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 第3話/真説・マッチ売りの少女(2)



 

 

 「あんた何やってるのよ。あ〜あ、売り物を自分で使っちゃって」
 「だ、誰?」

 声をかけて来たのは、20歳くらいの若い女の人でした。少し派手目な感じの気の強そうな女の人に、少女は思わず身を引きました。

 「あのね、さっきから見てれば、おろおろするだけで、全然なってないわよ。そんなんじゃ、売れないのは当たり前でしょ」
 「み、見ていたんですか」

 「いいこと? 営業は数こなすのが基本なのよ。100人に声かければ1人くらいマッチを必要としてる人がいてもおかしくないわね」
 「はい…いると…思います」
 「だから1コ売るために100人に声をかける。10コ売りたければ1000人に。100コ売りたければ10000人に」
 「そんな…そんなの無理です」

 「だから例えよ。売りたいならとにかくたくさんの人に声をかける。あんたみたいにぐじぐじ落ち込んでる暇はないのよ」
 「でも…」
 「でも…じゃない! いいから行動に移す。ほら通りに出て道行く人に声をかけるのよ」
 「は、はい…」

 強い口調で言う女の人に少女は逆らえません。