罰金刑に執行猶予が付きますか
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2015.6.22mf
相談
知人が罪を犯し、貸金業法違反(無登録で貸金業を営業、闇金)で、論告求刑で検察側に、懲役1年および罰金200万円を求刑されました。私の知人は、5人の相被告人のうちで末端の人間です。他の被告人も懲役は、1年〜2年、罰金額は、それぞれ、異なります。
中心的役割の2人は、分離されています(主犯は否認しているようです)。
知人は、反省しており、弁護士は、執行猶予が付くと言うのですが、罰金刑がどうなるか心配です。
このような場合、判決で懲役については、執行猶予がついても、罰金刑に執行猶予が付かないことがありますか。
求刑で罰金額が提示された以上、懲役について執行猶予になった場合は、罰金刑は、必ず付いてくるものですか。
回答
罰金刑に対する執行猶予の制度はあります。50万円以下の罰金に処する場合です(刑法25条1項)。
裁判所は、求刑に拘束されません。検察官の求刑が「懲役1年および罰金200万円」でも、裁判所は、執行猶予付き懲役刑、罰金なしとの判決を言い渡すことは可能です。
しかし、刑務所に入れずに、社会において被告人を更生させることが執行猶予の目的です。罰金を科しても(刑務所に入りませんから)社会における更生は可能です。主にこの理由で、執行猶予付き罰金刑は希です。
罰金刑に執行猶予を付けた例は、被告人の情状が極めてよい、極めて希な場合です。判例集では下記2つの判決があります。
貸金業法違反では、懲役刑と罰金刑の併科の求刑が結構あります。
懲役と罰金を併科するときは、通常、執行猶予は懲役刑に対してのみ付けます。
罰金刑に執行猶予を付けた判決
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名古屋高等裁判所昭和63年3月16日判決
外国人登録証明書の切替交付申請や引替交付申請の際に指紋押なつの拒否した例では、執行猶予2年の罰金3万円
- 東京高等裁判所昭和42年10月11日判決
センターライン上を右折の信号をなさず対向進行する原動機付自転車に衝突した被告人に対し執行猶予を付した5000円の罰金、
登録 2010.2.20
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