ヨーロッパ横断特急
アラン・ロブ=グリエ監督/1966年作品
 監督第1作「不滅の女」が、脚本を担当した「去年マリエンバートで」に近い"異郷の地・謎の美女・時系列の崩壊・繰り返し・物語性の拒否・温度感のなさ"を徹底して見せたのに対し、2作目の「ヨーロッパ横断特急」では一筋縄でいかない内容ながらもユーモアと溌剌とした躍動感が加わり、本作が最もポピュラリティーを持っているように感じました。

 麻薬の運び屋である主人公がヨーロッパ横断特急に乗ってパリからアントワープまで移動する同じ列車には、映画監督と助手とプロデューサーが乗っていて、まさにこの映画のストーリーを考えている。そこで話される内容によって主人公の置かれる状況は変化し、また主人公が監督たちの席に現れたことで、「彼は俳優のトランティニャンじゃないか。主役は彼でいこう!」みたく映画そのものに影響を与える。

 映画を作る側と映画の中の世界が相互作用しながら、微妙に横滑りしながらも物語は前に進んでいく。 どうです? なかなか面白そうでしょう?(^-^)
僕のお気に入り度
DVDで持っておいて、たまに監督特集しながら見たくなる映画です。この監督の作品の中では最もわかりやすいかも!?



(C) Tadashi_Takezaki 2020