要 請 書

法務大臣殿

東京入国管理局長殿

2005年3月16日

1435虹の架け橋ほっかほか人文字実行委員会

【+国会議員有志】




要請の趣旨


○多民族・多文化との共生について

 多民族・多文化共生社会を目指した施策を立案・実行してください。日本人も外国人も民族的少数者も、その個性を尊重しあって共に生きていきたいのです。

○収容所での処遇環境について

被収容者の処遇環境を改善にしてください。少なくとも、被収容者に、土曜日日曜日も含めて毎日、運動及び温シャワーが使用できるようにして下さい。また、食料の差し入れもより柔軟に認めて下さい。

○在留と収容について

 無期限収容はやめ、不必要な収容をしないでください。そして人道上の配慮を要する外国人に対し、在留を許可してください。

○難民について

 難民をより積極的に庇護し、日本をようこそといえる国にしてください。


要請の理由

1 はじめに

  現在の日本社会には、朝鮮や台湾などの旧植民地出身者とその子孫、難民、外国人労働者とその家族などの外国人が、多数居住し生活しています。また、外国籍であったがその後日本国籍を取得した人、国際結婚などにより出生し日本国籍を取得した子ども達など、民族的少数者も増加し、多民族・多文化化の傾向は急激に進展しています。

  一方で、外国人をめぐる法制度は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という)と外国人登録法という、外国人の「管理」を主眼とした法律を中心に整備されており、その人権の保障のための施策は改善が望まれます。そして、国家主義や、排外主義が高まってきています。

  しかし、日本のいくべき道は、国籍、言語、文化や性など、人間の個性の様々な違いを認め、尊重しあう、多民族・多文化共生社会であると思います

  私たちは、以上のような認識に立ち、本要請に至りました。

2 ○多民族・多文化共生について

(1) 多民族・多文化共生社会は、国籍、言語、文化や性など、人間の個性の様々な違いを認め、尊重しあう社会です。多文化共生社会は、私たち誰もが、人間として尊重される、生きやすい社会です。

(2) 私たちは、排外主義を廃し、個人の尊厳が尊重される社会で、日本人、外国人、民族的少数者と共に生きていきたいと思います。そして、この多民族・多文化が排斥しあわず、共に尊重しあう社会こそが、21世紀の日本が目指すべき社会の形だと思います。

3 ○収容施設の処遇環境について

(1) 被収容者処遇規則には第28条(運動)に、「所長等は、被収容者に毎日戸外の適当な場所で運動する機会を与えなければならない。」と定められ、また、第29条(衛生)に、「所長等は、被収容者の衛生に留意し、適宜入浴させるほか、清掃及び消毒を励行し、食器及び寝具等についても充分清潔を保持するように努めなければならない。」と定められ、また第36条(物品の授与及び送付) に「所長等は、被収容者に対し物品の授与の申出があつた場合又は送付があつた場合において、その物品を検査し、収容所等の保安上又は衛生上支障がないと認めるときは、その授与を許可し、又はこれを交付しなければならない。」とされています。

(2) 2004年12月10日世界人権デーには、入国者収容所東日本入国管理センターの被収容者たちが、処遇環境の改善を求めました。この要求項目を実現されるようにお願いします。

  そして、私たちからも、被収容者がより人間的な環境で過ごすことができるように被収容者の処遇環境を改善にするようにお願いします。少なくとも、被収容者に、毎日、運動及び温シャワーが使用できるようにして下さい。また、食料の差し入れもより柔軟に認めて下さい。

4 ○在留及び収容について

(1) 国境を越える人の移動が当たり前の時代になりました。

  マイノリティである外国人が地域の人々と「共に生きる」ために、在留が安定していることが大切です。

(2) 当該外国人の在留を認めることが日本社会にとって利益になり、在留を許さず母国に強制送還することが酷な場合があります。このように、人道上、在留を認めることが要請される場合には、もう、強制送還はいりません。在留特別許可を弾力的に行うようにして下さい。

(3) また、日本では、1日平均1435名(2003年入管統計)の外国人が収容されているといいます。

(4) 法務省は、入管法上の収容を「全件収容主義」や「収容前置主義」などと称して、入管法違反の疑いがある者などについて必要性や相当性を勘案することなく収容し、退去強制令書による収容については、身体拘束が無期限です(入管法52条5項)。

しかし、人の自由を奪うことは、生命を奪うことに次ぐ人権の侵害です。収容の必要性がない強制収容はやめてください。

5 ○難民について

  日本は難民条約を批准しています。

  しかし、2004年、日本で難民と認定された人は15人。G7諸国でワースト No1の地位を占め続けています(たとえば、2001年UNHCR統計 米 2万8300人、ドイツ2万2720人、カナダ1万3300人、イギリス1万9100人など。日本の1年分の難民を、アメリカでは5時間で認めている計算になります!)。

日本が、真の人道的な国家となり、世界各国から尊敬を集めるために、難民鎖国ともいわれるような現在の難民認定制度を改め、ようこそと言える国にしてください。

  そうすれば、日本は、立派に世界平和に国際貢献し、「国際社会で名誉ある地位」(憲法前文)を占められる一歩になると思います。

以上