プリンス・オブ・ウェールズの故事(前頁より)


地形の関係で諸部族が乱立していたウェールズを統一しようとしたのが、アングル
シー島に本拠を構えた大首長リュウェリン公であった。
ウェールズ人は当時から吟遊詩と音楽をこよなく愛し、多重唱が巧みであった。
豪勇の大首長リュウェリン公は吟遊詩人(バード)に人気があったので、吟遊詩人
を使って大首長の下に結集するようウェールズ全土に呼びかけた。
その結果ポーウィズ地方の多くを逆征服し、領土を取り戻した。

大首長リュウェリン公は、豪勇の武将であるとともに思慮深い外交家であった。
イングランドの有力貴族と提携しつつ、時のイングランド王ジョンには忠誠を誓い
ウェールズ人の権利を守るため、マグナ・カルタ(大憲章)に署名している。
王の在位した1194年から1240年は、吟遊詩人が全土で活躍したウェールズ
の国民的復興運動が華やかであった時期といえよう。


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