クロスファイア | |
金子修介監督/2000年作品 | |
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感想 映画版「クロスファイア」を観てつくづく思ったのは、「宮部みゆきさんの小説の描写力は、やっぱり凄いなぁ……」ってこと。 映画版「クロスファイア」が全然ダメってわけじゃなくて、すごく丁寧に、巧みに原作をまとめあげて一生懸命作られているのがヒシヒシと感じられるのだ。でも、そんなにがんばって作られていても原作小説の前では一瞬にしてかすんでしまう。まるで炎に吹き飛ばされるかのように……。 この映画の原作は「鳩笛草」(光文社文庫)という短編集の中の1編「燔祭」と、「クロスファイア」(光文社文庫)という2作品。”念じるだけで物を燃やすことができる”という特殊能力を持って生れた主人公・青木淳子が、深く悩みながらも自分の力を自分の信じる正義のために使って、裁かれることのない凶悪な犯罪者を処罰していく物語だ。特に「クロスファイア」の方は、読み出したらとまらない、読んでいるだけで目の前に映像が見えてしまう、”正義とは何か?”というテーマをアクション映画のような勢いで描ききる力作。(しかも、結構、感動してしまう……。) この原作を読んでしまったら、たとえどんな形で映画を作られても、もう同列では評価できない。 2つの小説を見事にまとめた脚本は素晴らしい仕事だと思うんだけど。 映画版「クロスファイア」を原作小説を読まずに観る人は幸福だ。それでこそこの映画を正当に評価できるのだと、僕は思う。でも、そんな人も映画を観た後は、ぜひ小説も読んで衝撃を受けてほしい。 |
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僕のお気に入り度 この映画は善戦していますがDVDを買うほどではないですねぇ。小説を買いっ!って感じです(笑)。 |