ピッコロ会都筑区駅前クリニック
今日は完全なるフィクションです。
①
前回のあらすじ
2005年に開業したアキラ医師は黒字になった3年目、元金返済を担当させる目的で、法人「ピッコロ会」を設立した。
院長とピッコロ会とが600万円ずつ分け合うことで節税することができた。
2012年、元金返済が終了。
今後も、ピッコロ会にお金を残すかどうか、院長宅で経営会議が開かれた。
②第1幕:2012年3月、院長宅。
院長:「やっと、ローン返済が終わった。院長の給料は1200万円にしよう。」
事務長:「税金が240万になるわよ。今まで通り、院長の給料は600万円にして、ピッコロ会に500万貯めていきましょう。娘が開業するかもしれないから。」
③第2幕:2022年1月、クリニック診察室。
(68歳になったアキラ院長が、10年来の付き合いの某MRさんと歓談している。)
某MRさん:「ところで、娘さん、どうされてます?」
院長:「
カテーテルアブレーションの症例数が多かった病院から、200床の病院に転勤させられて、ふて腐れているよ。」
某MRさん:「実は、ジャジャマル百貨店のポロリ先生が廃業されるようで、居抜きで継承してくれる医者を探しているんですが、同じ循環器、娘さんはどうでしょう?」
④第3幕:2022年3月、ジャジャマル百貨店4階のポロリ医院。
(3月で廃業するポロリ先生の案内で、アキラ院長、事務長、娘が設備を見学している。)
事務長:「いいじゃない。内装しなくていいし、ピッコロ会に貯まった5000万を運転資金に使っていいから開業すれば?」
娘:「X線装置が古いバージョンだし、あまり気がすすまない。」
⑤第4幕:2022年5月、ジャジャマル百貨店の事務室。
(廃業2ヶ月経ったが、まだ継承者が見つかっていない。)
百貨店代表:「5年契約していただけるなら、1年目は大幅割引しますが、いかがでしょうか?」
ポロリ先生:「スケルトン返しする費用を考えると、是非開業していただきたい。古いX線装置の撤去費用は私が負担してもいいです。」
娘:「私が開業するという噂が医局で広まってしまった。この辺が潮時かも。」
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この寓話の教訓は?
法人は人と同じ。生まれてきた以上、自身が生き続ける事が最大の目的となる。
創設者の給料を削ってでも、自分の貯金を増やし、
その資金力で、次の院長をスカウトする。
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