泌尿器科医・木村明の日記


今年も日帰り6箇所生検を続けます


2011年、明けましておめでとうございます。
Fritz H. Schroder:Eleven-Year Outcome of Patients with Prostate Cancers Diagnosed During Screening After Initial Negative Sextant Biopsies. European urology 57(2010)256-266
European urologyに昨年発表された「初回前立腺6ヵ所生検が陰性だった人のその後」という論文。
前立腺肥大症の薬を作っている製薬会社が作ってくれている抄録集で、内容を知り、
昨年4月にオリジナル論文をMRさんに取り寄せていただき、私なりのサマリーをここに載せました。
秋になって、前立腺癌の薬を作っている製薬会社が作ってくれている抄録集で、同じ論文がより詳しく取り上げられました。
そして、それには、PSA住民検診に関して、日本泌尿器科学会の中では最も詳しい(厚労省の研究班の班員だったが、結論に抗議して辞任した)先生が、
「6箇所生検は適切な生検法ではなく、初回生検で見逃され」、癌死した7例(2.4%)の臨床経過について検証を行う必要がある、
とのコメントが付いていました。日本泌尿器科学会の前立腺がん検診ガイドライン作成委員の先生が、この論文は検証不十分とコメントされたわけです。
なので、まだしばらくは、入院した上での、8~12箇所生検が、日本では標準検査とみなされることと、思います。
この論文で理論武装はできませんでしたが、私はここで紹介していただいた通り、今年も日帰り6箇所生検を続けます。
何本取るかではなく、

超音波画像をよく理解し、どこを刺しているのか分かっている医者が、

充分な長さの標本を取る事が大事なのです。
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