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風を切って鳴り響く音たちの向こうで

 

風を切って鳴り響く音たちの向こうで、

沈黙する石たちの列が語りかけるちっぽけな時間。

その時間の断点から浮かび上がる

茫洋たる思念と荒れ騒ぐ情念。

砂たちの一粒一粒がその思念と情念とを噛み込み、

土くれたちは透明な大気に向かって怒りを沸騰させている。

 

けれど七人の楽師はただ音を叩き、

音を紡ぎ、音を消してゆく。

ただ奔放に、音の波を、この大地に、この空間に、

そしてこのちっぽけな時間の中に解き放つ。

 

それがこの遊星のできごと、

この無機質の時間の中でのできごとなのだ。

乾いた風の駆け抜ける大地で新たな真音が滴り落ちる日、

音の破片がただ空の中に散逸していた。

 

(タージマハル旅行団に捧ぐ)

 

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向殿充浩 (こうでんみつひろ) / 第7詩集『架空世界の底で』