アンプ内蔵ギター第二号
     
2011/10/07
 
         
  アンプ内蔵の手作りギター、第二号を製作しました。
去年、高知へ持っていった第一号を「ほしい」という人がいて、そちらにあげることにして、第二号を作るつもりだったのですが・・・
結局、材料(ストラト一本とマーシャルのミニアンプ)は早くにそろえたものの一年間造るきっかけがありませんでした。
しかし、いよいよ今週末が高知訪問・・・
9月26日月曜日、重い腰を上げて製作に取り掛かりました。
 
         
 
  覚悟を決めてドライバを握ります。
材料を確認し、素材1のストラト(フェンダー・ストラトキャスター・タイプのコピー製品でメーカー不明品)を解体します。
守谷のハードオフ(なんだっけ、店名が変わっているけど)で買ったクラプトンモデルで、たしか五千円くらいでした。ちょっと惜しいくらいの美品ですが、どうせこんな重いもの使えません。
絃を外し、背中の接合ビス四本を抜きます。
 
         
  ネックと胴体が外れました。
このネックと、あとは三個あるうちのピックアップ一個、それとテールブリッジを使うだけです。
・・・はずでしたが、結果的にはピックガードなどを取り付けているビス類、それと背面のカバープレートも使いました。
 
 
         
 
  ボディをひっくり返します。
単純なテレキャスと違って、トーンアーム付きのストラトは面倒です。ブリッジを外すためにはこのバネや金具を取り外す必要があります。
 
         
  途中を省略して、ブリッジを取り外したら今度はピックガードを取り外します。
いったい何本ネジ使ってるんだ、というくらいネジを外しました。ピックガードにはピックアップだけでなく、コントローラやセレクターが付いています。つまりはギターの本体とも言えましょう。
使うのがピックアップ一個だけというのは勿体ない話です。
 
 
         
 
  それからマーシャルのミニアンプを解体します。
これも定価5千円という値段のもので、一号に使った二千円のものとは中身が違う高級品です。これを解体してしまえば無価値のゴミになってしまうわけで、思わず手が震えます。
タダ同然だった一号機と違い、ストラトとあわせて一万円という値段はバカにならず、これが鳴らなかったら泣くに泣けません。
 
         
  裏蓋を取り、スピーカとヘッドフォン端子・DC端子を外します。
問題はまず電池ボックスが裏蓋と一体になっている点で、これを分離しなければなりません。一号に使ったミニアンプはこれがバッテリ接続端子として独立していたのです。
面倒なノコギリ切断作業になりそうで、最初の難関ということになります。
 
 
         
 
  小型ノコギリを使って慎重に切り離します。横は切りやすいのですが、上下は面倒です。いろいろひっかかる場所があるのです。
それでも不細工ながらなんとか切り離しました。
 
         
  裏蓋と電池ボックスが別のものになり、最初の難関をパスしました。
バッテリ接続端子を買ってきて付け替えようかとも思ったのですが、それも面倒です。
「ボックス型のほうが扱いやすい」と考えたこともあります。このまま穴に押し込めばいいのですからね。
 
 
         
 
 

本体の切断の前に、スピーカや端子を傷つけないように、また邪魔にならないように袋に詰めます。
上の作業でかなりプラスチックの黒い粉をかぶってしまい、掃除が面倒でした。特にスピーカは強力な磁石を持っているので、いろんなものをひきつけてしまいます。

 
         
  いよいよ本体とアンプ部分を上下に切断します。
切断部分はちょうど凹みになっているので分かりやすいのですが、ちょっと厚くなっているので決して切りやすいとはいえません。
基盤を傷つけないように慎重にノコギリを動かします。
 
 
         
 
  切り離しに成功しました。
今回はこれで終了、アンプ部分はこのまま使います。これ以上の切断は難しいからです。
専門工具があれば別ですが、ノコギリで切ると確実にアンプ基盤を傷つけるでしょう。
 
         
  最大の難関、ストラトから外したピックアップと解体したミニアンプを繋ぎます。
これがうまくいったら作業の大半は終わったようなものですが ・・・音が出ない・・・!?

あわてて、それとおぼしき接点に繋ぎなおします。
しかしやはりダメ。
めげそうになりました。
材料費の一万円がパーかも?と思うと激しく焦り、やがて涙ぐんでしまいます。 (女々しいね)
 
 
         
 
  こういうこともあろうかと思い、用意していたテスターを取り出します。マニュアル通りにΩにあわせてチェッカーを接触・・・
動きません。針は黙ったままびくともしません。
あわてて裏蓋を開け、電池を交換しましたがやっぱり動きませんでした。この緊急の時に役に立たないなんて・・・安物はこういう羽目になりがちですね。・・・トホホ
 
         
  その後、飯炊きをしたり散歩したりしてインターバルをおき、 再度基盤とピックアップをにらんで、想定外の接点に繋いだら音が出ました。
右の写真を見れば分かりますが、ここで繋がるなんて誰も想像できません ・・・マーシャルって、へそ曲がりの会社です。
なにはともあれ、二号機の目処がたってホッとしました。
 
 
         
 
  メカニック部分が出来上がったので、ボディを作ります。
本棚を作った残りの端材に適当に線を引き、今度は大きいノコギリで切断します。他に小さな板材を数個切り出します。
縁側には日が射してきて、麦藁帽子をかぶっての作業になりました。
 
         
  ボディ部分の板の切り出しを終了しました。適当に何度か引いたマジックの線が残っています。左の丸い穴がスピーカの磁石部分が入る穴、右の四角い穴が電池ボックスを入れる穴です。
かなり大雑把にドリルで穴を空け、糸鋸で穴の間を切り、空間が出来たら凸凹をナイフで削ります。それから棒ヤスリで平らに削りますが、見えない部分なので適当です。
 
 
         
 
  開けた穴にメカニック部分を装着して具合を見ます。
だいたいいいようですが、電池の穴を少し拡大しました。それからヘッドフォン端子・DC端子の裏面部分にピンが出っ張るために、それを納める穴を空けました。
あとは組み立て時に微調整します。
 
         
  表面部分の板を加工します。ただのベニヤ板ですが、あまり加工しやすいものではありません。
スピーカ用の丸い穴と、ピックアップ用の楕円形の細長い穴を開けます。丸い穴は一箇所ドリル穴がずれてしまい、それに合わせたら丸がゆがんでしまいました。
ピックアップ用の穴も難しい作業でした。
 
 
         
 
  木材部分の切り出しが終わったので塗装します。今回は赤に塗るのですが、発色をよくするために先に銀塗装します。
本格的に塗るなら、まずサフェーサーを吹き、次に下地のホワイトを塗り、それから彩色するのが手順です。でもそんな面倒なことをやっている時間はありません。下地も残り物の銀スプレーで代用しました。そのかわりにクリアを数回塗って重厚感を出すことにします。
 
         
  塗装も終わり、いよいよ組み立てです。
ちょっと気になるのは、ボディとネックが微妙に傾いてくっついていることです。ま、そんなこと気にしていたら手作りエレキなんてものは出来ません。前回の反省からボディと横木などはまずボンドで接着して、位置をあらかじめ固定してからネジ止めします。それでもズレは出てしまいます。それをいろいろ調整します。
 
 
         
 
  表面板のスピーカ穴にはマーシャルミニアンプのカバーネットをホッチキスで貼り付けることにします。
赤い表面に黒ネットと白い文字がおしゃれです。・・・これで穴さえ丸だったら・・・
 
         
  続いてピックアップを取り付けます。
これは付属のネジで取り付けるのですが、このネジがかなり長いこととピックアップが分厚いこととで不具合が出ます。これも作りながら微調整することにします。
 
 
         
 
  アンプ部分の取り付けは8の字にねじった針金とネジで停めることにし、各部分に穴を開けてネジを取り付けますが、いざ停めようとするとピックアップ接続用の長いネジが邪魔をします。
困った・・・グラインダがあれば削るのになあと思いつつ、そんな大道具はありません。
 
         
  これを解決するために、表の部分にスペーサーを入れることにします。
これはヘッドのペグ(糸巻き)に使われていた金具で、ちょうど三つ余っており、これをピックアップの高さ調整と合わせて三つ使ってうまい具合に納まりました。
 
 
         
 
  ブリッジを取り付けてほぼ完成。
この後、ピックアップを調整し、ブリッジの取り付け位置を調整して絃を張ります。
絃を張りつつ、ブリッジはもっと後方になければならないのに気づいたのですが、今からでは遅すぎます。とりあえず音だしして、あとのことはあとから考えることにします。
 
         
  絃を張り、アンプのスィッチを入れると音が出ました。ノーマルではほとんど聞こえず、オーバードライブの位置でやっとクリアな音がします。
事前に予想された通りなのでこれは仕方がないと諦めます。もっと電子的な知識があればコンデンサや抵抗を取り替えて調整できるのになあ・・・
なにはともあれ完成したので、一号機と並べて見ます。ちょっとふくらんだグラマーなボディと、赤黒ベースのデザインは一号機よりもカッコよく見えます。
 
 
         
 
  その後微調整も出来ずに高知に持っていって弾いてみると問題がいろいろあることに気づきます。
音が安定しない、特に高音部がすぐ狂う、ハーモニックが怪しい・・・などは絃が数ミリ短いことに原因がありそうです。
低音部と高音部で音の大きさが違う・・・これはピックアップが上下にずれていることが原因のようです。
こうした問題はあるものの、一号機よりはすっきりした大きな音が出ることで、一万円のコストはまあ我慢できるレベルになったようです。
しかし、もっと大きい・クリアな音を求めて、次回は一号機を自作アンプで改造しようと思います。そのために電子回路を研究しなければ・・・
 
         
 
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