最西端の地を訪ねて 2日目


2月11日

 今日はいよいよ日本最西端の島、与那国へと向かう。8時30分那覇発の飛行機に乗らなくてはならないため、朝食が始まると同時に食堂に飛び込み、いそいそと食事を取り、部屋の戻り荷物を手に取り、早々に出かけた。沖縄とはいえ朝は少し肌寒い。石垣乗り継ぎで与那国に到着したのは11時を少し回った頃であった。到着ロビーにはDr.コトー診療所のポスターが貼られていた。与那国に到着
与那国に到着したJTA
与那国空港
与那国空港
 レンタカー屋で、日本最西端の証はいかがですか、と聞かれたので、少し考えてから、お願いしますと返事をした。車を返却した時に名前入りで受け取る事が出来る。もちろん別料金である。

 最初に向かったのは与那国町漁協である。ここはDr.コトーでの志木那島漁協である。泉谷しげるの生業としていた場所だ。小さいところであるが、Dr.コトーのエキスが充満しているようなオーラが漂っている。漁協前には志木那島漁協と書かれた軽トラが停めてあった。粋な計らいである。
志木那島漁協
与那国町漁協
撮影用の軽トラ?
志木那島漁協と書かれた軽トラ
 昼食は漁協から車で2・3分のカレーの店「ユキさんち」。坂の途中に店を構えており、店全体がうっそうとした植物に囲まれている。店内は風通しが良い造りで、テラス席には猫が数匹気持ち良さそうにうつらうつらしている。時折吹き込んでくる風が心地よい。本日のカレーはゆしどうふのカレーで、ドリンクとピクルスの付いたセットを注文した。ちなみにここのトイレは一見の価値があるがあるので、覗いてみるのも一興である。 ユキさんち
ユキさんち
本日のカレーゆしどうふカレー
本日のカレー「ゆし豆腐カレー」
 日本最西端の小学校と中学校を通り過ぎ、「日本最後の夕日が見える丘」に向かう。ここからは久部良地区の象徴である、西崎(いりざき)の灯台が見える。西崎と書いていりざきと呼ぶのは、太陽が西に沈む事からというらしい。夕日の刻になったらまた訪れる事にしよう。すぐ近くには悲しい伝説があるクブラバリ。さらに奥に進むと、与那国馬を飼育している場所があり、飼育員の方に馬のことについて2・3はなしを聞く事が出来た。 西崎の灯台が見える
西崎(いりざき)灯台が見える
日本最後の夕日が見える丘
日本最後の夕日が見える丘
 日本最西端の郵便局を過ぎ、先ほど訪れた漁協脇を通り西崎へと向かう。ここ久部良地区と、島の反対側の比川地区へと繋がる南牧場線と呼ばれる道路の両地区側には、テキサスゲートと呼ばれる溝が設けてある。これは馬や牛がそこを通る事が出来ないようにするためである。バイクとか自転車ではこけてしまうかもしれない。久部良側のテキサスゲートを越え右折すると西崎である。 テキサスゲート
テキサスゲート
西崎灯台
西崎灯台
 小高い丘に建つ灯台の脇には日本最西端の碑がある。ここからは、年に数回台湾が見えるとの事であるが、今回は見ることが出来なかった。訪れたときには一部立ち入り禁止となっていて、灯台とその周辺を整備している最中であった。 日本最西端の碑
日本最西端の碑
展望台からみた久部良地区
展望台からみた久部良地区
 Dr.コトー診療所の舞台となった診療所がある比川地区に向かう。海沿いの南牧場線は意外とアップダウンが多く、牛だか馬の落し物は多く落ちていたが、その姿は見ることが出来なかった。ちなみにここ南牧場線は、Dr.コトーのタイトルバックで、コトー先生が自転車をこいでいる場所である。

 比川地区に入り診療所を探す。あきおじの家を確認して海に出る。堤防を海沿いに少し歩くと、先にテレビで見た診療所が見えてきた。なんか感動が胸に込み上げてきた。テレビでは浜に打ち上げられた船や自転車がいい感じに置かれています。
南牧場線
南牧場線
Dr.コトー診療所
Dr.コトー診療所
 診療所受付で料金を払い中に入る。テレビで見た風景が広がる。コトー先生好物のヤシガニラーメンも置いてある。2着の白衣が掛けてあり、ご自由にお使い下さいとある。これを着て記念写真。志木那島の緊急連絡網や茶封筒などの小道具がいかしてる。屋上に上るだけならば無料である。屋上への階段はかなり急である。はためいているコトーの旗を持って記念写真を撮る。 診療所の内部
診療所内
事務室からの風景
事務室からの風景
 島を半時計回りにさらに車を進める。折角なので、コトーの撮影で使われた人面岩を見ることにする。山道を15分ほど登ると突然姿を現す。自然のものか人工物かは議論があるところ。途中子供と引率者に すれ違ったが、かなり寂しい道のりであった。薄暗いとかなり不気味と思われる。

 
道なき道を突き進む〜
人面岩への道のり
あなたはどう思う?
人面岩
 立神岩展望台から右方向を見ると、小さく立神岩が見える。近くで見ることが出来るならばさぞや迫力かなと思う。チョイ先のサンニヌ台展望台が立ち入り禁止になっていた。ここからは軍艦岩を見ることが出来るはずなのだが、展望台の再開までは見ることが出来ない。台風で崩れたらしいのだが、再開は未定との事。

 島の東にある東崎(あがりざき)は西崎に対し、太陽が上がってくる東であることからあがりざきと呼ぶとの事。駐車場からの岬の眺めは心が洗われるようである。ここから先にある灯台までは、途中から道なき草原を少し歩く。駐車場から落し物が無数に落ちているので、これを避けて歩く事にかなりの集中力を要す。草原ではたくさんの馬が、ゆったりと草をついばんでいる。この時は馬ばかりであったが、牛も姿を見せる時があるそうだ。灯台まで行くと風が強い。海を覗くと断崖なのでかなり怖い。柵などはないので、台風の時などは馬たちはどうするのだろう。
そそりたつ〜
立神岩
心が洗われます
東崎
 馬の写真を撮っていると、口を地面につけつつそろそろとこちらに近づいてくる。そんな馬たちに癒されつつ、もう少しのんびりしていたかったが、明日は海底遺跡を予約しているため、なんとか今日中には島内の名所を回りたかったので、後ろ髪を引かれる思いで先を急ぐ事にする。

 ロケ地巡りをしながらさらに車を先に進める。祖内地区に入り最初に向かった名所は、そそり立つ断崖、ティンダハナタ。ここからは祖内の街を一望できる。遊歩道は整備されてはいるが、岩が歩道に覆いかぶさっているところもあり、崩れてこないかビビリながら足を進める。途中トイレもあり、ちょっとした散策にはもってこいである。
草をついばむ与那国馬
東崎の与那国馬
ティンダハナタ遊歩道
ティンダハナタ遊歩道
 このティンダハナタ、実はさらに上に行くことができる。一度車に戻り、崎元酒造所でお土産の泡盛のミニボトルセットを購入する。そこの入口付近に酒造所の船が置いてあるが、それを目印に頂上へと向かう道がある。金網で囲まれた立ち入り禁止の施設の横を走り抜ける。左手に小屋のような建物が見えたらそれが目印。先に小さく見える石の構造物を目指し、道なき道を突き進んで行く。途中落し物がたくさんあるので避けるのが大変。帰り道になると、もう少々の接触はいいかな、という気がするほど大量に落ちている。今は牛が遠くでのんびりしているが、もし近寄ってきたらと思うと、少し怖さが込み上げてきた。 ティンダハナタ頂上へ向かう途中の牛達
くつろぐ牛達
先に見えるはティンダハナタ頂上展望台
展望台が先に見える
 距離は100mほどであるが、落し物を踏まないように、足元に気を付けながら歩いたので、到着までの時間が長く感じられた。構造物は6段ほどのコンクリートで作られた階段であり、断崖のきわに造られている。ところどころヒビが入っているので、登るのはためらわれた。しかし、折角なのでそろそろと1段、また1段と3段ほどビビリながら登ってみる。ここからみる祖内の風景は爽快であるが、高所が苦手な自分はこりごりである。ここ頂上からは飛行機の着陸風景を見ることが出来るらしい。 誰が作ったのか展望台
ティンダハナタ頂上展望台
頂上から見る祖内の街
頂上から見る祖内の街
 与那国の主要な名所を駆け足で回ってきた。残るは「アヤミハビル館」と「馬鼻崎」となる。アヤミハビルは世界最大の蛾で、別名ヨナグニサンと呼ばれている。時間の関係から今回は「アヤミハビル館」はパスするつもりであったが、この時点で既に17時。「馬鼻崎」すら怪しくなってきた。とりあえず馬鼻崎の入口まで来てみたが、暗くなってしまうと危ないと感じたので、涙を呑んで引き返すことにした。

 車を返却し今夜お世話になる宿「はいどなん」まで送っていただいた。荷物を置いたあとは、「日本最後の夕日が見える丘」へ向かう。
今回与那国でお世話になる「はいどなん」さん
「はいどなん」
夕暮れのナンタ浜
久部良の夕暮れ
 太陽が目に見えて落ちてきているので、ついつい急ぎ足になる。5分ほどで到着する。すると、今日島内を1日で出合った人よりも多く人が、そこで夕日を待っていた。残念ながら水平線付近にあった雲のために、海に沈む夕日を見ることは出来なかったが、西崎に落ちる夕日はどことなく寂しさを憶えた。

 こうしてあわただしい1日を、国境の島と呼ばれている最西端の地で過ごした事に充実感を覚え、感無量で身体を休めた。
今までどこに身を隠していたかと思うほどの人波
日本最後の夕日が見える丘
西崎方面に落ちる夕日
日本最後の夕日



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