北アイルランド住民投票7割が和平を承認


自己責任で地方自治へ一歩踏み出す


1998年5月22日に行われた北アイルランド和平合意をめぐる住民投票は
81.1%という高い投票率で、その結果はブレア首相らが作成した和平案に
71.12%が賛成したと報じられています。




北アイルランドの30年に及ぶ流血の紛争は、ようやくカトリックとプロテス
タントの和解へと前進することになります。
同時に、これまでの英国政府による直轄統治から、北アイルランドの地方自治
を尊重する行政へと地方分権が進められます。
すなわち新しい議会が行政執行機関を作り、英国政府北アイルランド省から教
育や警察などを引き継ぐとのことです。

さらに、アイルランド共和国との南北協議会も年内に設置されます。
将来北アイルランドがアイルランド共和国に統合されるかどうかはわかりません
が、ともかく住民の大半が平和を選択しました。

一年前首相に就任した英国のブレア首相は、スコットランド、ウェールズの地方
分権(Devolution)から北アイルランドの和平合意まで、英国の内包する国内の
民族問題を、次々と片付けています。
また、故ダイアナ元皇太子妃の逝去では王室と国民の意識の乖離を見事にまとめ
ました。
労働党という枠に閉じこもらず、優れた手腕を発揮しているリーダーという印象
を受けます。

ブレア首相が、「・・・北アイルランドの人々はいま平和に生きる機会を手にし
ている。しかしこの日は始まりであって、終わりではない。」と、北アイルラン
ド住民に今後の自助努力を求めているように、前途はまだまだ多難でしょう。
しかし平和を選択した7割の住民は、宗教の壁を越えて一歩一歩前進するでしょう。
それは和平案を選択した住民の自己責任の問題になるからです。


英国は議会制民主主義をとる立憲君主国ですが、このような地方分権に関する問
題を住民投票という直接民主主義の手段で国民の意思を明確にさせ、同時に自己
責任による行動を求めています。
アメリカも議会制民主主義ですが、大統領選挙は選挙人選出という方法で、国民
の意志を反映させています。

日本では国民投票や住民投票などがない間接民主主義のために、国民の意思と乖
離したり、歪んだりした政治になることがありえます。
国民が政治に関わる唯一の機会である大事な選挙の投票率が低いのは、すべて間
接民主主義による欠陥を示しているのではないでしょうか。

日本でも時には直接民主主義の併用を考えてもよいのではないでしょうか。
皆さんはどう考えますか。

爆弾仕掛けたよ

「ブレア首相、とことん話そうよ」(IRAの再停戦宣言)

「ベルファストの春、北アイルランドに和平の合意」
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