アリス
ヤン・シュバンクマイエル監督/1988年作品
ヤン・シュバンクマイエル監督の1988年作品「アリス」を見た。おなじみ「不思議の国のアリス」を監督独自の世界観で脚色、映像化。

自分の好きなものが溢れた部屋で、ひとり遊んでいる少女アリス。ある日、うさぎの置物が自分を留めている釘を抜いて服を着てガラスケースを壊して脱走し、引き出しの中に入っていく。アリスもウサギを追いかけて引き出しの中へ… そして、アリスの冒険が始まる。

主人公のアリスは生身の役者が演じているが、それ以外はすべて「人形アニメーション」で描かれ、えもいわれぬ不思議な世界を見せてくれる。これぞ、まごう事なき"不思議の国"!

しかも、この世界観がなんとも言えないダークさで、リンチの映画を見ているようだ。人形キャラクターの造形も不気味で凄い。

BGMはなく、セリフと効果音だけで物語は進むのだが、セリフはすべて状況説明や他キャラクターの言葉に至るまでアリスがひとりで話す。しかも、セリフの場面ではアリスの喋る口元のアップに切り替わる。(アリスの夢だから、彼女が全てを語るのは正しい。)

ダークでシュールな独自の世界を自由に表現し、これでもかと見せてくれる本作は、まさに文字通り「不思議の国のアリス」である。
僕のお気に入り度
不思議な魅力の独自の世界なので、こういう世界が見たくなった時のために持っていたい感じかな。



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