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求道者たちの荒野で
神が祈りを捧げ、
あなたが地上に曼陀羅を描き、
それからぼくはその上を裸足で歩いた。
厚い灰色の空に
目をかっと開いた憤怒神の咆哮が響き渡り、
縹渺たる風の荒野に
求道者たちの朗誦が響いた。
あなたは聖なる台座の上で踊り続ける。
ぼくは布切れの上に曼陀羅を描き続ける。
鳥が不吉に舞い、
ジャッカルの遠吠えが聞こえ、
地の底から
顔を歪めた存在者たちの声が押し寄せる。
だから、さあ神よ、新しい戦いを始めよう。
時間を切り取り、
砂を集め、
無限の空虚をるつぼで煮込んで、
新しい祭壇に振りかけよう。
あなたは黙って神を見つめ、
世界を打ち壊す時を待っている。
求道者たちは我を忘れて
音楽に没頭しきっている。
夢が夢を食い荒らす世界、
一なるものへの
あやふやなまなざしが
奇妙な形をした光に導かれて、
無表情なあなたに突き当たろうとしている。
(1995.9.30 / 最新改訂:2016.12.25)
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向殿充浩(こうでんみつひろ) / 第3詩集『求道者たちの祭儀』