ノルマンディー歴史紀行

モン・サン・ミッシェル大修道院(2)


ロマネスクとゴシックの石造建築美



大修道院の外観と遠望

バスを降り、駐車場から仰ぐ大聖堂に圧倒される。



 大修道院の内陣(身廊)までは、まず海岸の城壁の上の小道を歩く。
島の住人の住まいを取り巻くように、城壁は次第に傾斜し、階段を上
ると、島の中腹にある僧院の入り口に辿りつく。

 勿論、アヴァンセ門から、島の大通りをあがってもよいが、ツアー・は
城壁から島の内外の景観を眺め、僧院見学後、大通りを下るルート
をとった。



 潮の引いた白砂の彼方に見えるのは、モン・サン・ミッシェルと関係の
深いトンブレンヌ島である。

 なぜ大修道院の外観が素晴らしいのか。どうもシンメトリカル(左右
対称)の見事な設計にあるようだ。



内部の見学

 最上部の広場に出た。かっては壮麗な建物があったというが崩落し、
今は聖堂入り口前の広場になっている。

 内陣に足を踏み入れると、修道僧らの聖歌合唱のエコーが、荘厳に
響いてきた。下の階で歌っているようであった。襟を正す雰囲気である。
しばらく椅子に座り、聞きほれる。聖歌はしばらくしてやんだ。
 これまたラッキーな時間帯に入場できたようである。

 春浅きモン・サンミッシェル内陣に隠修士らの聖歌エコーす 憶良


 椅子がある部分は、ロマネスク建築で、二重のアーチ型の窓に厚い
壁、窓は小さい。天井は、ウェイトを掛けないように、木のアーチ天井。
ロマネスクというのはローマ風という意味である。



 奥の部分はゴシック様式で、上部が尖ったすらりと細く高い窓。光が
沢山入り、明るく天井が高い。いわゆる天に突き刺さったような塔を持
つ建築である。石造建築の力学が進歩した成果である。
ゴシックとは、ローマから見れば野蛮だったゴート族風という意味であ
るが、ロマネスク、ゴシックともに欧州中世の建築様式である。



(荘厳な聖歌が響いてきた無人の聖堂)

 建築はこの程度にして、この僧院の歴史をみよう。それはまさに英仏
抗争の歴史そのものである。外観で分かるように、城砦をかねた僧院
である。その血なまぐさい歴史を知れば、モン・サン・ミッシェル大修道
院が、世界文化遺産として一層興味深く理解されよう。



モン・サン・ミッシェル大修道院(3)

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