キューブ
ヴィンチェンゾ・ナタリ監督/1998年作品


あらすじ

ある朝、目が覚めると箱状の密室に閉じ込められていた。その内側の六面にはハッチがついておりどうやら、別の箱とつながっているらしい。そんな箱の中で知り合った者達が出口を目指すのだが、箱にはその箱ごとにさまざまな罠が仕掛けられていた。命を奪う罠の中、彼らはこの箱から脱出することができるのであろうかたまたま、めぐり合った6人で出口を目指す。しかし、キューブは安全地帯ばかりとは限らなかった。ガス、吹き矢、刃物……様様な罠が一行の行く手を阻む。出口はあるのか?キューブからの脱出を試みる6人は、果たして無事に脱出することが出来るのだろうか。

主な出演者
モーリス・ディーン・ウイント / ニコール・デボアー / デヴィッド・ヒューレット / ニッキー・ガーダグニー


感想

 これは不思議な映画だ。不思議であると同時に才気を感じさせる映画。 ひとことで言うと「謎の箱に閉じこめられてしまった人々がその箱から脱出しようとする物語」。 主人公達は、気がついたときには得体の知れない謎の箱の中にいる。箱には、上下左右の6面にそれぞれ隣の部屋に通じる道があるが、その中には人の命を奪う罠が仕掛けられている部屋がある。 冒頭の10分ほどでそのことを説明した後は、映画は前後の事情を主人公はおろか観客にも説明することなく、急激に我々を物語の中にひきずりこんでしまう。 この映画の観点はいくつかあるのだが、まずはワンセットを非常に上手に使って映画を成り立たせているっていうのがひとつのポイント。登場する場面はほとんどずーっと変わることない四角い部屋の中く(壁の色が変わるだけである)、そんな中で観客を飽きさせることなく、緊張感を保ちながら90分を引っ張っていく才能には脱帽。これは、イコール、低予算を逆手にとった映画の作りとして秀逸ということ。 結局主人公達を取り巻く状況の説明もきちんとされることはないのだが、それはそれで強引に納得させられてしまい、「なぜ、こういう状況になっているのか?」という問題を巧みにすり抜けながら物語は進んでいく。しかも、その展開の仕方が妙に理知的で数学的で知的好奇心をくすぐられるので、気がつくと物語の中に入り込んで自分まで非常に緊張してしまって、なぜここに自分がいるのか忘れてしまっている。 ムムム……上手い! こういうのって頭が良くないとちゃんと作れないよなぁ、って思わず拍手喝采してしまう完成度をみせる映画「キューブ」。一切の無駄のない作りに感心した映画でした。 DVDでは同時収録されている「エレヴェイテッド」という監督のデビュー短編も、20分ほどの作品ですが、才気を感じさせるすごい作品でした!
僕のお気に入り度
もともとDVD買って見たのですよね。才気を感じさせる映画で、かなり好きです。



(C) Tadashi_Takezaki 2002