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椰子の実

作詞 島崎 藤村
作曲 大中 寅二
唄  東海林太郎
1.名も知らぬ 遠き島より
  流れ寄る 椰子の実一つ
  故郷の岸を 離れて
  汝(なれ)はそも 波に幾月

2.旧(もと)の樹は 生(お)いや茂れる
  枝はなお 影をやなせる
  我もまた 渚を枕
  独り身の 浮き寝の旅ぞ
3.実を取りて 胸に当つれば
  新たなり 流離の憂い
  海の日の 沈むを見れば
  滾(たぎ)り落つ 異郷の涙

	思いやる 八重の汐々
	何れの日にか 国に帰らん


1936年(昭和11年)