英雄の条件
ウィリアム・フリードキン監督/2000年作品


あらすじ

中東イエメンで起こったアメリカ大使館包囲事件。アメリカ政府の要請で大使館員救出に向かったチルダース大佐率いる海兵隊は、暴徒と化した民衆に向かって銃撃を決断。それによって、83名の一般市民が殺害され、百数名にも及ぶ一般市民に負傷者を出す事態となった。これは、「狂気の無差別殺人か?正規の軍事行動か?」。発砲命令を出したチルダース大佐の弁護を引き受けるのは28年前、ベトナム戦争でチルダース大佐に救われた戦友のホッジス大佐。アメリカ政府の威信を失墜させたこの事件の裁判は孤立無援の2人にとって、あまりにも過酷な戦いになっていく。

主な出演者
サミュエル・L・ジャクソン / トミー・リー・ジョーンズ / ガイ・ピアース / ベン・キングズレー


感想

  「英雄の条件」は、イエメンで起こったアメリカ大使館包囲事件で、大使の救出に向かった海兵隊が、暴徒と化した民衆に向けて銃撃を行い、一般市民を含めて多数の死傷者を出してしまった話。 これは無差別殺人なのか、 正しい軍事行動なのか? この映画での争点は、民衆が武装して大使館側を銃撃したから海兵隊が報復攻撃をしたのか、それとも、何の武器も持たない民衆に対して海兵隊が一方的に武力行使したのかという一点。 しかし、広く捉えると、戦争で人を殺すことは「殺人」なのか「正しい行為なのか」というテーマを問う物語でもある。 そういった視点で見ると、この映画では主人公が正しい行動をとったのに悪役にされてしまう"冤罪"の物語として全体を描いているのが気になるところ。テーマを深く追求することなく、単純な悪役を立て、彼が諸悪の根元であることを暴けない中で不利な裁判が進んでいく様が延々と描かれていく。 そんな風に横道にそれて主題が不明瞭になっていく映画になってしまったのは残念だが、それでも「正義とは何か?」ということをなかなかに考えさせられる、それなりにサスペンスフルな物語になっているから結構飽きずに観てしまった。
僕のお気に入り度
とは言っても決して完成度が高い映画ではないので、DVDを買ったりはしないですね!



(C) Tadashi_Takezaki 2002