ベルファストの春
北アイルランドに和平の合意


ブレア首相「この日が始まり」


1998年4月10日は歴史に残る日となるでしょう。
4月11日の朝日新聞は、朝刊夕刊ともトップ記事でブレア英首相とアハーン・
アイルランド首相が和平合意文書に調印したと報じています。
一年前首相に就任した英国のブレア首相は、北アイルランド問題を解決するため
IRAに停戦と和平交渉のテーブルにつくことを提案して、プロテスタントおよび
カトリック教徒と粘り強く折衝してきました。




一方、北アイルランドというUKの国内問題の解決のために、ブレア首相は面子に
こだわらず、アイルランド移民が多いアメリカに支援を求めました。

クリントン大統領から北アイルランドへの経済支援のための大統領顧問に任命さ
れたジョージ・ミッチェル氏が、プロテスタントとカトリックの円卓会議の議長
となり、両者の意見を粘り強くまとめたようです。

同氏の父はアイルランド移民の家に生まれ、4歳の時にレバノン人の移民夫妻に
引き取られ養育されたと報道されています。それだけにミッチェル氏が「政界に
30年間、今ほど満足、責任、感謝に満ち溢れた時はない」という発言には、重
みを感じます。

ミッチェル氏の功績は、民主党上院院内総務7年という重鎮の座にあったことよ
りも、この和平会談円卓議長として残るでしょう。




ブレア首相はアイルランド共和国にも働きかけ、プロテスタント・カトリック双
方と関係国に譲歩を求め、実質的な解決を図ったという構図になります。
しかしブレア首相は、「・・・北アイルランドの人々はいま平和に生きる機会を
手にしている。しかしこの日は始まりであって、終わりではない。」と、北アイ
ルランド住民に今後の自助努力を求めています。

合意文書の内容は次の通りです。
    比例代表制による北アイルランド地方議会新設。
    この議会が北アイルランドの行政立法を担当する。

    北アイルランド地方議会とアイルランド共和国の代表で、
    「南北評議会」を設け、諸問題の情報交換と協力を実施する。

    英国政府・アイルランド政府とスコットランド・ウェールズ
    北アイルランド地方議会代表で「協議会」を発足させる。

    アイルランド政府は北アイルランド領有を含んだ憲法を修正する。

    IRAなどテロ組織の武装解除を2年以内にする。


5月に北アイルランドとアイルランド共和国双方で、国民投票により、この案が
決められます。

30年間に3千人以上の犠牲者を出した紛争は、ブレア首相の見事な采配で解決
に前進することになりました。


民族紛争・宗教戦争のない平和的解決を願う憶良氏にとって、大変うれしい出来
事です。

首相のリーダーシップとはこういうものかと感じました。
ケネディ大統領の一家もアイルランド出身です。アメリカとUK(連合王国)及び
アイルランドとの民族的な絆につては、私たちの想像を超える深みがあります。
皆さんは今回の和平合意をどう受け止められましたか。

爆弾仕掛けたよ

「ブレア首相、とことん話そうよ」(IRAの再停戦宣言)

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