完成したこのシステム、実走行テストをやってみると実にトンでも無い(笑)。1速で発進して全開! が、7000回転まで加速するのにすっごく時間が掛かる。ハッキリ言ってノーマルより遅い(笑)。7000を超えるとパワーがいきなり出てきて8500までフケるらしいのだが、私が試乗した時は場所が狭かった為、7000回転までしか回す事が出来なかった。強烈に遅い(笑)。当然ながら本人もマズイと思ったようで、このシステムは短い期間でボツになった。

元のエンジンがけっこトルクフルだったのに、吸気システムを交換した事でトンでも無いエンジンになってしまったのはなぜか? それはインテークマニの短さが中低速での慣性過給効果を低下させ、充填効率を著しく悪化させた為である。7000以上で良いのは、短いマニが高回転の脈動に共鳴し充填効率を高める事と、スロットルバルブ面積が広いがゆえの吸気量の多さが理由だ。元々、カローラの場合はスロットルボディ上流に長さ100mmくらい?の細くて長いファンネルが気筒ごとに独立して付いている。スロットルがφ41mmなのに、この内蔵ファンネルの口径はφ30mmくらいしかなく、この細くて長いファンネルが、全開時にはマニとして機能する為、そこそこの中低速トルクを確保できるのだろう。しかし、カローラって41mmのスロットルにφ30mmのファンネルを付けてどうするんだろ?(笑)。逆に言えばトヨタでもそれくらい細くて長いファンネルを付けないとトルクを出せなかったって事だ。だが、今回の吸気系交換マニア氏の場合、スロットル上流には短いファンネルが付いているだけだ。これが敗因と思われる。

そこですぐに改良してVer2.0が登場した。


↑これだ。インダクションボックスを1から作り直した。


前作よりもボリュームの有るインダクションボックス。


単体で見るとこうなる。


その内部には溶接一体型でエアファンネルが内蔵されている。


そしてもっとも注目すべきはその内蔵ファンネルを含めた全体の長さ。これならカローラより長い。ヘッド側フランジからファンネルまでの長さはB6のノーマルマニに負けない長さだ。ヘタすりゃノーマルより長いカモ。この長さが慣性過給効果を生み充填効率を高める。ハズ...(笑)

これが成功したようで、中低速トルクはけっこ出たらしい。が、それは全開かそれに近い状態の話で、ハーフスロットル時にはどうしてもトルクが出ない。何故かというと、スロットル上流にいくら長いファンネルを付けたところで、スロットル開度が小さい時にマニとして機能するのはスロットル下流だけだからである。全開時にはスロットル上流のファンネルも含めてマニとして機能する為、長いマニによる慣性過給効果が期待できる。が、スロットル開度が小さい時にはスロットル上流の長さは全然関係ないってわけ。よって、全開時のトルクカーブではそこそこ良い感じだし、シャシダイで現れるグラフもそこそこなのだが、実際に走行するとハーフスロットルでのトルク感やレスポンスが悪すぎて駄目。真っ直ぐに加速して行くだけなら問題無いどころか気持ち良いくらいなのだが、コーナリング中のアクセリングや立ち上がり加速などでトルクが付いてこない為、結局ダメ出しとなった(笑)。

ハーフスロットルでトルクが出ないって他にもう一つの問題が、構造上どうしても同調がとれない事。これは、カローラのスロットルボディの構造が、インダクションボックスを取り外さないと同調スクリューが回せないって事が大きな問題となっている。エアフロ付きシステムの為、インダクションボックスを取り外すとエンジン始動できない。って事は同調もとれないって事。

そこでこの吸気系交換マニア氏はとりあえずD-ジェトロにでもしてみようと考えた。D-ジェトロならエアフロを外してスロットル剥き出しの状態で同調がとれるハズ。まずはD-ジェトロのクセを見極めてセッティングに慣れる為、ノーマルのマニとスロットルに戻してから某社製VPCなるサブコンと吸気温度センサと負圧センサを接続し、エアフロを取り外す。高精度A/Fメータを使ってセッティングする。VPC本体に付いてるゲインとかアイドルとかってツマミもいじるけど、それだけではどうしてもメチャクチャなセッティングしか出ないので、当然ながらROM側のマップ書換えでセッティングしていく。が、どんなに頑張ってもセッティングが出ない。今日のセッティングは昨日のセッティングと違う。つーか、午前中にセッティングして午後になると空燃比が変る。とりあえずD-ジェトロ状態で4連スロットルにして試すが、どんなに頑張ってバッチリのセッティングを出しても翌日にはやはりグチャグチャなセッティングになる。これが低精度A/Fメータだったら解からんのカモ知れないけど、高精度ゆえに狂ったのが一目瞭然、気になって仕方ない、毎日セッティング、同調どころの騒ぎではない、嫌になる、というステップを踏んで吸気系交換マニア氏はくじけた(笑)。やはりフラップ式エアフロの高精度で安定した制御に比較すると、D-ジェトロの毎日変ってしまう空燃比を見ていると耐えられない。で、吸気系交換マニア氏はVPCを短期間で捨てた(笑)。

ここまで苦労して毎日セッティングするくらいなら、キャブでも良いじゃん、と吸気系交換マニア氏は考えた。4つバルブが有るんだから似た様なもんだろと。さっそく吸気系交換マニア氏はSOLEXφ44を取り付けた。最初はその豪快な吸気音やクラシカルな雰囲気で喜んでいた吸気系交換マニア氏、空燃比計を取り付けてマジメにセッティングし始めるとどうにもならん事に今更ながらに気付く(笑)。ジェットのセッティング次第で空燃比はそこそこうまく出せるのだが、やはり4連スロットルと同様にスロットル下流のマニ部分が短いってのは同じなわけで、どうしてもハーフスロットルのトルク感やツキが悪い。インナーベンチュリを細くすればハーフスロットルや中低速でのフィールは良くなるが、高回転高負荷域でフケない、インナベンチュリを大きくすればその逆となる。ある程度妥協してセッティングをうまく出したとしても、やはり午前と午後で空燃比が大きく変る。もちろん翌日になればまた変る。結局、酸素密度が濃い時に危なくない程度に濃くしおくと、酸素密度が薄い日には空燃比が濃くなり過ぎて黒煙を吐いてフケない。ま、そこそこフケてるんだろうけど、本当に最適な空燃比を出したベストセッティングには程遠いわけで、結局は全体的に妥協の塊のようなセッティングとなる。これではエンジン本体の性能を生かしきれてないわけで、毎日の空燃比の変化を高精度A/F計で見ていた吸気系交換マニア氏は、結局キャブも駄目出しで捨てた(笑)。

そしてノーマルマニに戻した吸気系交換マニア氏は、そのトルクフルでフレキシブルな特性と安定した空燃比に感動し、ノーマルマニにジャンボスロットルを付けた仕様に落ち着いた。結局の所コレが一番良いとの事。D-ジェトロでもMOTECなどのシステムでちゃんとセッティングすればならマシなのかも知れんが...。

エアフロを使ったシステムは高精度で安定性が非常に高い。気象条件の変化に対応し、安定した空燃比を維持できる。つまり、エンジンがもっともパワーを出せる空燃比に近いセッティングでも危なくないのだ。D-ジェトロやキャブなどのシステムでは気象条件によってどうしても空燃比が変化してしまう。薄い方に狂った時でも危なくないようにするには、毎日セッティングするか、或いは濃くして甘いセッティングにしておくしかない。キャブでもうまくセッティングすればほとんどいじらなくてもOKなんて話も有るが、それはつまり甘いセッティングにしてあるだけだ。結果的にはエンジンの性能を引き出せないって事。キャブや4連スロットルなどのスロットル下流のマニの短さは致命的で、どうしても低速トルクを出しにくいしハーフスロットルのツキも悪くなる。吸気系交換マニア氏だってそんな事は理論的にも解かってた事なのだが、実際にいろいろ試した結果たどり着いたのは、やっぱりノーマルシステムだったって事。

ま、理想的には吸気通路にナニも無いD-ジェトロが高性能なんだろうけど、メーカレベルでECUとエンジンを並行開発するならともかく、後付けのシステムでD-ジェトロにしたようなモンで個人レベルのセッティングでは低精度で甘いセッティングしか出せないってのは確かだろうなぁ〜(笑)。

というわけで、吸気系交換マニア氏がたどった道は...

4連スロットル Ver1 中低速が駄目
4連スロットル Ver2 ハーフスロットルが駄目
ノーマルマニ+D-ジェトロ 安定性最悪 駄目
4連スロットル+D-ジェトロ 安定性最悪 駄目
SOLEXφ44 妥協の塊 駄目
ノーマルマニ+ジャンボスロットル コレが一番

という事だそうです(笑)。あー面白かった。

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