10月29日 移動日

9:00 目がさめた。晴れた朝である。今日は12時にセルゲイが迎えに来て観光へ、そして15時にDOMおじさんが迎えに来る事になっている。9:30頃になって朝食をとるために階下へ。よくあるバイキングなのだが、ロシア料理が満載。カーシャ(そば米)・ブリヌィ(ミニパンケーキ)・海藻サラダ・レバーの焼いたもの。パンもライ麦など数種類ありどれもおいしい。ヨーグルトも数種類あり、全種類持ってきて皆で食べ比べたが、ケフィアが食べやすくおいしかった。ロシアはどこに行っても料理がおいしい。前情報がなく期待してこなかったので、満足度高し。


食事後、各自部屋で荷物チェックなど。私は昨日までのビデオを巻き戻してみてみる。ビデオの小さなモニターで見るとまずまずと言った感じなのだが、これがTVモニターなどになったらどんな感じになるのだろう。しばらく見入ってしまったが、見ていると充電がされないので中断した。
今日の夕方には最終公演地であるニジニーノヴゴロドへ、シベリア鉄道に乗って移動する。このホテルにはモスクワに戻った時にもう一度とまる事になっているので、ホテルに預ける荷物をまとめた。

12:00 ロビーに集合。今日からガイドをしてくれるセルゲイの到着を待ち、ホテルに荷物を預けてマーケットへ。おみやげ物業者向けで観光客向けでもあるベルニサッシ市場がホテルから歩いてわりと近いところにあるのだ。土曜日ということもあり、人出がとても多い。マーケットにたどりつく前から、フードコートがや露店があったり、とても活気がある。そして目を引くのが熊の公園。熊使いのおじさんと熊3頭ほどが割りと広いスペースにおり、芸を見せてはお金を取って記念撮影をしているのだ。おじさんに気がつかず、黙って写真を撮ったら怒られてしまった。
この熊公園の前で待ち合わせをする事にし、入園料を払いマーケットへ。


中にはおみやげ物にぴったりなマトリョーシカをはじめとしたロシア雑貨が満載。チェブラーシカやピカチュウのマトリョーシカまであって、どのお店も結構楽しい。中央に近い広場では民族衣装のおば様たちが合唱をしている。ここから自由行動。各自自分の気の向くところへ。私はソ連時代の絵葉書セットを購入。'70年代だろうか。絵がかわいいが、どことなく米国チックでもある。ゲーナさんもそうだが、ワニのいない国なのにワニイラストが多いのもおもしろい。
 


買い物にも満足し、食べ物の屋台へ。グルジア料理のシェシェリクが食べられる。サーモンも串焼きになっており、香ばしいにおいを立てている。何皿か購入していただき、昼食とする。これもまたおいしい。サーモンは少し魚臭さが気になるが、皮までパリッと焼けている。機内食から持ってきた醤油をかけて調味。ほどほど満足したかな、という頃に関島さんが「あのさぁ、口琴売っているの気がついた?結構よさそうな気がするんだけど」と教えてくれた。買うのは今度でいいかな、と言いながら二人で見にいくことに。行ってみると望遠鏡などを売っているところに、写真つきのVargan(ロシア語で口琴)とかかれたポスターが。しばらく眺めていると、お兄さんが勧めてくる。鳴らしていいかを確認し、口に当ててみる。なかなかよい音がする。「どう思う?」「これ、いいですよ。」「買う?」「ケースがなさそうだし、弁が心配だから今度にしようかなぁ」しばらくやり取りをしたが、関島さんの「やっぱり今買おうかな」の一言で購入することに。2つ買うので、と値引き交渉をするとあっさり値下がりした。もう少しいけたかも、と思ったが楽器の質に満足。多田さんもチェブラーシカのTシャツやマトリョーシカなど買い込んでいた。あとから知ったのだが、土曜日は特に出店が多く、このあとおとずれた火曜日は入場料を取られることもなかった。水曜日は業者の買い付けの日だそうで、またそれなりの人出だったが、土曜ほどではない。あとで、と見送った布類はもう手にする事はできなかった。
  

15:00 先に戻っていた新井田さんともロビーで合流。張さんと松井さんの携帯電話が大活躍である。DOMおじさんの到着を待ち、荷物を積み込みいざ出発、と思ったら男性グループに声をかけられた。『英語はなせる?』第一声がこれだったので、ちょっとひるんだが続けて『昨日のクレズマコンサート見たよ、すごくよかった。僕らはオランダから来たんだけど、今日DOMに出演するんだ。』と嬉しそうに話してくれた。梅津さんが『残念ながら明日のライブのため、今から移動なんだ。今日は楽しんできてね!』というとにっこり。DOMクレズマフェスティバルのもう一つのバンドだったのだ。お互いに手を振って、私たちは車に乗り込み出発。またしても渋滞のモスクワ市内。そしてその排気ガスと今までの疲れもあり、多田さんが少しお疲れ気味。せきも出ているしだるそうである。あの細い体で、吹いて歌ってみんなに気を使って、そして荷物を持って移動して。大変なのだ、ほんとうに。

16:00頃 駅到着。荷物を下ろし、構内へ。広い。乗り場も本当にたくさんある。そして英語の表記はほとんどなく、ここからはセルゲイがたより。『3番線だよ』というと持ちやすい荷物をいくつか持ってくれて、すたすた行ってしまう。大きな荷物の介添えをして欲しいなぁ、と思いつつ売店の場所など横目でチェックしながら、3番線へ。列車の発車時間まで、少し時間があることを確認し、張さん・松井さんと買出しにでた。水を数本とパンをいくつか買い込んで、ふたたびホームにもどった。セルゲイがニコニコと袋を持って立っているので、のぞきこむと自分の分のビールとスナック菓子を購入している。「あー、やっぱり自分達で買いに行ってよかったねー」と3人で語り合った。

16:55 シベリア鉄道出発。3人がけの座席が向かい合った中心に机のあるコンパートメント。梅津・多田・関島・新井田・セルゲイ・私が同室で松井さんと張さんが別のところに。座席の背もたれ上にはTVモニターがあり、映像が流れている。どうやらチャンネルも変えられるらしい。イヤフォンも備えられている。各自TVを見たりビデオ撮影をしたり、本を読んだりしばしくつろぐ。
シベリア鉄道に乗るときのみんなの最大の関心事項は食堂車。前回の夜行列車でちらっとみたあの綺麗な車両、TVの旅特集で見かけるシベリア鉄道食堂車。どんなものなのだろう。


18:30 おやつを食べたこともあり、それほどの空腹ではないが、混む前にと食堂車へ。第一陣として関島・多田・私そして通訳のセルゲイ。予想したとおりメニューはロシア語表記でセルゲイだより。各自ボルシチと多田さんがチキン・関島さんが豚・私が魚をメインに選ぶ。付け合せに野菜をオーダーし、パンもお願いした。長いことまたされ、ボルシチがやっと一つ登場。一人が飲み終わる頃にもう一つ登場。おいしいのだが、かなりの量があり、これを飲み干すとメインが食べられなさそうだ。やっと出てきたメイン料理は3人とも見た目はほとんど同じ。一度フライにしたものを、ぴっちりラップをしてレンジ解凍したような食感。さっきから料理が運ばれてくる前には チン という音がなっており、どうやらほとんどが電子レンジ調理らしい。魚はかなり生臭い。途中で松井さんと張さんが登場。「あんまり気張って注文しない方がいいですよ」とお伝えし、二人はキャビア・イクラなど前菜盛り合わせとワインを注文。私たち三人は一向にお皿の上のものが減っていかない。それでも完食した関島さんとほとんど手付かずの多田さんが退席。代わりに梅津さんが現れたが、食事のレベルを伝えるとオーダーはせず、さながらお父さんのように残り物で食事を始めた。ほとんど食事も終わり、という頃になってセルゲイが『このあとの私たちの予定だけど、到着したらレストランに行くことになっています。』と言いはじめた。『え、もういいよ、ここで食事したし』と抵抗したが『あー、でも予定ではそうなっているから〜』と引かない。もう少し早く言ってくれればこんなにオーダーしなかったのになぁ。この間、別のお客は来ない。ロシア人は実態をしっているのか、ほとんど利用しないようだ。今回の旅行の中で、ここでの食事が一番高かったかもしれない。

座席に戻ってしばし仮眠。すっかりみんながくつろいでいると電車がゆっくりとホームに。『えーと、そろそろ駅に着くんだけど、急いで降りる準備をしないと・・・』とセルゲイ。『え?もしかしてこの駅?』『うん、そうなんだ』『終点なの?』『あー、えーっとそうだけど・・・。』なんか要領を得ない。ふたたび発車されてもかなわないので、急いで荷物をまとめて飛び降りた。電車は動かない。終点のようだ。

21:33 ニジニーノヴゴルド着。電車の中で体が温まった事もあり、モスクワよりも寒く感じられる。現地の迎えの方は男性が一名に女性が2名。女性ドライバーだ。非常にてきぱきとして、感じがよい。セルゲイは相変わらず人のよさそうな顔でニコニコ。あまり頼りにはならないのだが、非常に憎めない人である。街中は渋滞もなく、順調にホテルへと向かう。ガイドブックには載っていない街なのだが、ロシア3番目の大都市であり、軍事産業が盛んだったので、10年前までは外国人立ち入り禁止の街だったらしい。旧都市名をゴーリキという。しばらく走ると、とても立派なクレムリンの城壁。城壁が切れてしばらく行ったところにわれわれの泊まるホテルが建っていた。『荷物を置いたら、すぐにロビーへ』とのことで急いでロビーへ集合。多田さんは行くのをためらっていたが、残る事が寂しくなったのか、やはり外出することに。明るい街中を走り、ひときわ明るいビルへ。エレベーターを降りるといきなり正面に寿司カウンターがついている。おや、っと思ったが出されたメニューは洋食のものだった。おなかがすいていない、と言った割には皆一皿ずつ頼み、よく食べた。新井田さんは食堂車に行きはぐれていて、正解。はるかにおいしいレストランだった。

ホテルに戻り、各自部屋へ。今日の夜でサマータイムが終了ということで、みなで時計を直す。翌日は昼集合で食事の後に記者会見ということで集合時間を確認し、各自部屋に戻った。私は張さんと同室。室内はぴかぴかに磨かれた木の床でレトロ感満載の家具の数々。ベットもよく沈み、何かと雰囲気のある部屋である。張さんの若い頃の事、現在の私の事、いろいろとしみじみ話しこみ、タバコが吸いたいのに、ライターを誰かに貸してしまった張さんは吸えないままに3時過ぎに就寝した。


    

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