鉢植え牡丹1

「動機」

ぼたんの花はほんとうに奇麗だ。『百花之王』と形容されるのも納得できる。
昭和30年代東京の郊外にある奥多摩にハイキングに行ったときのこと。

拝島駅から乗り継いだディーゼルカー(汽車だったかも知れない?なにしろ30年以上前のこと、当時上野駅や新宿駅から東北や信州方面への山歩きのために使ったのは石炭を炊いて走る夜行列車だったから)で大勢のハイカーと武蔵五日市駅に降り立った。数馬行きのバス停留所は駅から少し離れていたので大勢のハイカー達と石垣のある道を歩くことになった。今と違って当時はボンネット式のバスが走っていて、家並みもまばらで五日市町ものどかなところだった。

と、高台の上に建てられた民家の庭先からそれは見事な白く縁どられた大輪の桃色の花がいくつも覗いていた。それは見事な牡丹の花だった。それ以来ボタンに魅せられしまった。

実は小ぶりの花をつける芍薬は知っていても木の枝に花をつける牡丹はそれまで本物を見たことが無かった。そしていつか「自分の庭に咲かせてやろう!」と。

そんなことで30代になってから2株ほど牡丹の苗木を買ってきて庭に植えた。それから年1株ぐらいのペースで増やしていったので、現在は19株ばかりになったが、結局狭い庭のため今では12〜13号の鉢植えで育てることにした。これなら玄関先にも移動出来るし結構春には近所のひとにも花を楽しんでもらえる。これからも年1鉢位のペースで奇麗なぼたんに出会えたらまた増やそうと思っている。

[ 1996年12月記す]