2014.11.02

     横川の西区民文化ホールで木嶋真優ヴァイオリンリサイタルを聴きに行った。彼女は神戸出身であるが幼いときからドイツで育っているし、ドイツが拠点である。ピアノ伴奏の下田望さんが呉の出身ということで、「広島ゆかりの音楽家シリーズ」という名目がついたようである。パンフレットで見るとすいぶん可愛らしいのであるが、実際にはちょっと強面で芯が強い感じである。話ぶりからしてあまり繊細とは言い難い性格のようである。

最初はカッチーニのアヴェ・マリアであったが、引き続く小品群はやや馴染みのない曲ばかりであった。クライスラーの「メヌエットのテンポで」、バルトークの「ルーマニア舞曲」、プロコフィエフの「歌劇3つのオレンジへの恋からの行進曲」と続き、彼女の為に広島生まれの作曲家横山菁児による The Flow という曲。ちょっと眠くなったところで休憩して、後半はスメタナのわが故郷から2番。これはなかなか熱演。ヴィターリのシャコンヌト長調はとても良かった。なるほどシャコンヌだなあ、という感じでバッハのシャコンヌとよく似ている。

この人はちょっと曲の捉えかたに独特のリズムがある。ヨーロッパ仕込という感じがする。ラフマニノフの「ひなぎく」という小品を挟んで最後にラヴェルのツィガーヌ。これはオーケストラとの曲である。大変面白かった。アンコールはまずエルガーの愛の挨拶で、表情豊かでとても良かった。次は直前に貰ったという赤とんぼのソロ編曲版で、なかなかしゃれた曲であった。最後はモンティのチャールダーシュを演奏したが、ちょっと独特のヒネリがあって実に面白かった。やはりこういう曲だとなぜ彼女の評価が高いのかが判る。
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