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第25回 デスクトップ仮想化ソフトウェア「Parallels Desktop for Mac」〜「Parallels Tools」の機能概要〜

前回までのコラムに引続き、Parallels(旧SWsoft)によるMac OS Xベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Parallels Desktop for Mac」関連のトピックスとなります。4回目となる今回は、各種ゲストOSに種々の機能拡張等を齎すべくして提供されているドライバソフトウェア「Parallels Tools」に関して、機能の概要、及び「Build 5584」の段階において提供されている各ツールの詳細等を採り上げてみたいと思います。


●各種ゲストOSに種々の機能拡張等を齎す「Parallels Tools」

今回のメインテーマとして採り上げています「Parallels Tools」は、Parallels仮想マシン上で動作する各種ゲストOSに種々の機能拡張等を齎すべくして組み込まれる拡張機能(ドライバソフトウェア)として提供されており、米国時間2008年1月17日付にてリリースされた「Parallels Desktop 3.0 for Mac Build 5584」の段階において以下のゲストOS用の各ツールが提供されています。

※Solarisを含むその他のゲストOSに対しては「RTL8029」ネットワークドライバが提供されています。

尚、各ツールはisoイメージとして「/Library/Parallels/Tools/vmtools.iso」に格納されています(OS/2を対象としたネットワークドライバは、FDDイメージ(vmtools.fdd)として同階層に格納)。また、「Build 5584」時点で提供されている主な「Parallels Tools」とその機能概要、及び各ツールを利用可能なゲストOSは以下の通りとなっています。

Clipboard Synchronization Tool(クリップボード同期ツール)

ホストOS(Mac OS X)、ゲストOS間におけるクリップボードの同期を実現し、クリップボードを介したテキスト交換等を可能とするツール。「Build 5584」時点において交換可能なテキストサイズは128KB以下となっており、複数のゲストOSで当ツールを有効化した際には、(当ツールが有効化された)全てのゲストOS、及びホストOSにおいて同一のクリップボードを共有可能となる。Windows(ゲストOS)の場合には「Parallels Tools」インストール時に自動的に組み込まれる事となるが、OS/2、及びeComStationの場合には手動でインストールする必要がある。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000/Me/NT/98/95、OS/2、eCS

※OS/2、及びeComStation(何れもゲストOS)では「Clipboard Synchronization Tool」は手動で起動する必要がある(同ツールはアプリケーションの一つとして実装される)。

Time Synchronization Tool(時刻同期ツール)

ゲストOSにおける時刻関連の諸調整等を行うべくして実装されているツール。当ツールを使用する事により、ホストOS、ゲストOS間における時刻の同期、及び時差の設定等が管理可能となる。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000/Me/NT/98/95、Linux。

Drag-and-Drop Tool(ドラッグアンドドロップツール)

ホストOS、ゲストOS間におけるドラッグアンドドロップによるファイル(フォルダ)のコピー等を可能とするツール。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000。

File Sharing Tool(ファイル共有ツール)

ホストOSからゲストOSにおけるファイル(フォルダ)に直接アクセス可能とするツール。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000。

Shared Internet Applications Tool(共有インターネットアプリケーションツール)

各種インターネットリンク(http、mail、ftp等)に対して、ホストOS、ゲストOS双方において同一のデフォルトアプリケーションを定義可能とするツール。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000。

Start Menu Integration Tool(スタートメニュー統合ツール)

Windows(ゲストOS)における「Start(スタート)」メニューに対して、ホストOSの「Dock」から直接アクセス可能とするツール。「Start」メニューは以下の何れかの手法を用いて開く事が可能。

利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000。

Shared Applications Tool(共有アプリケーションツール)

「Shared Applications」及び「Parallels SmartSelect」を支援し、ホストOS(Mac OS X)サイドのファイルをゲストOS(Windows)サイドのアプリケーションで開く事を可能とするツール(逆もまた然り)。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000。

Coherence Tool(コヒーレンスツール)

ゲストOSが「Coherence」モードに遷移した際に、Mac OS XデスクトップにおけるWindowsアプリケーション(ウインドウ)の再描画等を行うためのツール。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000。

Favorite Applications Tool(お気に入りのアプリケーションツール)

Windows(ゲストOS)における任意のアプリケーションを「Favorites(お気に入り)」として登録可能とするツール。登録後は当該アプリケーションを「Applications(アプリケーション)」>「Favorites(お気に入り)」メニュー、或いはMac OS Xデスクトップに表示されるエイリアスから起動可能(エイリアスを実行する事により、ゲストOS起動後に当該Windowsアプリケーションが自動的に起動)。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000。

Dynamic Resolution Tool(動的解像度ツール)

ゲストOSにおけるスクリーンレゾリューションの動的な調整を可能とするツール。当ツールを使用する事により、ゲストOSウインドウをリサイズした際に、ゲストOSにおけるスクリーンレゾリューションがリサイズ後のウインドウサイズに合わせて自動的に調整される事となる。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000、Linux。

Video Driver(ビデオドライバ)

ゲストOSにおけるスクリーン内にて「Parallels Desktop for Mac」によるSVGAグラフィカルモードを利用可能とするツール(当ツールがインストールされていないWindows 2000/NT(ゲストOS)にて利用可能な最良のグラフィックスモードは640*480の解像度を有する16色VGAとなる)。尚、Windows Vista/Server 2003/XP/2000(ゲストOS)において「Mouse Synchronization Tool」を使用する際には「Video Driver」が必要となり、「Parallels Tools」の「Custom」インストレーションにおいて「Mouse Synchronization Tool」を選択した際には「Video Driver」も同時に選択される事となる。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000/Me/NT/98/95。

※「Video Driver」をインストールした後は、VGAモードを利用する事ができなくなる(VGAモードを再び利用可能とするためには「Parallels Tools」をアンインストールする必要がある)。また、「Windows 98(ゲストOS)」における「Parallels Tools」のアップデートプロセスにおいて、インストーラが「Video Driver」を適切にインストールする事ができない場合には、同ドライバを手動でインストールする必要がある。

Mouse Synchronization Tool(マウス同期ツール)

当ツールを使用する事により、カーソルがゲストOSウインドウを通過する毎にインプットデバイス(マウス、トラックパッド等)による入力が自動的にキャプチャされ、ゲストOSウインドウから外れた際には自動的にリリースされる事となる。また、スムーズなカーソルの移動等も可能とする。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000、OS/2、eCS、Linux。

Sound Driver(サウンドドライバ)

標準ドライバが同梱されていないゲストOSを対象とした「AC'97(Audio Codec 97)」サウンドドライバ。Windows Vista/Server 2003/XPにおけるインストレーションには標準ドライバが包含されているため「Parallels Tools」パッケージには前記オペレーティングシステムを対象としたサウンドドライバは同梱されていない。利用可能なゲストOSは、Windows 2000/Me/NT/98/95、OS/2、eCS。

※「Windows 98(ゲストOS)」では、その他のツールのインストールが完了した後に「Sound Driver」を手動でインストールする必要がある(一部特定のケースにおいては「Video Driver」も手動でインストールする必要がある)、また、OS/2(ゲストOS)では「Sound Driver」をインストールする前にマルチメディアサポート(Multimedia Support)をインストールする必要がある。

Shared Folders Tool(共有フォルダツール)

ゲストOSにおいて「Shared Folders(共有フォルダ)」の利用を可能とするツール。当ツールを使用しない場合には、共有フォルダが仮想マシン構成(「Configuration Editor」>「Shared Folder」)においてセットアップされている際にも、ゲストOSから「Shared Folder」にアクセスする事はできない。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000。

Disk Compacting Tool(ディスクコンパクト化ツール)

仮想HDDにおける未使用領域をクリーンアップし、ホストOSファイルシステム上における「Expanding(拡張可能)」仮想HDDのサイズを縮小可能とするツール。利用可能な仮想HDDイメージ形式は「Expanding」のみ。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000/Me/NT/98/95。

Parallels Network Adapter Driver(パラレルズネットワークアダプタドライバ)

Parallelsによるネットワークアダプタ。「RTL8029」アダプタのEthernetドライバは「Parallels Desktop for Mac」におけるネットワークパフォーマンスの向上等を主目的として提供されている。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000。

RTL8029(ネットワークアダプタ、ネットワークドライバ)

各種オペレーティングシステムに向けた「RTL8029」ネットワークアダプタのネイティブRealtekドライバ(「vmtools.iso」イメージ内の「Drivers\Network\RTL8029」に格納)。利用可能なゲストOSは、Windows Vista/Server 2003/XP/2000/Me/NT/98/95、OS/2、eCS、Linux、others...。

※一部のゲストOS(「Windows 2000」等)には配布パッケージに「RTL8029」ドライバが同梱されているが、「Windows Server 2003」「OS/2」等、その他のオペレーティングシステムには同ドライバは含まれていない。また、Solaris(ゲストOS)では、仮想マシンにエミュレートされた「RTL8029」ネットワークアダプタドライバがサポートされていないため、同ドライバのサポートをSolaris(ゲストOS)に追加するためには「RTL8029」ネットワークアダプタドライバ(或いは互換性のあるドライバ)を別途インストールする必要がある(「network.sh」スクリプトを使用するか、或いはドライバを手動でインストール、構築)。
「Windows XP Home Edition Service Pack 2(ゲストOS)」における「Parallels Tools Center」
↑「Windows XP Home Edition Service Pack 2(ゲストOS)」における「Parallels Tools Center」(クリックで拡大します)

尚、Linux(ゲストOS)に向けて提供されているツール中、「Time Synchronization Tool」「Mouse Synchronization Tool」は「X.org 6.7(X11R6.7)」以降、「Dynamic Resolution Tool」は「X.org 6.9(X11R6.9)」以降にて各々利用可能となっています。


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Created Date:08/04/10
Modified Date: