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落葉松

北原白秋のこの詩には山田耕作、井上武士、後藤惣一郎なども曲をつけているが、昭和11年10月26日、NHK「国民歌謡」として放送されたのはこの曲である。

作詞 北原白秋
作曲 長村金二
唄  瀧田菊江

1.落葉松の 林を過ぎて

  落葉松を しみじみと見き

  落葉松は 淋しかりけり

  旅行くは 淋しかりけり

2.落葉松の 林を出でて

  落葉松の 林に入りぬ

  落葉松の 林に入りて

  また細く 道は続けり


3.落葉松の 林の奥も

  わが通る 道はありけり

  霧雨の かかる道なり

  山風の 通う道なり

4.落葉松の 林の道は

  我のみか 人も通いぬ

  ほそぼそと 通う道なり

  さびさびと 急ぐ道なり


5.落葉松の 林を過ぎて

  故知らず 歩みひそめつ

  落葉松は 淋しかりけり

  落葉松と 囁きにけり

6.落葉松の 林に出でて

  浅間嶺(ね)に けぶり立つ見つ

  浅間嶺(ね)に けぶり立つ見つ

  落葉松の またその上に


7.落葉松の 林の雨は

  淋しけど いよいよ静けし

  閑古鳥 鳴けるのみなる

  落葉松の 濡るるのみなる

8.世の中よ 哀れなりけり

  常なけど 嬉しかりけり

  山川に 山川の音

  落葉松に 落葉松の風

1936年