落ち葉は焚かないで
(前頁より)



尾根道を北へ少し走ると、道が急に狭くなり、下りカーブになっている。
「なんでこんな古い家が道を塞いでいるの?」
と達ちゃんならずとも、かならず聞かれるから、憶良氏の答えも慣れた
もの。

「これが英国なんだ。昔ここで通行税を取り立てていた関所が歴史的
建物として残されているんだ。相対する左の建物が『スパニアード』と
いう、これまた著名なパブだよ。
ここでは車を徐行し対向車と道を譲り合わないとガチャンだ」

何を隠そう実は、憶良氏も対向車を避け過ぎて、スパニアードの角に
車を押し付けて、ドアをペッチャンコにしてしまったことがある。
家族を乗せていたから、憶良氏は子供たちから一挙に信頼を失ってし
まった苦い経験の場所であるが、この失敗は客人には内緒である。



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