ティム・ホジキンソンと共にHENRY COWの創設メンバーであるフレッド・フリスはHENRY COWの終焉とともにART
BEARSを始動させ、同時にソロ活動も活発に行うようになり単身アメリカへと渡り世界中のミュージシャン達と様々な共演を試みるようになる。
そんな中、'80年遂にニューヨークに移り住む事を決意したフリスは以前NEW YORK GONGとして面識がありその後MATERIALとして活動していたビル・ラズウェル(B)、フレッド・マー(Ds)と共にMASSCREを結成する。その音楽はHENRY
COWの構築された美しさとは一転し強烈なビートと細分化されたリズムにまったく独自のインプロヴィゼーションを繰り広げる新しい音でN.Y.の音楽家達を震撼させるが、MASSCREとしての活動は長続きせず次にフリスはCURLEWのチェリスト、トム・コラとデュオを組みSKELETON
CREWと名のりダブル・ワンマン・バンド的パフォーマンスを始める。後にNEWS FROM BABELのハーピスト兼キーボード奏者のジーナ・パーキンスも加わるが、翌'86年には解散する。
その後フリスはバンド活動を休止し無名ながらも良質なバンドの発掘し世に送り出す努力も積極的に行いながらもセッションレベルでの活動を続けながら作曲活動に重点を置くようになり、'88年に「The
Technology Of Tears」'89年には映画のサントラ「The Top Of His Head」をリリースし、FRENCH
FRITH KAISER THOMPSONやジョン・ゾーンのNAKED CITYなどにベーシストして参加もする。そんな中'90年にはニコラス・フンベルトとヴェルナー・ペンシェルの監督により旅する人フリスを描いた映画「Step
Across The Border」が作られ同名のアルバムもリリースされる。
作曲活動に重点を置くようになったフリスだが'89年頃からまたルネ・リュシエとKEEP THE DOGというバンドやTHE
GUITER QUARTETなども組み活動するが、KEEP THE DOGのほうは'92年頃には解散。その後もヨーロッパ等での活動も活発に行いながらも映画やダンスの為の作曲も続け'96年には「Middle
Of The Moment」や「Allies」等を発表。'97年はTHE GUITER QUARTETのアルバム「Ayaya
Moses」をリリースし'98年には17年ぶりにMASSCREの新譜(ドラムにはチャールズ・ヘイワード)が出たりと今なお活発な活動を続けている。
足早にフレッド・フリスの軌跡を追ってみたが、フリスの活動はとても全てを把握しきれない程多岐に渡っていてセッションやユニット等の参加アルバムは数え切れない程ありますので、ここで紹介したのは代表作のほんの一部ですのであしからず。
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Fred Frith「GUITAR SOLOS」 74年、76年、78年にそれぞれ「Guitar Solos」として出されたレコードに、88年に録音されたソロを追加収録したフリスのソロ・ギターの集大成CD。 |
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Fred Frith「GRAVITY」 フリス独立後のソロRalph3部作の1枚目。A面をツァムラ・ママズ・マンナ、B面をザ・マフィンズが全面サポートし世界の民族音楽的要素を取り入れたアヴァンギャルドだけどポップで楽しい作品。 |
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Fred Frith「SPEECHLESS」 ソロ3部作の2枚目。今度はA面をEtron Fou Leloublan、B面をマサカーが全面サポートする強力な作品。さらにCDにはヘンリー・カウがらみ等豪華なボーナストラック付。 |
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Fred Frith「CHEAP AT HALF THE PRICE」 ソロ3部作の3枚目。前作までのバンド形式から一転ゲストを招きながらもほとんどの楽器を一人で演奏した作品。 |
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MASSACRE「Killing Time」 マテリアルのビル・ラズウェルとフレッド・マーのアグレッシブで強力なノリが凄いアヴァンギャルドなインプロヴィゼーション・ロックの傑作。 |
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Skeleton Crew「The Country of Blinds」 ストリート・オーケストラ的楽しさのデュオにジーナ・パーキンスが加わりより完成されたスタイルへと変化したスケルトン・クルーの2作目。 |
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Fred Frith「The Technology Of Tears」 ダンスの為の音楽としてシンクラヴィアを使い作られたこれぞフリスの音楽と唸らせるとても楽しく聴き応えのあるアルバム最高。 |
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Fred Frith「Step Across The Border」 シネ・ノマド(N・フンベルト&W・ペンツェル)が旅する人フリスを追って描いた同名のドキュメント映画のサントラですが、映画とは別にフリスの音楽活動の総集編として初心者にもお勧めな傑作。 |
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Chris Cutler & Fred Frith「Live in Moscow,Prague & Washington」 ヘンリー・カウ時代からずっと活動し続けるフリスとカトラーのデュオ・インプロヴィゼーション第1集。緊張と気迫に満ちた壮絶なライヴ。 |
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Fred Frith「middle of the moment」 「Step Across The Border」から5年、シネ・ノマドが遊牧民の生活とフランス前衛サーカス集団サーク・オーにギリシャの島で暮らす孤高の詩人R・ラックスのドキュメント映像詩の為のサントラ。 |
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Fred Frith「Allies」 89年ベベ・ミラーのダンスパフォーマンス為に作曲されたダンス音楽第2弾。トム・コラやジョーイ・バロンらを迎えてリミックスされた力強いロック・アンサンブルが聴かれる。 |
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Fred Frith Guiter Quartet「AYAYA MOSES」 フリスとルネ・ルシェル、ニック・ディドコフスキー、マーク・スチュワートによるアヴァンギャルド系エレクトリック・ギタリスト4人の激しくも繊細かつ美しいアンサンブル。 |
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MASSACRE「Funny Valentine」 まさかーな第二作。新たにドラムがチャールズ・ヘイワードに代わり、また一弾とアグレッシブになった強力盤カッコイイです。 |
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MASSACRE「Meltdown」 遂に出た!新生MASSACREのライヴ盤。凝縮されたスタジオ盤とはまた違って解放されたような生の音を聞ける、これまたすばらしい強力盤。 |
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Fred Frith Keep the Dog「That House We Lived In」 3年程の活動で解散したフリスの幻のバンドの音源が遂にCD化。演奏曲もカウ〜ソロ〜マサカー〜クルーなどからの選曲でフリス音楽の集大成的なバンドだった。 |
[ HENRY COW | ART BEARS | Chris Cutler ]