■ 心証

ある人間がある行為をしたかどうかを判断するときに「行動に出でかねない性格と気性の持主である」ということを鑑みるのは、その行為の数値化すらできない曖昧な確率を問題にしているにすぎず、推測の域を出ない。行為の有無を正確に判断しなければならないとき、このような考え方は排除するべきである。人間の命が掛かっている死刑をこのように曖昧な根拠で決めるべきではない。

水戸地裁の判決文では,

「各証拠が物語る被告人の悪性と,...反対尋問の名の下に執拗に迫った被告人の言動とに徴して,...被告人が人並外れた程,金銭に対する執着心が強く,そして生活の向上にあせつて居り,而も判示第一摘示のような凶暴破廉恥な行動に出でかねない性格と気性の持主であることが洵に明らかに認識されるのである」

など冨山さんの「悪性」について記述している.これについては根拠に疑問のある証拠を挙げていたり,東京高裁で無罪となったハワイ屋事件は性質が凶暴であると裁判官に印象づける(注)ために起訴に付け加えられたという指摘がある.


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