81年12月15日 Johnny,Louis,& Char
名古屋雲竜ホール




この日のことは資料も無く私の記憶なので記録・データファイルとしての価値はありませんが掲載いたします。

正直、12月のこの日だったかの記憶もありません。異常気象の年だったか台風が異常に多いか少ない、とにかく季節外れの台風がライヴの前日に本州を襲い東海地方も風雨強い夜の翌日だった記憶があります。

AORやフュージョン好きの友達と名古屋は新栄駅すぐの雲竜ビル内にある雲竜ホールに向かいました。開演少し前に到着した頃には全席自由席の会場内はイスもほぼ埋まり後の方の席を確保しました。

その会場の観客席とステージの間は階段3段で観客席は赤っぽい絨毯でイスは固定式ではない軽量で青色の生地が貼られた綺麗なパイプイスが綺麗に並べられていたような気がします。

そして間もなく場内が暗転した瞬間、観客はそれとはなしに立ち上がりステージ前に近づこうと前へ詰める雰囲気に包まれました。私もそれにつられるように前に詰めたのですが、心は詰める気持ちでも人の波に押されフト気づくと私はステージ前に押し寄せる観客を止める警備員の間をくくりぬけステージ前の階段を2段登ってチャーの真ん前に立つ高位置を確保していたのでした。

ところが1曲目"You're Like A Doll Baby"が始まり歌に入る頃には観客の前に出ようとするパワーにスクラムを組む警備員が絶えられずどんどんステージ側に押し寄せてきます。警備員がステージ側に押し寄せられれば警備員よりもステージ側にいる私は更にステージ側に押し出される形になり階段を更に1段登りステージにいる形になってしまいました。

不可抗力状態(本当?)の私はチャーの前にある2つのモニタースピーカーの間でマイクスタンドのすぐ脇。"You're Like A Doll Baby"を唄うチャーの顔と私の顔は数十センチ状態。唄うチャーの口からは唾が飛び散り私に降りかかるのが嬉しいやら哀しいやらで、視線が合い続けるのも辛い気分。視線を落とすとマイクスタンドには予備のピック。目の前でムスタングをピックでカッティングする手。更に視線を落とすと真下にはエフェクター。そして演奏するチャーの足というか拍子を軽くとる靴。ウーン、エクスタシー。このままステージ上に飛び出してしまいそうですがライヴが中断・中止になるのは本末転倒。ステージ袖に待機するスタッフに引きずり出されるのも間違いありません。

とにかく片方の足だけ一段だけ階段に降りそこで腰を少しかがめ、後から背中で押し続ける警備員の勢いでマイクスタンドを倒さないようにチャーの2台のモニタースピーカーに両方の手でついて自身の体をささえ続け演奏するチャーを見上げるように観続けたのでしたが相変わらずチャーの口からは唾が飛び、おまけに汗も飛び散るようになりました。

テンポの速い曲が5曲位続いた頃、観客席の中ほどでは観客同士が喧嘩を始めたようです。その喧嘩は回りの観客を動揺させ、その動揺は会場全体に伝わっていきます。急に私の背中に押し付けてくる圧力も無くなりました。後を振り返ると人の波がひいていきます。その観客の動揺に警備員は観客を観客席に戻していきます。次から次へと曲を演奏しているバンドもそれに気づいたようでここで間を置きました。私も疲れたし、そろそろ潮時と友達がいる席に戻りました。

会場後方の席に着いた頃、チャーは「昨夜の台風の影響で・・・」とスロー・テンポな曲を始めました。隣に座る友達に「何があったの?」と聞いたら「椅子の上に立たないとバンドの顔も見えない状態で怒った一人がステージ前の人の山にイスを投げつけ始めたんだよ」と教えてくれました。

スロー・テンポな曲が3曲も続けば次はアップ・テンポな曲が始まると再び観客は立ち上がり前へ詰める雰囲気に包まれました。私もそれにつられるように前に詰めたのですが、やはり心は詰める気持ちでも人の波に押されフト気づくと私はステージ前にいたのでした。でも今回はチャーの真ん前ではなくチャーの前にある上手側のモニター・スピーカーの前で階段2段登ったところ。警備員と警備員の間に位置して2度のアンコールが終わる終演までライヴを見続けたのでした(友達は中盤のスローな曲の時以外はイスの上に立ち続けて観たそうです)。

その日は本編が終わった時も、アンコールが終わった時も、チャーはムスタング(この日はチャー・モデルではなくムスタング)をギター・アンプに立てかけるものですからフィードバックで耳がつぶれそうになりました。




JLC(Pink Cloud)はなかなか満員御礼にはなりませんでしたが愛知勤労会館が多かったです。当時の名古屋はロックと言えば名古屋市公会堂、愛知勤労会館、雲竜ホールでした。ニューミュージック(死語:60年代のタイガース、スパイダース、ゴールデンカップスなどグループ・サウンズと同じで70年代のツイスト、サザン、ゴダイゴなど自作自演もしくはバンドで活動する日本歌謡の分類の一つ)の人たちは名古屋市民会館を使用することが出来ました。




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