長距離を走るタクシーは、ステーションワゴンタイプにルーフキャリアを取り付けたごく普通の乗用車。年季の入った車がほとんど、内装もステキです。内張りやミラーがない場合も多くフロントガラスが大きく破損している車に出会ったこともありました。(写真①〜⑤)
長距離を走るタクシーは、ステーションワゴンタイプにルーフキャリアを取り付けたごく普通の乗用車。年季の入った車がほとんど、内装もステキです。内張りやミラーがない場合も多くフロントガラスが大きく破損している車に出会ったこともありました。(写真①〜⑤)
井戸掘り・診療所建設サポートと達つぁんのプロジェクトに同行して毎回ギニアでシンドイと感じること。それは「移動」です。国際空港のある首都コナクリ(Conakry)からシェリフの住むラベ(Labe)までの移動距離は400km以上。直線距離にして東京から神戸くらい離れた道のりを乗り合いタクシーで行きます。所要時間はおよそ10時間です。
助手席には最低2人、後部座席には一列に最低4人座るのがルール。全員が普通に腰掛けようとすると座れません。そこで隣り合う者同士がお尻を接地する場所を前後にずらすと...。ジグソーパズルのピースのようにお尻がはまり見事に座れます。とはいえ皆の両太ももはピッタリとくっついた状態、背もたれに背中をつけられない人もいるのですから”見事に”というよりは”強引に”というイメージですね。そんな状態で、古くなってボコボコのアスファルト道を10時間。もちろんノンストップで行くわけではありません。2~3時間程度走っては休憩をとりますが、正直シンドイものがあります。
休憩時、シェリフがニコニコした顔をして部族語のプラール語で話しかけてきました。「ア・ロンキ?」何のことやら分からず戸惑っていると今度はフランス語で
「ファティゲ?」つまりは「疲れたのか?」と。
大きくうなづくとシェリフは「そういう時はミ・ロンキと返事をしろ」とプラール語での受け答えを伝授してくれたんです。
ア・ロンキ?(疲れたか?)
→ミ・ロンキ(疲れたよ)
こんな風にしてボクらはプラール語を学んでいきます。でも一度では完全に覚えられない。そこでシェリフは車に再び乗った後しばらくしてから不意に聞いてきたんです。
「ア・ロンキ?」
「......、ミ・ロンキ」
たどたどしく答えると車内はドッと沸きました。人種の異なる者が同乗すること自体が 稀な上に、部族語を口にするなんて奇跡的な出来事なんでしょう。しかも車内の全員が疲労状態MAX。異人種のこうした物言いは盛り上がりに輪をかけ、1台のタクシーに集まった人々の距離がこの時急速に縮まったんですね。そうすると体力的にはシンドイけど、気分的には楽になるんです。10時間の道のりでは、疲労軽減のために座るポジションを皆で交代し譲り合いながら行きますから、些細なことでもこうした交流が大切だと実感します。達つぁんだって乗り合いタクシーでの10時間は体力的にシンドイはずです。でも敢えて達つぁんは毎回乗り合いタクシーを移動手段にする。そこには現地の人たちと触れ合いたいという気持ちはもとより、このシンドさこそがギニアに来たんだと感じられる証だという想いがあるのではないでしょうか。
動画「ギニアのタクシー」
2005年当時の様子が分かります。
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