LV Student Edition Version 5.0

学生版LabVIEW 5.0


National InstrumentsのwebでLabVIEW Student Edition 5.0が1998年の年末に発売されるという情報を見たときには、ちょうどLabVIEW Student Edition 3.1を手に入れたばかりだったので、衝撃を受けた。実際に発売されたのは予定からすこし遅れて年を越した1月末のようだ。
National InstrumentsはLabVIEW Student Edition 3.1ではいかに機能制限を行って通常版と差別化するかに細心の注意を払っていたように見受けられる。例えば数値型を限定すると同時に解析VIをベーシック版より豊富に用意するなどLabVIEWの仕様全体を見直して学生版にふさわしいレベルの機能を実現していた。これに要する企画/開発の負担は大きかったと想像できる。特に数値型を一つに絞り込んだために多くの特別仕様のVIを作成する必要が生じた。
それから4年後、大胆にもLabVIEW Student Edition 5.0はいくつかの開発者向けの機能を削除しただけでほとんど通常のLabVIEW5.0を学生版として添付した。インターネットツールキットやG-MathツールキットさらにHiQをアドオンして強力なツールを提供している。学生がFFTを使うためにCのソースコードが書かれたデジタル信号処理の本を読んで実行プログラムを作成する時代ではなくなった。一人ひとりが自分の都合に合わせてツールを整備して、使って成果を得ることに焦点を絞っていく時代なのではないだろうか?

LabVIEW Student Edition 5.0の公式情報の入手先

大々的な宣伝はないが、公式情報はNational InstrumentsのWeb(http://www.natinst.com/labviewse/)で入手することができる。また、販売元のAddison Wesley Longmanのホームページ(http://www.awl.com/)でもISBNナンバー(0-201-36184-1)で情報を検索できる。

購入方法

日本NIに問い合わせたところ、「本社での取り扱いをただいま検討しているとのことです。」という返事で、日本語化についても「現在のところ残念ながら日本語化の予定はありません。」とのことです。
発売元の日本代理店(?)のアジソン・ウェスレイ・パブリッシャーズ・ジャパン(株)に問い合わせたら「誠に申し訳ないのですが、弊社では輸入販売業務を行っておりません。洋書取り扱いの書店や輸入業社に業務を委託しておりますので、ご購入の際は、書店を通してご注文をお願いいたします。」という丁寧な返事をいただきました。
オンラインで洋書輸入をしているスカイソフト(http://www.sky.co.jp)に問い合わせたら、「上記書籍は仕入元にて取扱いがなくお取り寄せすることができません。」という返事でした。
しょうがないので、Addison Wesley LongmanのホームページでAWL Online Storeに会員登録をして取り寄せることにしました。注文から7日で無事手元に届きました。$56.25に郵送代$15.00でした。AWL Online Storeからは特に学生かどうかの問い合わせもなく、「子供の入学祝いに、、、」という説明もしないまま普通の書籍と同じように購入しました。

内容物

Learning with LabVIEW;
初めてLabVIEWに触れる人を対象に丁寧に説明した465ページのテキストブックです。LabVIEWでは画面を見ながら説明すれば簡単なことなのに、文章にしようとすると難しいという面がありますが、スクリーンケプチャーした図に矢印や注記を入れて分かりやすく説明しています。マニュアルと市販の解説本の中間ぐらいの書き方でとてもGOOD!!!
著者はテキサス大学のRobert H. Bishop氏

CD-ROM;
LabVIEW 5.0 Student Edition, Internet Toolkit, G Math Toolkit, HiQ 4.0
System Requirement;
Windows NT/98/95, Mac OS (Power PC only) 16MB RAM 100MB* hard drive
*Additional space needed for toolkit installation

LabVIEW Student Edition 5.0の特徴

ナショナルインスツルメンツ社製の全てのデータ収集と計測器制御用ハードウエアとともに使用することができる。
通常版で使われる全てのデータタイプをサポートしている。
統計、時間領域/周波数領域の解析、回帰、線形代数などたくさんのVIを提供する解析ライブラリが付属している。
数値解析と表示を行うG Math Toolkitが付属している。
ウエブブラウザーでインターネット越しにバーチャルインスツルメントを見ることができるInternet Developer's Toolkitが付属している。
UNDO/REDO機能は学生にとってプログラミング編集作業を格段に容易にしている。
データの可視化とレポート作成にHiQ 4.0を活用できる。
LabVIEWクライアントアプリケーションでLabVIEWサーバーアプリケーションをネットワークを介してコントロールすることができる。

機能制限
Active Xコントロール機能がない。
DLLやCode Interface Nodeを使って外部のコードとリンクすることができない。
スタンドアロンの実行プログラムを作成することができない。

日本語の使用について
LabVIEW Student Edition 5.0では(ちょっと試した範囲では)日本語テキストを文字化け無しで使用できる。

その他
フロントパネルとダイアグラムのウインドウの左下隅のスクロールエリアに"Student Edition"と表示され、通常のLabVIEWとの区別を行っている。
ファンクションメニューでサウンド機能が提供されている。.wav形式のファイルの読み書きとPCやMacのサウンド入出力が可能なようだ。

1999年3月13日 大橋康司



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