アンデッド
ピーター&マイケル・スピエリッグ監督/2003年作品


あらすじ

静穏な田舎町バークレー。話題になる事といえば、町の美人 コンテストぐらいという、大事件など起こるはずもない片田舎 に、ある日突然大量の隕石が降り注ぐ。岩の固まりに直撃され 即死者続出の凄まじい大惨事が展開するも、本当の悲劇はこの 直後に待っていた……。  なんと、隕石を喰らった死者たちが”不死者”として蘇り、 町の人間を手当たりしだいに襲い始めた。”不死者”に噛まれ た者は感染してしまい、自らも”不死者”へと変貌。町はほん の数時間で壊滅状態に陥ってしまう。  同じ頃、町を出ようとしていた美人コンテスト優勝者のレネは、”不死者”の襲撃に逢い、必 死の逃走を開始。追い詰められた彼女は町外れの農家に逃げ込 む。そこは武器ショップを経営し、町の人間からは変人扱いさ れていたマリオンの家だった。マリオン は特製の三連散弾銃を構えて”不死者”に応戦。さらに命から がら逃げてきた4人の生存者が集まり、絶対絶命の危機的状況 の中、生き残りを懸けた壮絶なサバイバル・バトルが幕を開け る。

主な出演者
フェリシティ・メーソン / ムンゴ・マッケイ / ロブ・ジェンキンズ


感想

 オーストラリアで生まれた低予算B級ホラー映画。 サム・ライミの『死霊のはらわた』、ピーター・ジ ャクソンの『バッド・テイスト』、そしてフランシス・フォード・コッポラの本格的な監督デビュー作 『ディメンシャ13』と、若き映画監督が最初に手が ける低予算B級ホラー映画には掘り出し物がある。 さて今回の『アンデッド』はいかがだろうか?  限られた予算枠の割には映像自体はそこそこまと まった完成度だと思う。しかし、いきなり冒頭から 役者がどうにもこうにも安っぽい(笑)。さらに、 追い討ちをかけるかのごとく、役者の台詞まわしの 下手さ+妙にカッコつけちゃった台詞のダブルパンチで目まいクラクラ。これぞまさにB級ホラー の王道か!? 冒頭の登場人物を見せていくシークエ ンスは2度目に見ると理解できるが、初見では展開 が下手すぎて、何がなんだかわからない。劇場に2 度足を運ばせるつもりで作ったとしか思えないこの 超B級な作りには、何故か怒りを通り越してうすら 笑いすら浮かんでしまう(苦笑)。  映画前半、極限状態で人々がパニックを起こして いる様を表現しようと一生懸命なスピエリッグ兄弟 だが、あっちで「ギャーギャー」こっちで「ギャー ギャー」と、あまりにもバラバラにヒステリックな 叫びを連発させるので、映画を見ているこっちが頭 痛してきて叫びたくなってしまうぜ(怒)。長編初監督ということで大目に見るが、観客を不安にさせ る演出が下手というか不器用というか……。って、それでホラー映画撮っちゃダメじゃん!(笑)  「嗚呼、俺はなんてひどい映画を観てしまったん だ〜!」と途中まで絶望的な気分で鑑賞していた『 アンデッド』だが、最後の30分にさしかかってからの展開には目を覚まされた。これ以上書いてしまっ たらネタバレになってしまうので説明出来ないのが残念。この予想もしないストーリー展開は誰もが驚 くはず。今まで相当な数の映画を観 てきた僕だが、正直言ってこんな展開、観たことな い。  予想だにしないひっくり返し方で驚いていたら、 さらにもう一発脱力系なオチが繋がる強烈B級コンボが用意されていて、最後は燃え尽きた矢吹丈( 「あしたのジョー」ラストシーン)のごとくガック リきてしまう見事なB級映画っぷりには、もう拍手 を贈りましょう。パチパチパチ……。  映画の途中、何故こんなとこにこだわるんだろ? この話の展開に何の関係があるんだろ? とずーっとヘンに思っていたものは最後に伏線だったのだと 分かるが、こんなしょーもないネタに伏線まで張ってこだわるなよ、スピエリッグ兄弟!(苦笑)。  この映画で、ひとつだけ気になることがあります。 作品を観た方全員が思う謎……「ミス・バークレー 」。監督がこれにこだわる理由は一体何だったので しょうか? 観た方で分かった人は是非共私に教え て下さい(笑)。スピエリッグ兄弟は「ミス・バー クレー」に何か甘くてほろ苦い想い出があるに違いないと僕は睨んでいるんですが……。
僕のお気に入り度
プレスにコメント書くってことで見た映画ですが、ぶっちゃけキツかったですね〜。ま、そこがB級映画のB級映画たるゆえんってとこですが(苦笑)。DVDは買いません。そもそも出るのか!?



(C) Tadashi_Takezaki 2004