ライトハウス
ロバート・エガース監督/2019年作品
 北米版Blu-rayでロバート・エガース監督の2019年作品「The Lighthouse」を見た。日本未公開。

「ウィッチ」が高く評価された監督の新作で、ロバート・パティンソンとウィレム・デフォーが、まさに渾身の演技を見せる。実質、この映画にはほぼこの2人しか出てこないので、彼らが映画の全てを支えていると言っても過言ではない。

荒れる海に囲まれた孤島に船でやってきた2人の男。老いた男と若い男は、4週間の間、この島の灯台守を担当する。 老いた男はいつも酒を飲んでいて、ベテラン風を吹かして偉そうで、若い男に命令ばかり。石炭を運んだりドラム缶を螺旋階段の上まで引き上げたり、重労働は全て若い男がやらされ、灯りがある灯台の最上部は老いた男が独占し、若い男は入れてもらえない。

仕事は過酷、島のカモメには威嚇され、老いた男は身勝手で、若い男はどんどん追い詰められていき、やがて人魚に海に引き摺り込まれるような夢にうなされるようになる。

ついに4週間が過ぎ、ようやくこの生活ともオサラバできると思ったところに大きな嵐がやってきて、交代する灯台守を乗せた船はやってこず、嵐は何日も何日も続き、食糧庫も嵐にやられ、空腹の中、酒しか腹に入れるものはなくなり、やがてはその酒すらなくなって…

こんな悪夢のような出来事を、全編35mmで撮影されたほぼ正方形の美しい白黒映像で延々と見せるのです。まさにサイレントホラーの佇まい。閉鎖空間で精神的に病んでいく重苦しさと恐怖を見事に映像化していて、これを現代の作家が作るとは…と驚きの一作。

老いた男の言葉の訛りがすごくて、英語のヒアリングがかなり難しいので、ちゃんと日本語字幕付いた形で、しかも劇場で観てみたいなぁ!
僕のお気に入り度
ちゃんとスクリーンで観たいなと思っていたら2021年夏に日本公開が決まりました。



(C) Tadashi_Takezaki 2021