薄井ゆうじの森
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『YEBI大王』 戻る

『YEBI大王(ゑびだいおう)』
エビが来る!
その言葉を聞くと、子は泣きやみ、草木はしおれ、風はやむ−−。
いにしえより、朝鮮半島の人々に伝わる恐怖の言葉!

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<あらすじ>
 舞台は古代朝鮮。青銅器から鉄器に移行しようとする頃、神話と歴史が共存していた時代の出来事である。世継ぎの息子を願っていたYEBI大王は、若い頃、触れてはならないとされていた“三種の神器”を散逸させてしまった因縁から、産まれる子がすべて女ばかりである。YEBIにはその理由がわからない。ついに七番目に産まれた子も女とわかり、激しい怒りにまかせてYEBIはこの娘を川に捨ててしまう。
 ある夜、YEBIの元に来世(あの世)からの使者、日直と月直がやって来る。「お前の寿命は尽きた。連れていく」と告げる。だがYEBIは息子をもうけるまで死ねないと使者に懇願する。使者は命の猶予を与える代わりに一日ごとに倍倍で民の命を奪うと宣言するがYEBIは承諾してしまう。以後、疫病や旱魃などが起こり、民衆が次々に死んでいく。そして国は様々な内乱を孕んで不穏な空気に包まれていく。その頃……。YEBIに捨てられた末娘・パリデギは、老夫婦に川で拾われ、彼らの元で成長していた。だが生活苦のためわずか三袋の米で身を売られてしまう。八道軍に嫁がされたパリデギは、あろうことかその息子・末将勝に孕まされてしまい男子をもうける。末将勝はパリデギを捨てて出奔し、生まれた子は人攫いにあってしまう。王宮では、YEBIが「息子を授かる策はないのか」と苦悩する。そこに例の使者が現われてこう告げる。「父に捨てられ、夫に捨てられ、息子に捨てられた運命の女をさがせ」と。
 そう、「運命の女」とはパリデギのことなのであった。パリデギと三種の神器の行方を追って、人々の欲望と思いが交錯する――。痛快、時代活劇的エンターテインメント!

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著:薄井ゆうじ
アートン
2006年9月30日刊行
定 価 1260円
ISBN4-86193-061-8
四六判/並製/280頁

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