嘘をつく男
アラン・ロブ=グリエ監督/1968年作品
 兵士に追われる男が森の中を逃走している。ついに男は銃撃され、崩れ落ちる。陽の光が明るくなってくると、男は何事もなかったかのように立ち上がり、街に向かって歩いてゆく!? …のだが、男は自分のことをジャンだと言ったりボリスだと言ったり…また、画面に映っている景色と彼の語りの中身がまるで違う。そう、彼は"嘘をつく男"なのだ。

  そんな男が街に辿り着いてから、街で英雄扱いされている戦場から帰らぬ男の話を聞きつけ、その男の城に乗り込んでいって、妻と娘と女中に対し、「自分は彼と一緒に戦った親友だ!」と、その場その場で矛盾だらけの適当な話をでっちあげながら居ついて彼女たちを次々と誘惑する。

  しかし、彼には何かハッキリした野望があるわけでもないようで、単に女たちを口説き、「僕は彼の親友なんだ」「実は僕が彼を裏切ったんだ」「実は僕は彼なんだ」と嘘の物語を吐き続ける。

 やがて、彼が回想し演じる物語と現実が重なって… と、まぁ、そんな作品です。時系列に起承転結の物語を描くことを拒否する監督は、今回は"嘘"によって新しい構造を提示して見せたのでした(^。^)
僕のお気に入り度
DVDで持っておいて、たまに監督特集しながら見たくなる映画です。



(C) Tadashi_Takezaki 2020