(前頁より)
気の早い読者の中には、「憶良氏の住んでる場所が今ひとつ落ちる
のではないの」と思う方もいよう。
したがってブルックランド小学校の名誉のために釈明しておこう。この
学校は公立にもかかわらず夏冬の制服制帽やネクタイがあり、高学
年はフランス語の授業もある立派な学園である。
しかし、アイスクリームの魅力は絶対である。憶良氏の子供たちもこれ
を楽しみに何ペンスか持って通学する。楽しく通学するのであれば結
構なことだ。
ザ・ハイウェイ・コードの気配りが、社会的な弱者に行き届いているだ
けではない。
動物が人間と同じように、あるいはそれ以上に大事に扱われる国であ
る。
とりわけ馬が目につく。郊外の住宅街のなかを、颯爽と乗馬服に身を
装った紳士淑女や少年少女が、栗毛や鹿毛や白馬を連ねて、パッカ
パッカと行く様はまさに一幅の絵である。
残念ながら、日本の街路ではこのような環境はない。
ともあれ、ザ・ハイウェイ・コードに戻り、赤字でアニマルと書かれてい
る条文を読んで見よう。
「49 動物たちのそばを通る時には、ゆっくり行きなさい。動物たちと
十分間隔を空けて、必要とあらばすぐ停車できるように準備しておきな
さい。警笛を鳴らしたり、エンジンをふかしたりして動物たちを驚かさな
いように。道路際を通り過ぎる動物たちをよく注視しなさい。特に左回り
のカーブの場所では注意しなさい」
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