上海・黄山・蘇州・杭州紀行


第5日目 上海博物館と外灘




当初から上海では一日かけて上海博物館(20元300円)を観る予定
であった。入館しまず日本語の案内トーキー(40元600円)を借りる。

まず圧倒されるのが中国古代青銅器舘である。
中国古代青銅器は、日本では京都の泉屋博古舘(住友家銅器コレク
ション)で何回かなじみがあるが、上海博物館は本場だけあって質量
ともに世界屈指であろう。青銅器を観るだけでも上海博物館の価値が
ある。

夏   (21世紀-16世紀B.C.)
商   (16世紀-11世紀B.C.)
西周  (11世紀-771B.C.)
春秋  (770-476B.C.)

といった時代の素晴らしい鋳造技術や造形デザインに感嘆する。
なにしろ3・4000年も前、日本では素焼きの土器の時代なのだ。



尊(ZUN)(Wine Vessel)罍(LEI)(Wine Vessel)などの大きな酒
の容器がやたら多い。鼎(DING)(FOOD Vessel)などの食物容器
よりも酒の容器がデザインや造形に凝っている。
これは祭器や政策的な意味をより重要に持つのだろうと感じた。


呉王夫差(後述)のWine Vessel

鼎は三本足と思っていたら、四本足もあった。解説では九本足が最高
というが、上海博物館では四本足以上の鼎は見なかった。

広辞苑で「鼎の軽重を問う」をひくと、周の定王の時、楚の荘王が周室
伝国の宝器である九鼎の大小・軽重をたずねた故事による。・・・」
とあった。

ともかく国宝重要文化財級ばかりで、時間がかかる。
(写真撮影可の場所もあり、ぱちぱち撮った)



古代彫刻を見た後、2階の古代陶磁器舘へ移る。
古代陶磁器は唐、宋、明といった紀元6世紀あたりから清に至るまで、
清楚あり絢爛豪華あり、眺めて飽きない。

くたくたになって喉が乾く。ロビーにある広い喫茶室で小休。
3階は歴代絵画舘、歴代書法舘と歴代印璽舘である。絵画が圧倒的に
多く時間がどんどん経つ。書と印璽は割愛した。

4階では玉器、少数民族工芸、歴代貨幣、明清家具舘である。
玉も名品があるが、玉は台北の故旧博物館には及ばない。
貨幣は刀銭などさまざまなものがあり面白い。
あっという間に5時閉館近く、急いで少数民族工芸や家具を一覧。

制服の警備員が湧くがごとくに現れ、5時ぴたりと各館は閉じられ、エス
カレーターで1階へ。傘立ての傘は後一本残っているだけ。
あわや片付けられるところであった。



その後外灘へバス(1元15円)で。もと租界の外灘のビル街は、あたかも
旧丸ビル街の保存のように景観が保護され、だんだんと暗くなって午後
7時に一斉にライトアップされた。
植民地時代の欧米や日本の建物が、歴史的景観となって、市民の憩い
の場となり、観光資源となっている。
やはり上海は中国の中では最も開放的な街なのだと思う。



対岸の浦東地区は近代的高層建築が並び、その対比が面白い。そぞ
ろ歩きの観光客で溢れている。
(考えて見れば明治大正の建築も、はや歴史的景観なのである)

庶民の渡し(往0.8元 11円、浦東からは無料)でナイトクルーズ代用。
昼を抜かし腹が空いたので、外灘近くの中華料理店で楊州炒飯や水餃
子に焼き蕎麦。安くて美味かった。



第6日(8月28日) 蘇州――――――世界文化遺産を愉しむ――

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