太子というのも、思想的にはつながっている。するとこれから書く親鸞は、ドストエフスキーの延長上にあるということもできる。その途上の聖徳太子だから、切れ味の鋭い小品として、読んで愉しく奥の深い作品に仕上げなければならないと考えている。

12/25/木
神保町へ散歩。三省堂で絵本とカルタを買う。正月に会う四日市の孫のため。スペインの孫には妻が何か送ったはずだ。穏やかな日が続いている。入力作業は順調に進んでいる。崇峻天皇が暗殺されそうになっている。新書を一本書くことになった。仏教がテーマならということで企画を出していた。聖徳太子のメモがゴールまで到達したら、新書用の原稿を一気に書く、というようなことを考えている。入力作業には時間がかかる。いずれにしろ、2月と3月は大学の授業がないので、パソコンに向かう時間が長くなるはずだ。それで何とかやっていけるだろう。footballは16週が終わった。トーナメント出場チームはほぼ決まったが、Nカンファレンスの方は5チームが11勝で並んでいるので、トーナメントのどの位置に入るかは最終戦が終わらないとわからない。対戦相手から見て、シーホークスが第1シード、パッカーズが第2シードではないか。そしてそのまま決勝戦に進むだろう。Aカンファレンスの方はペイトリオッツの第1シードが決まっている。第2シードはプロンコスだろう。問題はスティーラーズ対ベンガルズの対戦があることで、どちらが勝つかによって微妙な変動があるし、ぼくは両方を応援しているので、ブロンコスと当たってほしくない。まあ、とにかくここでは、スティーラーズにがんばってほしいと思っている。

12/26/金
仕事場に移動する。三宿の自宅にいたころは、適当に車に荷物を積み込んで出発すればよかったが、集合住宅に転居したので、地下の駐車場に荷物を運ぶのが一仕事だ。コンシェルジェのところにいって台車の荷物用エレベータのキーを借りる。それを部屋まで運んで荷物を台車に載せ、地下に運ぶ。車の回転するケージに入っているので、そこから発進されて、ようやく荷物を積み込む。それから台車をまたコンシェルジェに返さないといけない。それらの作業の末に正午すぎに出発。必要なものはとりあえず積んだはずだ。パソコンとマウス、妻のiPad用の無線ルータ、それから日記帳と予定を書き込んだ日程表、聖徳太子に関する資料、そんなところだ。仕事場についてまずはパソコンをセット。ここのルータが正常に作動していることを確認する。メールを取り込む。いまごろになって原稿の注文を依頼してくる編集部がいる。授業はもうないのだが大学の事務はまだ活動ていてメールが届いている。メールの処理をしてから部屋の掃除。とりあえずパソコンの脇にノートを3冊置く。3冊目はいまメモを書き込んでいるノート。1冊目はいま入力しているノート。これか半分くらいのところなので、1冊目の半分と2冊目、それから3冊目の半分と、結局ノート2冊ぶんの未入力のメモがある。とにかく作業ができる状態になった。仕事場は木造築33年の建物なのでとても寒い。軽井沢のような寒冷地ではなく、浜名湖が見下ろせる温暖な地域にあるのだが、景色がいいぶん風が強い。エアコンと石油ストーブをフルに稼働させる。夜中もがんばって仕事をする。

12/27/土
仕事場での1日が始まる。朝、ここはどこだ、という感じで目覚める。33年前から、年始年末はここで暮らしているので、さまざまな想い出がある。15歳で死んだ愛犬リュウノスケと暮らした15年間の想い出がこの仕事場にはしみついている。いまでも犬の息づかいが聞こえる気がする。本日はひたすら入力作業。上宮王と母親の関係が一つの重要な流れになる。簡単にいえばマザコンだが、そういうものを導入することで上宮王の人間性を示したい。散歩に行きたいのだがあまりに寒く、本日は三ヶ日の町に買い物に行っただけ。

12/28/日
風もなく温暖に日だ。西気賀のなじみのレストランで昼食。それから浜松の根洗というところにある農協の販売場に行き大量の野菜を買う。明日には孫たちが来るはずで、そのための準備。静かな環境で仕事ができるのも今日までなので、入力作業に集中する。崇峻天皇の暗殺の直前。いい感じで来ている。聖徳太子には謎の裏面がある。そういう設定で話を進めているので、こういう展開になる。小説はおもしろくないといけないので、脚色が入る。史実を忠実になぞるわけではない。ことに聖徳太子の場合はその実在性さえ疑われているので、小説はどう書いてもいい。史実そのものが怪しいので史実に忠実である必要はないのだ。キャラクターで勝負しないといけない。ぼくの書く作品の多くに出てくる共通のキャラクターがあって、読者はまたかと思うかもしれないが、この作品はそういうキャラクターの集大成になる。さて、明日はいよいよfootballの最終戦だ。とくにNカンファレンスは5チームが11勝で並んでいるので、最終戦の結果で1回戦不戦勝のチームが決まる。トーナメントの山のどちら側に所属するかも決まる。勝ち星が並んだ時がややこしい。まず並んでいる当該チームの対戦結果、それから同一地区ならば地区内の勝敗、それから所属するカンファレンス内の勝敗、という順番に指標に沿って判断していくことになる。それと6番目はすべてのチームが負け越している南地区の優勝チームということになる。Aカンファレンスは6番目争いにチャージャーズ、レイブンズ、テキサンズ、チーフスが並んでいる。この順で並んでいるのでチャージャーズが勝てばそれでトーナメント出場が決まる。すべてのチームが負けるということはない。チャージャーズ対チーフスの対戦が組まれているから、どちらかは勝つことになる。明日、ぼくが起きたころには結果が決まっているだろう。パソコンをネットにつないで結果を知ることになる。

12/29/月
大学の1限がない日は朝10時に起きる。日曜日ではニコライ堂の鐘で10時には起こされるからだ。浜松の仕事場に来ても10時には起きる。本日はfootballの最終結果がわかる日。朝起きてすぐにパソコンをネットにつなぐ。まずNカンファレンス。シーホークス勝って第1シード確保、パッカーズも勝って第2シード。ここまでが1回戦不戦勝。そのパッカーズと当たる準決勝で当たる可能性のある第3シードは勝ったカウボーイズ。第4シードは負け越し同士の決戦に勝ったパンサーズ。負けたカージナルスがそのパンサーズと当たる。ここはQBが2人ダウンしているので、負け越しチームが準決勝に進むかもしれない。いずれにしてもこちらの山のシーホークスは楽勝で決勝に進むだろう。パッカーズに負けたライオンズは第2シードにならなかったばかりかビリの第6シードになって、カウボーイズとワイルドカードで当たる。ここで勝ってもパッカーズには負ける。この山はカウボーイズ対パッカーズの勝者が決勝に進むだろう。結論としてここはシーホークスがスーパーボウルに進む。もう結果がわかってしまっておもしろくない。Aカンファレンスはすでにペイトリオッツの第1シードが決まっていて、最終戦は控えを出して負ける余裕を見せた。第2シードは順当にブロンコス。このブロンコスの山のワイルドカードは第6シードにすべりこんだレイブンスと、ナイトゲームまレツルゲーネフかでコルツかベンガルズということになる。この第6シードは勝てばチャージャーズだったのだが、相手が可能性を残しているチーフスだったので、競り負けてしまった。せっかく勝ったチーフスだったが、レイブンスが勝ったので虚しい勝利だった。そのレイブンスと初戦で当たるのは第3シードにチームなのだが、ナイトゲームでベンガルズが勝てばここにベンガルズが入る。しかしたぶんコルツがレイブンスと当たるのだろう。さて、いま現在進行中のナイトゲーム、ベンガルズ対スティーラーズは、スティーラーズが先制している。先日の対戦でもスティーラーズが勝っている。ここの勝敗によって、ブロンコスの山になるかペイトリオッツの山になるか微妙に違ってくるのだが、勝った方が初戦をホームゲームで闘えるのでモチベーションが高い。ぼくはスティーラーズを応援しているので、スティーラーズを応援したいところなのだが、負けてベンガルズが第3シードになってブロンコスと当たるというのもいいのではないかと思う。先日の試合でベンガルスはブロンコスに勝っている。いずれにしろスティーラーズは準決勝でペイトリオッツと当たるのだろう。最大の難敵で、これに勝てばスーパーボウルが見えてくる。ベンガルスは調子の波が激しいチームで、勝ち抜くのは難しいのではないか。ブロンコスはQBのマニングが負傷しているので勝ち抜きのは難しい。ペイトリオッツが勝ってはおもしろくないので(監督のベリチックは好きなのだが)、ここはスティーラーズに期待したい。
いま最後の試合が終わった。スティーラーズが勝ってしまった。負けた方がよかったという気がするのだが、やはり初戦を地元で闘う方がメリットがあるのだろう。とにかくfootballのことはしばらく忘れて、自分の仕事に集中しなければならない。だが、孫が来る。夜、かなり遅くになってから四日市の次男一家が到着。孫2人も元気だが、見ているだけで疲れた。まあ、夜中は仕事ができる。

12/30/火
孫の声で目が覚めた。爽やかな朝だ。孫とゲームなどして遊ぶ。孫がパターゴルフに行ったり、庭の柚子をとったりしている隙に入力作業。高麗の高僧慧慈と上宮王の最初の会話。通勤の電車の中でとったメモが意外に深い内容になっている。カラマーゾフの兄弟の中の悪魔とキリストの問答も電車の中で書いた。電車の中というのは三十分と時間が限られているので集中できるのだろう。ただいつも書けるとは限らない。車輌の1番右の座席があいていないと右手が自由にならないからだ。孫は小学1年生と幼稚園の1年生で、自分が二人の息子が育てたことと二重写しになるようだ。同じことがくりかえされるという構造の中にぼくも生きている。スペインにいて女の子三人(いまは男の子もいる)と暮らしている長男は、ぼくの想像の及ばない生き方をしているのだが、次男の生き方は自分に重なる。男の子というのはいいものだ。もちろん女の子もいいのだが。

12/31/水
大晦日になった。次男とその長男がサイクリングに行き、その次男と嫁さんとぼくの妻が買い物に行って、ぼく一人だけが仕事場に残った。お節料理が届いたり、ヨドバシカメラから荷物が届いたり、留守番にも役目があったのだが、とにかくその間、一人きりになったので作業が進んだ。慧慈と上宮王の対話は、放っておくと難しい哲学的な対話になってしまうので、なるべくコンパクトに書くことにする。この作品は副題にいまのところ「世間は虚仮にして」という語句を添えようと思っている。天竺国繍帳に書かれている語句で、要するにわれわれが見ているものは仮想現実にすぎず、実態は《空》であるということだ。この哲学議論が表面に出過ぎると、何もかもが《空》になり、この小説そのものも《空》になってしまうので、そのあたりの議論は抑え気味に展開したい。この《空》という概念は、ぼくが17歳で引きこもり状態になって仏典を読んでいたころから、慣れ親しんだ概念なのだが、では《空》とは何かということになると、明解な答えはない。ぼくというものは一種のコンピュータなのだろうと思っている。コンピュータというと《計算機械》というイメージが強いので、いまは《認識機械》という言い方をしている。視覚などの五感によって入力された情報を《認識》するシステムがある。そのシステムはハードとソフト(プログラム)によって構成されていて、とにかく何らかの《認識》が生じているのだが、そこにある《認識》は、基本的には「画像を処理する」ということが出発点で、それに追加で音声認識とか、感覚による認識とか、臭いの認識が加わっているわけで、三半規管からの入力、肺や心臓の動きを伝えるセンサーからの情報など、さまざまなものの組み合わせによって、《わたし》という認識が生じているのだが、それらはすべて幻想にすぎない。従ってその《わたし》が《認識》しているつもりになっている《世界》というものも、幻想にすぎない。「世間虚仮」というのはそういうことだろう。この議論を、さりげなく作品の中に導入したい。あまり深入りしたくないので、軽くかするという程度にしておきたいのだが、とにかくそういう《認識》がこの作品の鍵になるはずだ。さて、仕事場にいる六人が全員揃って昼ご飯のかわりに年越し蕎麦を食べる。それから次男の嫁さんが昨日の夜中にぎりぎりで作成した彼らの年賀状を出しにいく。このあたりのポストはもう集配を終わっているので、本局などの大きな郵便局に行かないといけない。嫁さんが調べて細江町の天浜線気賀駅の近くにわりと大きな郵便局があるとのことで、地図を見たら駅の近くではあるが細い道に面しているので、運転する次男の横に乗っていくことにした。このあたりの道はぼくしかわからない。ということで目的の郵便局まで行って無事に彼らの年賀状を出す。いったん仕事場に帰ってから一人で散歩。今シーズン初めての猪鼻湖の散歩だ。穏やかな湖面。何ごともなく今年も暮れようとしている。


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