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第1詩集 『未知なるものへの祭壇で』

30歳頃に書いた詩を中心にした詩集です。

今後、詩の追加や削除、内容の改定などの可能性もありますので、ご了承ください。

202512月改訂)

 

目次

涯しない声

ぼくの中を風が

古代譜・T

古代譜・U

風がぼくの空を駆け抜ける

遊星の上で

Shri Camel

誰でもない者たちが

混乱の中を駆け抜ける鳥・T

混乱の中を駆け抜ける鳥・U

石がひとつ転がり落ちる

預言者に向かって

Ho Ban T

時間の中の天使

光はどこからかやってくる

流れ去ってゆく者は誰か?

千年が過ぎ

天使たちはどこにいる

ぼくが世界の中に描き込めるのは

浜辺で

嘆き

無題(小さな虫が道の上をはい進む)

そうして一切が消えてしまって

未知なるものへの祭壇で

 


 

涯しない声

涯しない声、

存在と非存在の割れ目からの

時間と反時間の断点からの

形にならない者たちの涯しない声、

境界の向こうへ落ち続ける

声にならない無数の声。

その声のざわめきの中で、

風化しきった壁画の中で、

厳粛に執り行われる

未知なるものたちへの唯一の儀式。

空虚の中の

ちりぢりになった化石たちの

一切を拒絶できるかたくなな沈黙。

けれど、澱んだ時間の中に偏在している涯しない声が

この遊星のどこにでもある道の上で

虫たちと共にうごめいているのだ。

砕けた時間と砕けた反時間のはざまに

この遊星の多彩な青のざわめきが

ひっきりなしに飲み込まれているのだ。

形をとらえようと試み続ける求道者たちの頭上で

かすかな清澄の響きだけが

遊星の上にこだましている。

戻る

 

ぼくの中を風が

ぼくの中を風が、

砂っぽい風が吹き抜ける。

踏みしだかれた天使たちが

草に覆われて石仏のように立っている。

車輪がコトコトと鳴っている。

どこかで時を回す亡者たちの車輪が。

見えない世界がゴーゴーと

音を立ててゆっくり回る。

宇宙に噛み込まれる存在者たちの窓、

切り絵の中の時間の断片。

荒れ騒ぐ灰色の中で

無言の天使がひとりで世界を織っている。

求道者のいなくなった大地に

どこにも根拠を持たない記号たちが

散りばめられているだけの世界。

戻る

 

古代譜・T

透き通るような空の青さの中の

小さく砕かれた時間の粒。

道の上に散らばる

賢者の論議を溶かし込んだ灰色の図形。

巨大な沈黙が

空の朗らかさをゆっくり巡る。

煌々たる青のさざめきの中に

人間たちが積み上げた瓦礫たちの声が反照する。

のっぺらぼうの平面。

戻る

 

古代譜・U

青い煌々たる大空の下の

傷ついた古びた空間の中で

重い色の木でできた

大きな車輪が音を立てる。

 

存在を噛み込むための、

無駄なものの中へ拡散させられた

幾多の時間を砕くための

巨大な車輪。

 

けれど黒い夜空の下では

ひとりの賢者が

記憶の鎖をゆっくりはずす。

 

ひとりの天使は飽きることなく

時間の彼方に

無限円の図形を刻み込んでいる。

 

踏みしだかれる音の破片。

戻る

 

風がぼくの空を駆け抜ける

風がぼくの空を駆け抜ける。

本来的なものへ突き当たることを拒絶されたものたちが

東方の時間の中に漂い集まる。

形が砕け、ぼくの道の向こうへ落ち続ける虚無の断崖で、

けれど朗らかさへの、

空の青さへの一本の道の途上で、

無数のトルソが

存在者たちの苦悩を掻き集めている。

どこにもない賢者たちの光輪の中で、

何ものでもないものたちの踊りが

丸い大地の上で、

けれどちっぽけな遊星の表面で、

陶酔しきって踊り続けられている。

その存在の中点で平衡を保っている

虐げられた存在者たちと

未知なるものへの儀式を執り行う

ひとりの祭司。

けれど混沌の中で

宇宙的形象が光っているだけなのだ。

世界と世界でないものとを隔てている絶壁の山が

月明かりの下に照らし出されているだけなのだ。

道の上で「ぼく」が

石と化している。

戻る

 

遊星の上で

平らな時間の上に

清澄の響きが滴り落ちた。

空の青よりも青いキャンバスの上で

幾多のオブジェが存在の断崖を形作っていた。

どこにも自己を定位することのできない存在者たち、

凍りついた時間の向こうに転落した存在者たちが、

扉をたたく者たちの足音を

渺茫たるまなざしで見送っていた。

けれど決してなにも分かりはしない。

遊星の上での様々な生起は

ただ引き起こされたというだけなのだ。

不可解な世界の中の不可解な法則!

どこにもない空の下で

錆び付いた鉄の塊が朝の光を浴びている。

決して何か形となるものを望んでいるわけではない。

ただ沈黙の石の中へ、

仏たちの葬られた墓地の中へ、

ガンガーの流れの中へ、

幻界の中の一切の試みが

砕け続けているだけなのだ。

戻る

 

Shri Camel

古い石窟の中での賢者の祈り、

ゆっくり揺れる時計の振り子、

茫漠たる砂漠の廃墟となった寺院で

微笑を続ける仏頭の群れ、

どこにも存在しえない石と

どこにも現れえない究極の道。

天使が舞い降りて灯した小さな灯りが

時間の中に風化し去り、

星座の下で占星術師が用いた一枚の銅版が

流砂の中に埋没し去り、

旅人が体を休めた石窟の中で

かつて天空を駆けた金色の鳥が

色褪せた壁画に永遠に貼りついている。

その夜、薄明かりの中で

世界の外の微かな微光が

砂漠の中の風化した仏頭に反照し、

天使が地平線から地平線へ

虚空から虚空へと飛翔を続ける。

天使の微笑の下では

言葉のない涸れた海が沈黙し、

勤行の声だけが

石たちの上で響き続けている。

どこにも答えはない、

そしてどこにも問いはない。

絶対者だけが天の窓から

超越的なまなざしで宇宙を覗き込む。

荘重な音楽のさざめく色褪せた曼陀羅の中では

世界に存する一切の生起が

存在と時間の間を駆け巡り、

名のない天使が

時間の外のひとつの道を指し示している。

その道の途上に散らばる

清妙な響きの演戯記号たち、

金色の鳥が飛び去ったこの地平の向こうに

天使と絶対者と

一切の真理が流れ去っている。

Terry Riley “Shri Camel”に)

戻る

 

誰でもない者たちが

誰でもない者たちが

どこにもない道の上を歩きすぎる。

論議を止めてしまった賢者たちの

未知なる形への止むことのない憧憬が

時間の斜面に焼き付いている。

冷たい黒い雨が

巨大な瓦礫の山脈を

ひっきりなしにたたき続けている。

透明な凍った大気、

静まり返った広大な地平、

混乱の中にあえぎ続けた「ぼく」だけが

未知なる道の上に置き去りにされている。

壊れてしまった形への執着だけが

びゅうびゅう鳴る絶壁の風の中にこだましている。

けれど、誰にも何も分かりはしない!

そしてどうでもいいことなのだ!

空っぽの遊星の上の膨大な時間の中で、

誰でもない者たちの夢の破片が

渦を巻いているだけなのだ。

小さな灯りが照らしだす時間の断点、

その向こうで神が黙ってうずくまっている。

戻る

 

混乱の中を駆け抜ける鳥・T

混乱の中を駆け抜ける鳥、

瞑想の鳥、黒い鳥が

空間の裂け目を真っすぐに横切る。

黒い空間に残された透明な軌跡、

その脇にはさまざまな大きさで横たわる空虚な円弧、

時間の中に取り残された様々な図形、

鳥はその中を

まるでただ絶対者に突き当たるためとでもいうように

真っすぐに、けれど図形を避けて飛び続ける。

荒々しい翼の音は全世界に響き渡り、

一切の存在者が風の中で震えおののき、

地上の石たちはみな顔をゆがめる。

その日天使たちは大地が割れる夢を見、

神々は天空が引き裂かれるのを予感するだろう。

混乱の中を駆け抜ける鳥、

時間の中の法則を打ち砕く鳥、

絶対者のいない世界を震え上がらせ、

かなたの大空に巨大な偶像を描き出す鳥、

その鳥はいつか古い石に突き当たり、

その姿を永遠の石に刻み込む。

つんざくような叫びだけが

広大な空にこだまし続けている。

戻る

 

混乱の中を駆け抜ける鳥・U

混乱の中を駆け抜ける鳥、

その峻烈な叫びが大気を切り裂き、

ぼくの中の磨かれていない原石に突き当たる。

でも世界の半分が欠け落ちた遊星の上では

賢者たちの思索の破片が燃え尽き、

灰のように降り積もっている。

時間の涯てまで広がる荒野では

今日もひとりのブッダが立っている。

ぼくはついぞ道を探し当てたことがない。

戻る

 

石がひとつ転がり落ちる

それから長い年月が過ぎ去った。

何万年もの月日が流れた。

沈黙しきった岩からは水がゆっくりと溢れ出し、

海辺では毎日波が押し寄せた。

無人の荒野を縹渺たる風が駆け抜け、

孤独な枯れた大木を幾度ともなく吹きすさんだ。

ぼくのそばでは

絶対者によって踏みしだかれた石たちが

遊星の上から転げ落ち、

その声の破片が

風化しきった時間の斜面を転がり落ちた。

その声たちの上には

無数の星たちが飲み込まれてゆく

空っぽの宇宙。

けれど、広野の沈黙の中では

まだひとりのブッダが立っている。

殺伐とした時間がゴーゴーと音を立てる。

この遊星の上で。

戻る

 

預言者に向かって

長い間、長い間、

とてつもなく長い間、

ぼくは歩き続けた。

狂気によって破壊された道、

氾濫する欲望が瓦礫と化した道、

道ではない道を。

星座が次々に地平に落ちる。

どの川も干からびた声だけ、

どの山もはげ山だ。

黒い荒ぶれる天空の下で

不可解な敵意に満ちた地平が

荒れ騒ぐ情念が跋扈する地平が

ただ広がっている。

でも、荒野で打ち捨てられた石たちの

押し黙ったままのまなざしが、

天の底でうごめくものたちのまなざしが、

ぼくを見つめている。

でも、何も言おうとしない。

戻る

 

Ho Ban T

時間の彼方に置き去りにされた白日の光、

青い山ははるけさの中で、

けれど、沈黙しきってそっけない。

悠々と流れる雲の中に

形のないものへの憧れが塗り込められるけれど、

キャンバスに描かれた図形は

冷たい光の中で

時間の外のさざめきに共鳴している。

例えば、

シナの楼台で読まれたひとつの律詩に、

インドの街での車輪の軋みに、

シュメールの預言者の星占いに、

カデシュを駆けるヒッタイトの叫びに。

けれどすべては

硬くなったひとつの石、

青い空の中のひとつの記号でしかない。

やがてひとりの魔術師がやって来て

演戯の終わりを宣告し、

舞台の人物や背景をかき集め、

小さな図形に変えてポケットにしまいこむ。

後に残る白い沈黙。

Carl Stone “Ho Ban“に)

戻る

 

時間の中の天使

未知なるものへ、涯てしないものへ、

とめどもなく押し寄せる波、

砕けることを欲して

激しく咆哮を上げる風、

その星月夜の下の大海原で

小さな石を伴侶に舟旅を続ける

時間の中の天使、

月も星も天空に貼りついたまま

移動しようともしない。

金色の鳥は自由に、けれど孤独に、

夜空を真っすぐに横切って飛んでいった。

荒れ騒ぐ水平線で墜落する

様々な図形、

天使の無垢の笑いの前で

大海原に沈澱する無数の発光、

幻界の中の時間を刻みこむ試みだけが

飽くことなく繰り返されている。

戻る

 

光はどこからかやってくる

光はどこからかやってくる。

白い家の古びた紋章の鳥はいつも荘重に沈黙を続ける。

けれどそのまなざしはいつか大空を駆けるときの輝きを発し、

その翼は太古の時代の飛翔の響きをとどめている。

ある冬の日の朝だった。

向こうの山が大空の中で煌々と輝き、

紋章の鳥の

つんざくような叫びを聞いたことがあった。

光はどこからかやってくる!

そして光は新しい道を照明し、

とめどもない試みに新しい生命を与えつづけ、

鳥はこの世界の存在者に光の由来を告げるのだ。

戻る

 

流れ去ってゆく者は誰か?

流れ去ってゆく者は誰か?

流れを渡ってゆく光とは何か?

とめどもないこの虚空の中を

意味もなく漂ってゆく無数のオブジェ!

そして世界は

いつもきらきらと舞いながら

無気味な沈黙を守っている。

その中で演戯を強いられるぼくたちは

けれど、母なる世界といかに結び付くのか?

茫漠たる宇宙の荒涼、

黒い夜空の冷たい星の光、

かつて存在の秘密を探し求めて

氷の砂漠をひとり旅したぼくは

今は縹渺たる風の中に立ちつくし、

涯てしない深遠に発した光が

空の涯てに砕けるのを

冷たいまなざしで見送っている。

氷の彫刻だけが

厳しい微笑で彼方をみつめている魔術的な夜。

ただひび割れているだけの不思議な静寂。

ぼくが何ものにも行き着くことがない

このゴーゴーという時間の流れの中で。

戻る

 

千年が過ぎ

千年が過ぎ、再び千年が過ぎ、

数限りない石が道の上に砕けた。

どこにも永住することのできなかった石たちの

形にならないつぶやきが、

そして名工によって刻まれた冥想のブッダが

幾千年の月日を廃虚の寺院で過ごした。

どこにも何もありはしない。

灰色の巨大な忘却と

砕け落ちた記憶の切片が

遊星の上をゴーゴーと流れ続けるだけなのだ。

混乱しきった道がぼくの中心で渦を巻き、

根拠を失った演戯記号たちが

世界の浜辺で戯れるだけなのだ。

ぼくの内側で展開を待っている無限図形への憧れ、

とうの昔に鳴り止んでしまった絶対者の咆哮、

空の青の中では

誰でもないものたちによって

ひっきりなしに図形が引き裂かれている。

世界の断崖では

風がびゅうびゅうと荒れ騒いでいる。

存在と非存在の接点に

時間の濁流が飲み込まれるだけの世界。

戻る

 

天使たちはどこにいる

天使たちはどこにいる!

かつて道の彼方の断崖で

風の中を舞っていた天使たち、

かつて過激な爆撃によって荒らされた

丸い大地の上で踊り狂った天使たち、

その天使たちはどこにいるのか!

無気味に星座だけが運動を続け、

遊星の上の波だけがひっきりなしにざわめいている。

けれど、石に刻まれた鳥の呪文にはもはや効力がなく、

くもった音が空間を埋め尽くし、

時間の中には空虚がぽっかりと浮かんでいる。

さあ、どこに、どこにいるんだ!

ぼくたちの道の上に

新しい形を描くはずの

誰でもないものたちは!

戻る

 

ぼくが世界の中に描き込めるのは

ぼくが世界の中に描き込めるのは

一枚の絵でも一編の詩でもない。

沈黙しきった世界の中に残っているのは

天使たちの祈りでも魔術師たちの呪文でもない。

空虚の中心に引き付けられているのは

世界にとどめを刺す神の一撃なのだ。

でもぼくは一つだけ断言できる、

ぼくたちは道の上にいないのだと。

世界の中心にいるのは

一匹の虫にすぎない。

そしてなにものをも運ぶことのない風が

絶壁の山の上から

びゅうびゅうと吹きすさんでいるにすぎない。

かげろうのように

微かに揺れ動き続ける世界の内側で、

ぼくが描けるのは

無意味を積み上げた形だけだ。

戻る

 

浜辺で

浜辺で、きらきらとした光たちの踊り。

波と風とが追いかける。

舟が沖をめざしている。

でももう引き返した方がいいだろう。

石たちが取り囲む洞窟へ

灰色の図形が横たわる伽藍へ

再び閉じ込もった方がいいだろう。

時間がいつもよりゆっくり回り、

鳥たちが不安げな声をあげている。

きっとなにか不吉な前兆なのだ。

浜辺で天使たちが

清澄の人の足跡を踏みしだく日には、

天空の彼方の神々が

豊かだった時間の破片を

さらに小さく砕いているかもしれないのだ。

もう終わりにするがいい!

そう大声で叫んだ。

すると世界にひびが入った。

戻る

 

嘆き

一切は空に

星は光に

黒い天空を駆ける絶対者の意志は

仏頭の静かな笑いに

みなそれぞれに

明かりの中の悲しみを

注ぎ込み溶かし込もうとする。

秋の日の木立の下の

はてしなく積もった落ち葉の

その上に広がる青い空、

光の中に散逸する希求の響きは

けれど微かに黄色い木立の隙間から

世界の向こう側へと去ってゆく。

冬の湖、

太古の沈黙、

雪の降りしきる山では

絶対者の咆哮、

緩やかに下り坂となる

世界の斜面を駆け降りる

存在者の意志を呼び醒ますかのように。

無人の砂漠の

消えた道の

その先にあったかもしれない廃墟の塔、

雨の中で沈黙を守る

ひっそりとした木立のみずみずしさに

青い色の悲しみを感ずる。

光が落ちた日。

戻る

 

無題

小さな虫が道の上をはい進む。

そのそばをぼくが大股に歩きすぎる。

その上には青い空。

一匹の毛虫が小さな遊星の上をはい進む。

丸い大地の上には満天の星空。

ぼくはどこにもいない。

渦を巻いている巨大な時間。

戻る

 

そうして一切が消えてしまって

そうして一切が消えてしまって

すべてが終わりになるのだ。

ぼくの内で、ぼくの外で、

世界の鼓動の音がか細くなり、

存在の歯車の回転が鈍くなり、

そうしてすべてが止まる。

時間の中の数知れぬくさびが

夜のかけらとともに流れ去り、

洞窟の岩壁に描かれた転生の法則が

さらさらと風の中に吹き払われる。

遊星の表面では

無数の絶壁が意志を失って

無言のうちに崩れ続ける。

けれど荒野では、

荒れ狂う荒野では、

今日も亡霊たちが不吉な踊りを踊り狂っている。

ぼくが歩いて来た道はいつか泥土と化し、

ぼくが練り上げたいくつものトルソは

太陽の鈍い光の中で

赤褐色の無気味な笑いで

世界をあざけっている。

嘲笑されているのは誰か?

それはぼくなのか?

それとも絶対者か?

さあ、誰なんだ!

存在者たちの色褪せた化石だけが

砕けた空の破片の上に降り積もっている朝。

戻る

 

未知なるものへの祭壇で

未知なるものへの祭壇で

敬虔な祈りを捧げるひとりの祭司、

灰色の風の下でたなびく

ひからびた曼陀羅。

そのそばでは

複雑な数学記号が石の上にへばり付き、

単純な時間が

色褪せた壷から揮発している。

そうだ!

宇宙の風は未知なるものへと向きを変え、

ひとりの祭師は年歳をとった。

だからぼくは

秘密の言葉をそっとささやく、

冷たい石の破片に向かって。

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向殿 充浩  Mitsuhiro Koden (こうでんみつひろ)  連絡先:koden.pled@gmail.com

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