リング
中田秀夫監督/1998年作品


あらすじ

テレビレポーターの浅川玲子は、女子学生の取材をするうちに、見たら一週間後に死ぬというビデオの話を聞く。特にその話を信じるわけでもない玲子だったが、自分の姪の謎の死をきっかけに、そのビデオが実在するのではないかと調べ始め、ついに伊豆の山荘でビデオを発見。そのビデオに映っていたものは……。

主な出演者
松嶋菜々子 / 真田広之 / 沼田曜一 / 大高力也


感想

 この映画を最初に銀座の劇場で観たときの、劇場内の凍り付いたような空気が一生忘れられない。映画が終わるや、ロビーに駆けだした女子高生たちは先を争うかのように携帯電話をかけ始め、「チョー怖い〜ッ!」と話し始めた。以下、ネタバレあり。
 さて、この「リング」、ここしばらくの恐怖映画の中ではダントツに秀でた映画だと思う。確かに予算は少なく、時間の制限もある(劇場では「らせん」と2本立てのため、1時間半の尺で作られた)。しかし、そういった厳しい制限の中で、実によく工夫を凝らし、安っぽい映画にならないどころか、人が感じる本質的な"恐怖"を見事に映像化した。すごいCGはなくても、何気ないカットが観る者を震えさせ、貞子の動きは生理的恐怖を感じさせる。そして、映画全体は、恐怖だけではなく、謎解きや、家族愛といった要素を絡めながら最後まで観客を飽きさせずに引っ張っていく。
 「うまい!」と思いながらもちょっと残念なのは、物語の進行を早めるために、事件が超能力によってどんどん解決されていくことかな。他に簡略する方法を思いつきもしないのでこれしかないかな〜と思いながらも、超能力で過去の映像がバンバン見えちゃうのはなぁ…と思わなくもない。あとは、やはり日本映画って、役者の演技やセリフが「演技」や「セリフ」に感じられてしまうので、洋画にくらべて「学芸会」っぽく見えるのも残念なところ。でも、そんな全てを最後の「貞子の登場シーン」が吹き飛ばしてしまうんだから、やはり中田秀夫監督の演出に素直に拍手したい。
僕のお気に入り度
もちろん、LD買って何度も見てます。何度見てもゾッとします(笑)。「リング」の映画や「座敷女」って漫画は、なんか呪われてそうで身近に置いておくのがためらわれますよね(苦笑)。



(C) Tadashi_Takezaki 2002