さすらいの唄


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さすらいの唄
戯曲「生ける屍」劇中歌

作詞 北原 白秋
作曲 中山 晋平
唄  松井須磨子
1.行(ゆ)こか戻ろか 北極光(オーロラ)の下を
  露西亜(ロシア)は北国 果てしらず
  西は夕焼 東は夜明
  鐘が鳴ります 中空(なかぞら)に

2.泣くにゃ明るし 急げば暗し
  遠い灯(あかり)も チラチラと
  とまれ幌馬車 やすめよ黒馬(アオ)よ
  明日(あす)の旅路が ないじゃなし
3.燃ゆる思いを 荒野(あれの)にさらし
  馬は氷の 上を踏む
  人はつめたし 我が身はいとし
  町の酒場は まだ遠し

4.わたしゃ水草(みずぐさ) 風吹くままに
  流れ流れて 果てしらず
  昼は旅して 夜(よ)は夜で踊り
  末はいずこで 果てるやら
1917年(大正 6年)
 島村抱月が主宰した芸術座は、『カチューシャの唄』であたりをとって以来、主役の松井須磨子が歌う劇中歌を売り物とするようになった。この歌もその1つで、大正6年(1917)にトルストイの『生ける屍』のなかで歌われた。(『ゴンドラの歌』参照)
 なお、「生ける屍」の劇中歌は3つあって、いずれも作詞 北原白秋、作曲 中山晋平。(「今度生れたら」「にくいあん畜生」「さすらいの唄」) また、「今度生れたら」は、その中の一節「かわい女子と寝て暮らそ」が問題になり日本初の発禁処分を受けた。
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