●スタン・アンダソン氏の一連の作品は、時に室内のインスタレーションであり、また、きわめてプリミティブな造形のランドアートであったりします。
これらのオブジェによって普段見慣れた何げない景観が、秘密をまとった魅力的な景色を発しています。ここに風景の誕生があります。
実は今日、風景を問うことは危険性をともないます。それは〈風土〉という根源的な生活基盤を失いつつあるわれわれが、自然回帰するなかで、自然のサインをイマジネーションの力で適確に把握する能力が落ちているからです。
このとき、いわゆる場違いな風景が生まれても、何とでも意味づけしうるのが現代です。
中国の庭園に〈園林〉という思想があり、風景を楽しむ庭として郊居が位置づけられています。風景に遊ぶ風流の極意が〈郊居〉にあるわけです。私どものギャラリーで古びた木や、竹という土着的な素材を使い、スタン・アンダソン氏がどのようなイメージをつくり出してくれるのか、その作品が楽しみです。
INDEX GALLERY代表 岩野正英
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