やみ金業者に対する刑事罰
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Last updated 2011.3.20
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相談:闇金に苦しめられた
知人がやみ金業者に苦しめられ、自殺寸前まで行きました。知人が警察に訴えたため、やみ金業者は逮捕されました。
このやみ金は、法定金利の1000倍ほどの金利を取り、貸金業の届けもなく、他人名義の口座に振込みをさせていました。
知人に仕返しはないでしょうか。やみ金業者に対しては、どんな刑事罰が科せられているのでしょうか
回答:闇金に対しては厳しい
弁護士として、やみ金の弁護を担当することがあります。国選弁護事件です。被告人は、「業者の仲間が付けた弁護士だと、裁判所の心証が悪い」と考え、業者が付けた弁護士を拒否しました。それで、この事件は国選弁護事件として弁護士会に回ってきました。
接見をしても、この種の被告人は悪びれた様子はなく、反省をしていないとの印象を受けますね。
連中は、部屋の中に防音室を作り、大声で怒鳴って被害者を追い込みます。
金利を計算してみると、年1000%を超えており、悪質極まりないです。
やみ金の場合、次の法律違反で起訴されます。
- 「貸金業法」によると、貸金業を営むものは内閣総理大臣、都道府県に登録しなければなりません。登録を受けない者は、貸金業を営むことは禁止されています(同法11条1項)。
これに違反すると、10年以下の懲役若しくは3千万円以下の罰金あるいは、両者が併科されます。
- 「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」によると、高金利の契約をすると、処罰されます。業者が、年29.2パーセント(閏年の場合は年29.28パーセントとし、1日当たりについては0.08パーセントとする)を超える割合による利息の契約をしたときは、5年以下の懲役若しくは1千万円以下の罰金あるいは両者が併科されます(5条)。
- 「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」により、他人名義の口座を使ったりして、犯罪によって得た利益を隠すことも処罰されます(10条1項)。
刑は、5年以下の懲役若しくは3百万円以下の罰金あるいは、両者が併科されます。
以上の犯罪は併合罪とされていますので、重く処罰されます。
この種の被告人は、大抵は、仕事がなく、誘われて、やみ金で働き、やり方を覚えて、独立して自分で始める若者が多いです。
やみ金営業期間が
1年、稼いだ金は7千万円、上部へ上納して手取り1千4百万円の事件で、検事
の求刑は懲役4年、罰金1千万円でした。3年を超える求刑ですから、検事は、実刑相当と考えています。裁判所も実刑を考えます。判決は、懲役2年8月、未決算入108日の実刑、罰金1千万円、罰金を完納できない場合1日2万円に換算して労役場留置でした。
以上のように、検察官の目も、裁判官の目も厳しく、やみ金に対する処罰は厳しいです。お礼参りはないです。大丈夫です。
なお、似た事例で、本人の反省がある場合には、執行猶予がついていました。
登録 2005.11.23