戸田市はどうですか?

 いきなりどうして戸田市議会のことを調べる気になったかというと、東村山市のことが気になってきたのが原因で。なぜ東村山が気になったかというと、中村克「最後のパレード」の盗用問題が原因で。なぜ「最後のパレード」がひっかかってきたかというと、唐沢俊一が「この盗用野郎」と罵られているスレを見たのが原因で。
 わけがわかんないですね。ごめんなさい。
 ま、とーとつに有権者としての自覚にめざめたっつーか。自分が住む地域の政治は、自分が監視してないとだれも監視してくれませんよ、議会制民主主義ってものは有権者の自覚を欠くと、たちまちえらいことになる危険性がありますよ、みたいな。

 で、私の住むところである戸田市の市政を監視しようと思ったわけだが、さてどうすればいいのかわからない。市議会を傍聴するという手もあるが、そうそう時間はとれない。みずから市政に打って出るという手もあるが、そんな時間も金も人望もない。
 ということでとりあえず、Webサイトから監視してみようと思ったわけだ。
 もちろんWebがすべてではない。サイトもブログも持ってなくたって、立派な政治を行っている人はたくさんいるだろう。サイトを持っていないサラリーマンのほうが、持っているサラリーマンより平均すると有能なのと同じことだ。
 でも、とりあえず、窓口は多いほうがいい。サイトがあって、親切でわかりやすい作りになっているほうが、サイトがなかったり、あっても幽霊屋敷のごときわけのわからない廃墟だったりするよりはいい。
 そんなわけで、戸田市のサイトと戸田市議会の市議のサイトを、主にわかりやすさと情報量を基準に判断して、感想を述べてみた。
 (以下の感想は、2009年5月27日時点のものです)

戸田市のサイト

戸田市情報ポータル(戸田市公式Webサイト)
 とりあえず必要な情報はほぼ揃っている。
 市議会の傍聴や請願、会議録の閲覧や検索のやり方も書かれている。サイトから会議録を検索することもできるが、議事録ではなく会議録なので、議員の生の発言などはうかがい知ることができない。
 市議会のページからは当日の議会中継をWMPで見ることもできる。
 市議会議員のプロフィールには、各議員の個人サイトをリンクしてほしかった。
 全体的に体裁は整っているが、ところどころ情報が古かったり(平成21年に選挙があったのに、市議の定数が平成19年の数字)リンクが切れている(「戸田市議会について」の文中リンクが切れている)のが残念。
 市長のページはこのサイトの中にあり、メッセージや施政方針を見ることができる。プロフィールがないのは残念。
 市長の履歴が知りたくて、神保国男で検索すると、ちょっと気になるサイトがひっかかった。


 戸田市長挙選といえば、多くのな怪文書がばら撒かれ、熱いバトルが展開される事で有名だった。
(中略)
 神保国男・戸田市長も人間である。「俺は戸田市長を三期で辞める」と側近達に告げていたが、二期(八年)も戸田市長の権力と旨みを味わうと考え方も変わるのだろう。冷酷でわがままな独裁者に変わり果てていくその姿を嘆く支援者達の声を、当紙は最近良く耳にするようになった。
(中略)
 戸田市民のためにも、そしてこれ以上身近な自殺者を出さない為にも、八年の歳月で薄汚れた「裸の王様」となっている自分の姿に気づき、三期目を戸田市民、戸田市職員、戸田市議会議員、戸田市出入りの業者…、埼玉県戸田市…の為に、戸田市の発展に邁進して頂きたいと切に願う今日この頃です。

 確かに数年前の戸田市議会選挙の際には、共産党が「自民、公明党の共産党攻撃ビラが全国でくばられています」、公明党が「あなたは日本人民共和国に賛成ですか?」というようなビラを投函したことがあった。また神保国男市長は、1993年の埼玉県議(自民党)時代に、「回し献金」事件という、自民党県議20名と無所属1名が、おのおのの政治団体に同額の寄付金をやりとりし、脱税をはかった事件に連座したことがある。「身近な自殺者」ってのは、検索してみたがそれらしい事件は見当たらない。
 さらに、こんなサイトも

 今の神保市長になってから、それまで市を食い物にしていた人たちから利権を剥ぎ取り、一部、戸田市に取り戻されてきたようですが、駅前があまりぱっとしないことや中心商店街がない等という負の遺産はまだ市内各地に残ったままです。
 とはいえ、民主党や自民党の古株議員が手を組んだ旧来の勢力にとっては神保市長の存在は目の上のたんこぶのようなものであり、これまでになんとか市長を失脚させようと、川口・鳩ヶ谷・蕨との4市合併をはじめ、いろいろなことが仕掛けられてきましたが、市長はその都度、市民からの多くの支持を背景に、理不尽な企みをはねのけてこられました。

 どっちの言い分が本当なんだか。前者のサイトはかなり怪しげな香りがするのだが、後者のほうも厳正中立とは言いがたい。「今の神保国男・戸田市長の前の斉藤市長(筆者注:S市長との表記を、わかりきっていることだから本名に変更)の時代、戸田市にも政治家がからんだ汚職や癒着といわれるものがありました」なんて書いているし。ま、今の市長が、かなり豪腕であることは確からしい。ええと、神保氏の履歴は元埼玉県議、その前は弁護士だったということまでが確実な情報。

戸田市議のサイト

 戸田市情報ポータルからリンクされていなかったので、「戸田市 市議」もしくは個人名から検索した。そのため漏れているサイトがあるかもしれない。ご指摘を乞う。
 順番は所属会派別議員リストに従った。

秋元良夫(平成会)
 名前で検索すると、なぜか松田優のブログに当たった。修兄貴とやらが応援しているらしいが、だれなんだ修。本人のサイトはない。ま、まさかヤクザ映画に多く出ている俳優が応援してるからって、政治家もそうだとは限らないと思うが……。
 平成会は自民党系の改革派(神保国男市長支持)であるらしい。

山崎雅俊(平成会)
 「プロフィール」「市議会レポート」「活動レポート」がある。「リンク」は戸田市議会のみ。せめて同会派議員のサイトにもリンクすればいいのに。「ブログ」は接続できない。
 「市議会レポート」は議事、採決に加え感想が付記されていてわかりやすい。

斎藤直子(平成会)
 「駅立ち市政報告」として駅前でチラシを配って啓蒙活動しているらしい。
 「ビジョン」で目標を語り、「市政レポート」で活動報告を行い、「トコバスリポート」や、別途立ち上げたブログで戸田の紹介などしているのだが、なんとなく政治家のサイトというより、戸田の地域コミュニティ番組のホームページみたいだ。動画が多いし。それもそのはず、この人は「ズームイン朝!!」「街かどクイズ」などでレポーターをやっていた人なのだ。
 どうやら、神保市政のマスコットガール的な扱いの人らしい。前期まで2期連続トップ当選だとか(2009年は菅原氏の得票が倍増して圧倒的トップのため、2位当選)。それにしても動画が多すぎてサイトが重い。

酒井郁郎(平成会)
 ブログっぽい活動報告をこまめに更新している。必要な情報を探すには不向きだが、こういうのはわりと好きだ。「プロフィール」「政策・提言」もある。チラシだけど。
 「プロフィール」によると、東京大学医学部卒、医療政策専攻で大学院修了、マッキンゼーで経営コンサルタントを勤めたとあるが、あれかな、医学部でも医者の資格がもらえない保健学科とか、そっちのほうかな。理学部で「医学部」という肩書きがほしい人が、ときどき行くと言われているアレか? 趣味は総合格闘技5年だそうなので、それ以上の追求はやめておこう。しかし漠然すぎるな。サンボなんだろうか、マーシャルアーツなんだろうか、はたまた掣圏道なんだろうか。
 この人は毎回ギリギリな選挙を繰り広げる人で、前回落選、今回は後ろから3番目で当選。

遠藤英樹(平成会)
 「マニフェスト」「プロフィール」「一般質問」「後援会ニュース」と、標準的な情報は押さえてある。「一般質問」では戸田市議会の会議録にリンクし、遠藤氏の質問を自動検索するのは、いい手だと思う。別途にブログも持っているが、今年の選挙前で更新が途絶えているので、あんまり意味はない。少なくとも「ブログもご覧ください!」と書くほどのこともない。

細井幸雄(平成会)
 「基本姿勢」「プロフィール」「日々雑感」を見ると、自分の言葉で書いてる感がして、なんだかほっとする。ただし「活動カレンダー」を見ると、スケジュールがほとんど空白で、なんだか心配になる。本人の名誉のためフォローしておくと、会報「みんなの力」で、市政の報告はしている。トップページにいきなりFLASHを載せるのは、あんまり感心できないなあ。

伊東秀浩(平成会)
 サイトなし。

石井民雄(志政クラブ)
 サイトなし。石井民雄で検索すると、なぜか先程引用した戸田の「敬天新聞」がトップに立つ。それによると地元の評判はいいらしい。褒めてるんだか貶してるんだかよくわからないけど。
 志政クラブは自民党系のうち、神保市長とは距離を置くスタンスであるらしい。

栗原隆司(志政クラブ)
 「プロフィール」「現在の主な役職」「基本姿勢」「活動予定」「後援会活動」「リンク」と綺麗なつくりのHPだが、議員としての活動がほとんど書かれていない。いろんな会長職だけ歴任して、儀式に出席するだけで、本人は何もやってないんじゃないかと邪推したくなる。

熊木照明(志政クラブ)
 「私の取り組み」「議会報告」「プロフィール」「リンク」と、内容も豊富で手堅くきれいにまとめている。栗原さんと召田さんはこれを見本にするといい。

召田 厚(志政クラブ)
 ブログがあるが、ほとんど写真日記と化している。唯一の市議報告「議会だよりWebかわら版」が現在非公開になっているのは、どういうことだ。と思ったら、「政策」のところに議会活動報告があった。掲示板は工事中で未発表。デザイン的にも未完成というか、あちこち工事中の部分があり、なんだかいいかげんだ。最下位当選だったことをもっと反省して、まじめに作りなさい。

榎本守明(志政クラブ)
 サイトなし。

神谷雄三(公明党) 
 個人サイトなし。公明党は個人と別に「公明戸田市議団」というサイトを持ち、活動報告は主にそっちのほうでやっているらしい。

手塚静枝(公明党)
 サイトなし。「公明戸田市議団」で活動報告は読むことができる。

三浦芳一(公明党)
 サイトなし。「公明戸田市議団」で活動報告は読むことができる。

鈴木麗子(公明党)
 サイトなし。「公明戸田市議団」で活動報告は読むことができる。

中名生 隆(公明党)
 プロフィール、マニフェストとその実現実績、市政レポートと、まずまず充実した内容。強いて言えば、市議会での活動について具体的な記述が足りないが、そっちは「公明戸田市議団」でどうぞ、ってことだろうか。
 公明党でこの人だけ個人サイト持ちなので、公明党市議団から「個人プレイ」「売名行為」「末法野郎」などと言われていじめられてないか、他人事ながら気になる。

望月久晴(日本共産党)
 プロフィール、活動報告がある。議会での質問や答弁もまとめられており、わかりやすい。
 また、日本共産党は個人と別に「日本共産党 戸田市議団」というサイトを持ち、活動報告は主にそっちのほうでやっているらしい。
 それにしても日本共産党、市議会選挙のビラでは「埼京線の終電延長、通勤快速の戸田公園停車をJRに働きかける」と書いていたんだが、そっちのほうの活動はまだ何もしていないなあ。

花井伸子(日本共産党)
 サイトなし。活動報告は「日本共産党 戸田市議団」で読むことができる。

岡嵜郁子(日本共産党)
 ブログのみ。更新は数ヶ月に一回。内容以前に、あまりにも更新が少ない。「日本共産党 戸田市議団」でも活動報告がない。何をやっているのだろう。

本田 哲(日本共産党)
 プロフィール、マニフェスト、活動報告(要確認)、問い合わせ先、メールアドレスまで掲載している。まずまず充分な内容。

高橋秀樹(民主・無所属クラブ)
 サイトなし。名前で検索したところだと、入学式、卒業式で君が代演奏時に起立しなかった人間を個別調査するといった戸田の教育長の発言を引き出す質問を行い、調査と罰則に強く同調している(結局は調査しなかったが)。どっちかというと自民党向きの人材だと思う。

馬場栄一郎(民主・無所属クラブ)
 「市政報告」で市議会活動報告、「特集」で戸田市の問題点を扱っている。

冨岡節子(民主・無所属クラブ)
 サイトなし。

平野 進(新風会)
 サイトなし。新風会といっても、維新政党・新風とは関係がないらしい。元は平成会所属だったらしい。日産労組の出身らしいが、それでなぜ自民系なのか、よくわからない。とにかくサイトがないので、「らしい」としか書きようがない。

菅原文仁(無所属)
 スポーツマンが売りの人で、選挙運動も自転車で体力を誇示する。前回はトップ当選だった。サイトにはプロフィール、定期的な活動報告、議会での質問や答弁、マニフェストとその達成状況が記されており、まずまず充分な内容。

 過去3回の選挙結果を見てみたら、戸田市は、だいたい1000票あれば当選できる。東村山市の最下位当選(矢野穂積)が1639票だから、およそ6割ですな。
 競艇場もあるし、企業は多いし、幼児人口は多いし、埼玉県内ではトップクラスの裕福な市だから、利権屋にとっては、けっこうおいしい土地なんじゃないだろうか。
 これは、ますます監視の要があるな。


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