カセットテープ・ダイアリーズ
グリンダ・チャーダ監督/2019年作品
 「カセットテープ・ダイアリーズ」は、心洗われる爽やかな作品です。友達との愛、恋人との愛、親子の愛が重すぎず軽すぎず、丁寧に積み重ねられながら描かれます。ふと青春を思い出したり、ちょっと幸せな気持ちに浸りたいときにオススメ♪

 邦題の「カセットテープ・ダイアリーズ」が、なんかNetflixの「13の理由」っぽい内容を想像させるものの全く違っているし、確かにカセットテープもダイアリーも登場するけれど、この組み合わせが物語の鍵になるわけでもありません。

 パキスタンからイギリスに移住してきた一家の、ティーンエイジャーの長男が主人公。外に出れば人種差別に遭い、家の中では家長である父親の絶対権力の下で暮らさねばならない。本人は詩や文章を書くのが好きなのに、それを父親は認めようとせず、「こんな不自由な暮らしは嫌だ、こんな場所から出て行きたい!」と主人公は切に願うのです。

 そんなある日、友人から借りたブルース・スプリングスティーンの曲を聴いたら、その歌詞は、彼の気持ちを代弁するようなもので、これをきっかけに主人公は自分らしい生き方を考え始めます。 原題はブルース・スプリングスティーンの1973年の曲「Blinded by the Light」。この曲の解釈が、物語を美しく締めくくります。
僕のお気に入り度
とっても素敵な映画です。十代後半に見てみたかったなぁ!



(C) Tadashi_Takezaki 2002