UKを知ろう


聖パトリックの生涯

数奇な運命のアイルランド守護聖人



はじめに

アイルランドに関係している書物を読んだり、映画を観る時、
よく出てくるのが守護聖人パトリックの名である。
しかし、日本の百科事典でも,旅行のガイドブックでもそう詳し
くは書かれていない。
歴史的な資料が少ないためであろうが、伝説は豊富である。

面白いことに聖パトリックはアイルランドだけで著名ではない。
彼の命日である3月17日には、アイルランド系移民の子孫の
多いボストン、ニューヨーク、ワシントン、フィラデルフィアなど
では、グリーンに身を装った人々が、アイルランド音楽をバッ
クに行進する姿を見た日本人は多いであろう。
とりわけワシントンでは、アメリカ大統領も何か顔を出す慣習
になっているようだ。

これはアイルランド系アメリカ人が、今やアメリカ社会の中で
極めて存在感があることを暗に意味している。
北アイルランド問題にアイルランド系アメリカ人が深く関わっ
ていることは、すでに指摘した通りである。
アメリカ史も絡む興味深いテーマでもあるので、現代の民族
移動や宗教,政治の問題として、アイルランド・UK・アメリカの
関係は別途とりあげたい興味深いテーマである。

アイルランドの国花シャムロック(三つ葉のクローバー)は、こ
の日,海外のアイルランド人が身につけるために、栽培され、
輸出されるのである。

一方
「3月17日の聖パトリックの派手な行進は、お祭り騒ぎになっ
ているが、聖パトリックの生涯は意外に忘れられている」
と嘆く現地の声もある。

「宗教と学問の国」アイルランドを見聞し理解する際に、聖パト
リックの生涯を知っておくことが不可欠である。

そこで、『聖パトリックの生涯』を概略まとめてみよう。
あらかじめお断りしておくが、憶良氏は歴史学者でもなけれ
ば、キリスト教徒でもないので、学問的水準ではなく、自分の
手控え程度の内容であることはご容赦願いたい。


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