■ 再審請求に関する救済お願い書 (13) もどる

(三)

そのような次第で、私もこのような環境を余儀なくされまして以来、今年でまる29年の歳月を無に帰させられてしまった訳ですが、それでもこの年月、気の遠くなりそうな、この時間経過の中にも拘わらず、唯今こうして御会への救済願いを書いている現在でも、いままで忘れていたようなことまで思い出すなどして、記憶の底の怒りはおさまるばかりか、益々新しい怒りと口惜しさが甦って来てしまいました。

そうした伏線があったからかも分かりませんが、私はここ1カ月くらいの間に、殆ど同じような内容の嫌な夢を三回も続けて見させられてしまいました。

(1)それは証人達のおかれた地理的環境による、生まれながらの異状とも云えるような封建性を充分に計算し尽くした上での、権力をちらつかせた威迫誘導を駆使して、こうした雰囲気に弱い証人達をパニック状態に陥らせた上、そこにつけ込んで執拗に同じ設問を繰り返して、終に一種のサブリミナル・メッセージを深層心理に刷り込むことに成功していたこと。

(2)更に進んで、これら証人に対して公判での不正な証言をも約束させた上、「いいか、裁判所でも必ずいま言ったように証言すんだぞ、俺が居ねえからって良い加減なこと言ったって後で必ず判るんだからな、第一そんなことのないよう、裁判の時にゃあ仲間の誰かがきっと何処かで見張っているからな」といったような追い打ちの脅迫で、更なる後催眠効果まで引き出してしまっていたこと。

(3)後催眠覚醒のキーワードは、ほかならぬ傍聴席の警察官たちそのものであり、開廷前におけるさり気ない「いいですね、判っておりますね」という一言であったこと。

(4)私はそうした夢の間中、何処か判らない場所からずっとそれらを見まもり続けながら「そうじゃないでしょうが、どうして本当のことを言って呉れないのですか」と、地だんだ踏まんばかりに口惜し涙を流し続けていたこと。

こうした夢は一炊夢のたぐいか、あるいは単なる五臓の疲れによる雑夢のたぐいかは存じませんが、私自身と致しましては、長い間あれも駄目これもだめの制約にがんじがらめの環境の中で、知らず知らずの間にあらゆる感情がスポイルされてしまい、事件のでっち上げや、その外の不合理に対する怒りや口惜しさの感情などと云ったものがいつしか薄められてしまっていたものが、御会への救済依頼の中で改めて甦って、そうした夢の形となって現れたのではあるまいかと理解している次第です。

こうした御依頼の中で夢の話に触れるなど、あるいは不謹慎のそしりを免れないのではあるまいかと、瞬時ためらいの気持ちが脳裡をかすめなかったわけではございませんでしたが、それでも敢えて申し上げさせて頂きましたのは、それほど、夢の形をとってまで現れるほど、私の深層に潜む怒りや口惜しさの度合が大きかったことを、御理解頂きたくと切願してのことと、温かく御寛容賜りますよう心からよろしくお願い申し上げます。


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