◆1435人って何のことですか?
法務省発表の統計によると、2003年の入管施設での年間収容延人数の総数は523,617名です。これを365日で除したものが、1435名。これが1日あたりの平均強制収容者の数です。
その中には、難民として日本に庇護を求める者はもちろん、家族のある人、長期滞在者、病気・怪我治療中の人、子ども、高齢者、裁判係争中の人、妊婦、送還の目処がつかない人も、在留資格がないという理由だけで、強制収容を続けられています。

◆強制収容所はどこにあるんですか?
  収容されている人と面会できますか?

外国人の収容所は、日本各地にあります。特に大規模な強制収容所が、東京都には品川に、茨城県には牛久に、大阪には茨木に、長崎県には大村に、あるのです。

在留資格のある人であれば、誰でも面会できます。

◆難民を含めた外国人の収容は、とくにどんな点が過酷なんですか?

いろいろ過酷な点がありますが、最も過酷な点は、この強制収容には、基本的に期限がないということでしょう。

日本では、刑罰を受けた受刑者も、きちんと「刑期」が決められ、この日に向けて、がんばって更正しています。でも、外国人は、いつでられるかが全くわからないという絶望の中で生きています。

「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(国際人権B規約)9条1項は、必要性のない無期限の身柄拘束などの、恣意的な拘禁を禁止しています。
現在の入管法のように、逃亡のおそれなど拘禁の必要性を全く考慮せずに、全て収容する取り扱いは、恣意的拘禁に該当するという他ありません。

国連の規約人権委員会も、その旨の勧告を出しているのです。

◆日本に難民がいるんですか?日本でどうしているんですか?

日本にも、母国の迫害を逃れた難民は、庇護を求めて逃れてきています。

2002年、日本で難民と認められて庇護された人は、たった14人。
日本は、G7諸国でダントツ・ワースト No1。
(2001年統計 米 2万8300人、ドイツ2万2720人、カナダ1万3300人、イギリス1万9100人など・・・)
その差は歴然としています。
しかも、難民としての庇護を認められなかった人は、強制収容所で拘禁され、出身国に強制送還を命じられています。

*詳細は 賛同団体の一つ 難民受入れのあり方を考えるネットワーク

 をご覧ください。 http://www.ref-net.org

◆難民を保護しなくてはならないという法的な根拠はあるんですか?

日本は、他国とおなじように、「難民の地位に関する1951年条約」(http://www.unhcr.or.jp/protect/1951_joyaku.html)を批准しており、難民を強制送還しない義務を負っています。

でもなぜか、なぜ日本だけ「普通の国」になれないんですね。
平和憲法を持つ日本は、「平和的生存権」を全世界の人々が享受できるよう、難民を保護し、外国の迫害を終わらせるための平和外交にこそ、力を注ぐべきです。

◆日本にはどれくらい在留資格のない外国人がいるんですか?
  そのほか、外国人はどれくらい住んでいますか?

今日、日本には22万人近い超過滞在外国人が存在するといわれています。
これらの人々は、日本人が担わない底辺の経済活動を支えてきた人が多いのです。税金も払っている人が大半です。

そのほか、外国人登録者数は、現在約191万人となり、すでに人口の1.5%を占めるようになっています。外国人のうちわけは、現在の日本では、植民地支配の結果として日本で生活せざるをえなかった旧植民地出身者とその子孫、移住労働者、難民など、様々なバックグラウンドの方々です。これとは別に、未登録の外国籍者や、民族的少数者である日本国籍者が何十万人も生活しており、多民族・多文化の傾向は急激に進展しています。

◆難民、家族、子ども、長期滞在者などに対し、
  在留資格は与えられているのですか?

法務大臣が難民と認定した外国人については、在留資格が与えられています。しかし、前述のとおり、難民と認める人が少なすぎる(2002年はたった14人)のです。

家族で日本に長期間滞在し、「日本国内に生活基盤が形成された」人については、従前は在留が認められていませんでしたが、本キャンペーンの賛同団体であもるASIANPEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY http://www.jca.apc.org/apfs/)が中心となり、在留特別許可を求める入管への集団出頭行動が1999年から2000年まで3次にわたり組織され、17家族ら64名が出頭、うち10家族42名に在留特別許可が認められました。入管法の運用基準がかわったのです。しかし、まだ、運用の改善は十分ではありません。

そして、本年9月21日にも、8名の長期滞在者単身者が、在留を求めて、入国管理局に自ら出頭し、在留特別許可を求めています。

◆人種差別禁止法はどうして必要ですか?

現在でも、国籍や民族を理由とする、差別が後をたちません。たとえば、入店拒否事件や公衆浴場の入浴拒否などで、人種差別が違法だと認められた例があります。

そのほか、実は、入管自身が、「不法滞在等の外国人情報」についての匿名のHP上の通報制度をもうけて、外国籍市民に対し日本人とは異なる視線向けるなど、逆に、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」第2条1項本文、同項(a)および(e)、さらに第4条(c)に抵触する施策を実行し、差別を助長しているのが現状です。本キャンペーンの賛同団体の多くも、こうした入管の匿名のHP上の通報制度に反対しています。

しかも、2002年9月17日の日朝平壌宣言において朝鮮民主主義人民共和国による日本人拉致が公式に認められた後、在日コリアンに対する嫌がらせが急増するなどしています。逆に、先進国の中で、人種差別禁止法制が全く存在しない国は少ないといえるでしょう。

人種差別の禁止は、多文化共生社会の基礎となる重要な法律です。

◆多文化共生社会って何ですか?

国籍、言語、文化や性など、人間の個性の様々な違いを認め、尊重しあう社会です。この逆は、個人の多様性やマイノリティー性を否定する全体主義的社会や、日本人中心主義・国家主義などになるでしょう。

多文化共生社会は、私たち誰もが、人間として尊重される、生きやすい社会です。逆に、国家主義的・全体主義的社会では、一般市民は人権を抑圧されて生きにくいだけではなく、結局は、戦争に突き進むような社会になっていくことは、歴史も証明していると思います。

多文化共生社会は、究極の安全保障でもあると思います。