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明日はお立ちか
作詞 佐伯 孝夫
作曲 佐々木俊一
唄  小唄勝太郎
1.明日はお立ちか お名残り惜しや
  大和男児(やまとおのこ)の 晴れの旅
  朝日を浴びて 出立つ君よ
  拝む心で 送りたや

2.駒の手綱を しみじみとれば
  胸にすがしい 今朝の風
  お山も晴れて 湧きたつ雲よ
  君を見送る 峠道
3.時計みつめて 今頃あたり
  汽車を降りてか 船の中
  船酔いせぬか 嵐は来ぬか
  あれさ夜空に 夫婦星(みょうとほし)





1942年(昭和17年)

 戦時歌謡のまっただ中で、最愛の夫を戦地に送り出す妻の気持ちを、しっとりと日本調で歌っているが、ここには 「出征兵士を送る歌」のような勇壮さはまったくみられない。愛する夫を戦争にとられ、これが永遠の別れになるかもしれない その悲しみは、淡谷のり子が歌って発禁になった「夜のプラットホーム」の心情と全く同じである。だが「明日はお立ちか」は、 その悲しみをじっとこらえ、戦地に向かう船中の夫を”船酔いせぬか 嵐は来ぬか”と気づかいながらも、”大和男子の晴れの旅” と、にっこり笑って送り出す銃後の妻の姿を見事に描き出している。この歌は、出征兵士を送る祝宴の席では欠かせない歌になって いたという。(野尻守利「街に唄あり 昭和流行歌メモリー」新潟日報事業社刊による)

 なお、小唄勝太郎および佐々木俊一に関しては、「島の娘」を参照されたい。